国連の食糧農業機関(FAO)や世界食糧計画(WEP)などは2日、2018年に53の国と地域で約1億1300万人が、紛争や干ばつなどによる食料の不足により、飢餓状態となっているとの調査結果をまとめた報告書を発表した。
『AFP通信』や
『VOAニュース』などの報道によると、国連機関などは3年前から食料危機に関する調査を続け、毎年報告書を発表している。最新版によると、2018年に飢餓状態にある人の数は、53カ国・地域で約1億1300万人だった。1億2400万人が飢餓状態にあった前年より、全体の状況は若干改善している。中南米やアジア太平洋地域の一部の国々で、過去数年と比べると、自然災害が少なかったことなどが理由に挙げられている。
しかし報告書は、3年連続で1億人超が飢餓状態にある危機的状況は続いており、この傾向は変わりそうもないと警告した。また、「非常事態の下で生活する子どもたちは、著しい慢性的な栄養不良の状態にあり、極めて懸念される状況にある。」と指摘している。
飢餓の原因は戦争や内戦が最も多く、そのため7400万人が飢餓状態に陥った。また、気候変動による自然災害も多く、地球温暖化も大きな要因としている。最も飢餓の人数が多いのはアフリカ諸国だった。また、イエメン、コンゴ民主共和国、アフガニスタン、シリアなど、状況が特に厳しい8カ国で3分の2を占める。アフガニスタン、イラク、シリアは、2018年にひどい干ばつを経験しており、それが各国の農業生産高に大きく影響した。
FAO緊急支援・復興部門のドミニク・ブルジョン部長によれば、アフリカ諸国への影響は異常なまでに大きく、7200万人近くが飢餓状態になったという。戦争や国の不安定な状況に加え、経済危機、干ばつや洪水などの自然災害が主な原因だ。ブルジョン氏は、飢饉が起きそうな国々では、「人口の最大80%が農業に依存している。彼らは食糧や農業振興を推進する措置などの緊急の人道的支援が必要だ。」と主張した。
報告書はまた、内戦状態にあるシリアの近隣国や、ミャンマーから100万人以上のイスラム系少数民族ロヒンギャを受け入れたバングラデッシュなど、大勢の難民を受け入れた国々の負担の問題や、エルニーニョ現象のアフリカ、中南米諸国への影響にも言及した。
さらに、ベネズエラの政治的・経済的危機が続けば、今年食糧に関する非常事態が宣言される可能性が高く、より多くの人々が同国を脱出する事態になるだろうと予測しており、同国で貧困状態に陥る人の数も急増すると懸念を示した。
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