クシュナー米大統領上級顧問を行政改革の監督者に任命(2017/03/29)
3月28日の
『Reuters』はトランプ大統領の娘婿(イヴァンカの夫)のクシュナー米大統領上級顧問の職務に連邦政府の行政改革の監督が追加されると報じている。
①就任の目的:クシュナー米大統領上級顧問の不動産開発企業クシュナー・カンパニーズのオーナーとしての経験を活用して小さな連邦政府、政府職員の削減、規制廃止を推進するトランプ米政権で、いくつかの政府機能の民営化を目指す。米大統領選で沼地を排水すると公約したトランプ米大統領は、連邦政府職員のほとんどの新規雇用を凍結し、数千人もの連邦政府職員の削減を伴う政府機関の縮小を提案し、規制の大幅な撤廃を提案し、3月28日にエネルギーに関する一部の規制を巻き戻す大統領令に署名している。...
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①就任の目的:クシュナー米大統領上級顧問の不動産開発企業クシュナー・カンパニーズのオーナーとしての経験を活用して小さな連邦政府、政府職員の削減、規制廃止を推進するトランプ米政権で、いくつかの政府機能の民営化を目指す。米大統領選で沼地を排水すると公約したトランプ米大統領は、連邦政府職員のほとんどの新規雇用を凍結し、数千人もの連邦政府職員の削減を伴う政府機関の縮小を提案し、規制の大幅な撤廃を提案し、3月28日にエネルギーに関する一部の規制を巻き戻す大統領令に署名している。ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ等の大統領は、民間部門からの提案を採用して政府を改革し合理化する取り組みを成功させた。
②クシュナー米大統領上級顧問の現在の職務:現在の職業(不動産開発企業オーナー)との絡みで利益相反について米民主党が指摘したにもかかわらず、米大統領上級顧問に任命されている。現在は中東和平取引や幅広い内外の政策責任を与えられている。大統領報道官は彼が新しい任務を任されても支障は無いとしている。
③新職務とイヴァンカとの関係:3月19日の週、トランプ米大統領の娘のイヴァンカ・トランプ氏は、ホワイトハウスに自分の事務所を設け、機密情報にアクセス可能となり、政府から電話を与えられた。大統領補佐官は以前、彼女はトランプ米政権で何の役割も無いと述べていた。クシュナー米大統領顧問の行政改革を推進する大統領直属の新設機関「アメリカン・イノベーション局」にイヴァンカ氏は協力するが、公式に彼女は役職を持たないと大統領補佐官が述べたとワシントンポスト紙は報じている。
④歴代の米政権の行政改革:1993年のクリントン政権は、米政府の仕組みを見直す中で「政府の再編」を求めた。彼の改革は連邦政府の雇用ペースを鈍化させ、連邦政府の職員を240,000人削減し、小規模な政府事務所を閉鎖した。ブッシュ大統領は政府の行政改革を提案したが、2001年9月11日のテロの後、国家安全保障機関の再編に焦点を当て、多くの機関を国土安全保障省に設置した。2012年のオバマ大統領は、商務省を閉鎖し新しい政府の輸出機関を創設することで10年以上にわたり30億ドルの政府支出を節減し、1,000人以上の雇用を削減することを提案したが、議会の承認が得られなかった。
⑤クシュナー米大統領顧問に関するニュース:3月28日の
『Reuters』は、クシュナー米大統領顧問がウクライナ介入に伴う欧米による経済制裁下のロシアのロシア開発対外経済銀行(VEB)の役員と昨年12月に面会したと報じている。クシュナー米大統領顧問はこの件で米大統領選挙へのロシアの関与を調査する米上院諜報委員会で証言することに同意している。尚、単に米国の制裁対象となっている国の企業の代表者と会っただけでは制裁違反でも法律違反でもない。
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トランプ米大統領、3月28日に環境規制巻き戻しの大統領令署名へ(2017/03/28)
3月27日の
『CNN』によれば 2月に就任した米環境保護庁のスコット・プルーイット長官は、ドナルド・トランプ米大統領が3月28日に大統領令に署名し、オバマ政権の主要なイニシアチブであった気候変動に対処するため発電所からの二酸化炭素排出を規制する「クリーン・パワー・プラン」の巻き戻しを開始すると述べた。かねてからオクラホマ州法務局長としてこのプランに異議を唱えてきたプルーイット米環境保護庁長官は、この大統領令で成長促進的かつ環境保護的な規制を実施することで、前政権がこのプランを通じて奪った雇用を回復し、雇用促進と環境保護の両立を図るとしている。
①クリーン・パワー・プランとは:2015年8月にオバマ前米大統領と米環境保護庁が発表した政策で、2030年までに二酸化炭素排出量を最大32%削減することを目標として、石炭火力発電所および天然ガス発電所からの二酸化炭素排出を削減することを目指す。各州はそれぞれのエネルギー消費量に基づき、二酸化炭素排出量の削減目標を与えられる。再生可能エネルギーの早期導入基準を先行的に満たした州にはインセンティブを支給する計画が含まれる。...
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①クリーン・パワー・プランとは:2015年8月にオバマ前米大統領と米環境保護庁が発表した政策で、2030年までに二酸化炭素排出量を最大32%削減することを目標として、石炭火力発電所および天然ガス発電所からの二酸化炭素排出を削減することを目指す。各州はそれぞれのエネルギー消費量に基づき、二酸化炭素排出量の削減目標を与えられる。再生可能エネルギーの早期導入基準を先行的に満たした州にはインセンティブを支給する計画が含まれる。
②クリーン・パワー・プランと新大統領令の法的問題:米国最高裁判所はこのプランに異議を唱える者の訴えでこの計画が執行されるのを阻止している。クリーン・パワー・プランに関する裁判は、コロンビア特別区の米国巡回控訴裁判所で争われている。このプランの支持者たちは、米国で最大の二酸化炭素排出者である化石燃料発電所からの二酸化炭素排出量が非常に重要な削減対象だと主張する。しかし異議を唱える者はこのプランが米環境保護庁の法的権限を超え、憲法によって定められた範囲を超えるとしている。プルーイット米環境保護庁長官は新しい大統領令が裁判所の反対にあうかについては心配していないとし、クリーン・パワー・プランのほうこそ違法だとしている。
③パリ協定との関連:クリーン・パワー・プランは米国が2015年に締結された気候変動に関するパリ条約で定められた目標達成にとって重要である。今回出される大統領令はパリ協定で設定した米国の目標について他国に対し米国がネガティブであるとの印象を与える。プルーイット米環境保護庁長官はこの大統領令はパリ協定に縛られないとしている。
3月27日の
『Reuters』は、プルーイット米環境保護庁長官は、人間の行動が気候変動の主原因であるという科学的コンセンサスに疑問を呈しており、米国が気候変動に関する世界的な対応のリーダーの座から降りたと報じている。
3月26日の
『The Republic』は以下の通り報じている。トランプ米大統領の新大統領令の意図は石炭採掘の雇用を取り戻し、電力コストを削減することだとし、パリ協定を「悪い取り決め」とトランプ米大統領が呼んだのは、中国やインドが米国を世界最大の二酸化炭素排出者とし二酸化炭素排出問題に取り組むための措置を取らなかったからだとプルーイット米環境保護庁長官は述べている。民主党主導の州や環境団体を含むクリーン・パワー・プランの支持者は、このプランで何千ものクリーンエネルギー関連の雇用が創出され、2015年のパリ協定における米国の目標達成に重要だと主張している 。
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