イギリスを拠点とする国際慈善団体オックスファム・ インターナショナルは1月21日、世界の大富豪上位26人の総資産、約153兆円が、貧困層38億人の総資産と同額だという報告書を発表した。これは、上位26人が人類の半数の資産と同額を保有していることになる。報告書は、22日からスイスのダボスで始まる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にあわせて発表されたもので、世界の富裕層と貧困層の格差が、2018年も拡大し続けていたことを、各国のメディアが取り上げている。
同団体によると、前年の2017年は、上位43人の富豪が貧しい半数と同額の資産だった。1年で貧富の格差がさらに拡大していることが分かる。1月20日付
『Russia Today』や1月21日付けの
『フランス アンフォ』では「富裕層と貧困層の間の格差が拡大すると、貧困との闘いが妨げられ、経済が損なわれ、世界中の人々が怒りや不満を感じている」というオックスファムのウィニー・ビヤニマ事務局長の警告を載せている。
報告書によれば、2018年には世界の富豪は毎日25億ドル資産を増やし、12%資産が拡大したのに対し、貧困層の資産は11%減少したという。更には、世界一の大富豪、米アマゾン・ドットコムの創業者ジェフ・ベゾス氏の純資産1560億ドルの1%は、エチオピアの保健省の予算と同じである驚きの事実も報告している。
10億ドル以上の資産を保有する富豪の数は2208人とされ、世界的な金融危機が起きた10年前から、およそ2倍増加している。
世界の富豪上位1%が資産の0.5%に相当する税金を納めれば、2億6200万人の学校に行けない子供たちの1年分の教育費にあてることが出来る。更には、医療サービスの提供で330万人の死を防ぐことができると報告書は指摘している。
オックスファムは、この世界規模の不平等の拡大は政治的選択の結果であると主張している。 そして各国政府に対し、公共サービスに投資するために大企業と富裕層への漸進的課税、脱税との闘い、 大企業での賃金格差の縮小、男女間でのより平等な賃金、また開発援助政策の採用などを要請している。
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