主要国及び慈善事業活動家が6月2日、貧困国や途上国向けのCOVID-19ワクチン確保を目的とした組織COVAXに対して、約24億ドル（約2,640億円）の追加拠出を行う旨発表した。

これは、日本及びCOVAXを主導するGAVIアライアンス（GAVI、注２後記）が主催したワクチン・サミットにおいて発表されたもので、少額ながら2,500ドル（約27万5千円）を拠出した島嶼国モーリシャス（インド洋西）から数億ドル（数百億円）を追加拠出した西側諸国まで、多くの国々が支援を表明した。...

主要国及び慈善事業活動家が6月2日、貧困国や途上国向けのCOVID-19ワクチン確保を目的とした組織COVAXに対して、約24億ドル（約2,640億円）の追加拠出を行う旨発表した。

これは、日本及びCOVAXを主導するGAVIアライアンス（GAVI、注２後記）が主催したワクチン・サミットにおいて発表されたもので、少額ながら2,500ドル（約27万5千円）を拠出した島嶼国モーリシャス（インド洋西）から数億ドル（数百億円）を追加拠出した西側諸国まで、多くの国々が支援を表明した。

GAVIが発表した声明によると、この追加拠出の結果、COVAXは2021年及び2022年初期の間に低所得国の成人の約30％分に相当する18億回分のワクチンが確保できることになるという。

GAVIのジョゼ・マヌエル・バローゾ会長（65歳、元ポルトガル首相）は、“今回の取り組みで「世界を救う」偉大な一歩が踏み出せた”と称賛した。

菅義偉首相（72歳）も同サミットにおいて、8億ドル（約880億円）の追加拠出及び３千万回分のワクチン提供を約束した上で、“各国の支援によって非常に重要で意義深い成果”が得られたと言及している。

スペインのペドロ・サンチェス首相（49歳）は、5千万ユーロ（6,100万ドル、約67億円）の拠出と1,500万回分のワクチン提供を申し出た上で、“他国への良い参考例となれば幸い”と表明した。

また、オーストラリアは、5千万豪州ドル（3,900万ドル、約43億円）の拠出を発表していて、その他、カナダ、スウェーデン、フランス、スイスが新たに拠出すると表明している。

一方、慈善事業活動家であるビル・ゲイツ氏（65歳、マイクロソフト共同創業者兼元会長）は、“高所得国は国内で必要以上のワクチンを確保しているので、まだまだ低所得国向けのワクチン提供に回せるはずだ”とした上で、“2021年中にGAVIなどを通じて、更に10億回分余りのワクチン提供を申し出るよう切望する”とコメントした。

なお、ビル＆メリンダ・ゲイツ財団（2000年創設の世界最大の慈善基金団体）は、COVAX宛に5千万ドル（約55億円）の寄付をすると発表している。

また、米国のカマラ・ハリス副大統領（56歳）は、今年20億ドル（約2,200億円）そして来年も20億ドル拠出すると表明している。

しかし、世界保健機関（WHO、1948年設立）のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長（56歳、エチオピアの元保健相・外相）は、主要国のワクチン手配はかなり高い確率で進んでいるのに、アフリカなどでは医療従事者もまだワクチン接種ができていない状況だと訴えた。

同局長は、“（今回確保できた）18億回分では依然低所得国の全人口の僅か0.4%分にしかならない”とした上で、“倫理的にも疫学的にも、また、経済情勢上も全く受け入れられない状況だ”と強調している。

（注１）COVAX：COVID-19ワクチンへの公平なアクセスを目的としたグローバルな取り組みで、GAVI、WHO、感染症流行対策イノベーション連合（CEPI）などが主導。これは、COVID-19パンデミックへの対応として、WHO、欧州委員会（EU）、及びフランス政府によって2020年4月に開始した自発政策の1つ。

（注２）GAVI：子どもの予防接種プログラムの拡大を通じて、世界の子どもの命を救い、人々の健康を守ることをミッションとした同盟で、民間セクター、公共セクターがともに参加する革新的なメカニズム。毎年ダボス（スイス）で開催される世界経済フォーラムの2000年総会で設立。ワクチンと予防接種のための世界同盟（Global Alliance for Vaccines and Immunization）より改称。