北朝鮮、ミサイル発射に失敗(2017/04/17)
北朝鮮は4月15日に米国に理論的に到達可能なミサイルを軍事パレードで紹介していたが、米太平洋軍司令部によると、弾道ミサイルを現地時間の16日朝6時前に北朝鮮東海岸の新浦から発射したがすぐに爆発し失敗となり、ミサイルの大きさと射程距離の推定を困難にした。北朝鮮は今月同じ場所から中距離の潜水艦発射弾道ミサイルを陸上から発射したが失敗している。今回のミサイルは、ペンス米副大統領が北朝鮮に挑発的行動をやめるよう強く警告するため韓国ソウルに向かう途中米アラスカの空港を離陸時に発射された。...
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北朝鮮は4月15日に米国に理論的に到達可能なミサイルを軍事パレードで紹介していたが、米太平洋軍司令部によると、弾道ミサイルを現地時間の16日朝6時前に北朝鮮東海岸の新浦から発射したがすぐに爆発し失敗となり、ミサイルの大きさと射程距離の推定を困難にした。北朝鮮は今月同じ場所から中距離の潜水艦発射弾道ミサイルを陸上から発射したが失敗している。今回のミサイルは、ペンス米副大統領が北朝鮮に挑発的行動をやめるよう強く警告するため韓国ソウルに向かう途中米アラスカの空港を離陸時に発射された。マティス米国防長官によるとこの打ち上げ失敗についてトランプ米大統領は何も述べなかった。このミサイルは、米海軍の打撃軍が警備している朝鮮半島の東海岸の海に向け発射された。米海軍司令官は北朝鮮との緊張が高まっていることを受けて、空母カール・ヴィンソンが率いる米打撃軍にこの地区の警備を命じている。この打撃は飛んでくるミサイルを撃墜し、またミサイルを発射する能力がある。
キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の上級補佐官は、4月15日の軍事パレードでの演説で全面戦争となれば自分たちの核兵器を使って対応すると述べた。キム委員長は2017年の新年の演説で北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射準備の最終段階にあると述べているが、トランプ米大統領はそれはないとしていた。4月15日の軍事パレードを見ると現実化の過程にあるようだ。
ミサイルの発射は失敗したが北朝鮮は失敗から学び、技術改良に使う情報を得ていると専門家は警告し、4月15日の軍事パレードでの新しい小型大陸間弾道ミサイルを含む新型ミサイルの紹介は新技術のアピールだと指摘した。ある専門家は核実験を行わなかったのは良いニュースではなく、ミサイル発射はすべて同じ計画の中の一部であり、北朝鮮は核兵器を小型化してミサイルに収めようとしていると分析している。ただ別の専門家は北朝鮮の大陸間弾道ミサイルの開発状況に疑問を持ちムスダンミサイルを改良するまで何もしないだろうとし、技術の難しさを踏まえれば最初の大陸間弾道ミサイルのテストではほぼ確実に失敗するだろうとしている。
一方、4月16日の
『Reuters』 は北朝鮮のミサイル発射に対する各国の対応を報じている。トランプ米政権のマクマスター米国家安全保障問題担当大統領補佐官は北朝鮮の弾道ミサイル発射実験の失敗を受けて、トランプ米大統領は現時点では軍事行動を検討していないが、これ以上このような状況が続くことはできないというのが中国を含む国際社会の合意だとし、軍事的選択肢を取らないなら平和的解決手段のすべてを取るべきだとし、同盟国、パートナー、中国の指導者と協力して経済制裁、秘密行動、外交交渉、軍事から成るさまざまな選択肢を協議しているとした。
中国政府は2月26日に北朝鮮の最も重要な輸出物である石炭輸入を禁止し、中国税関当局は、4月7日に貿易業者に対し、北朝鮮の石炭貨物を返送するよう命じた。また4月14日の
『Reuters』 は中国から週3便北朝鮮間であった中国国際航空によるフライトが航空会社からの説明もなく停止されていることを報じている。
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米中首脳会談の議題:北朝鮮問題、貿易問題、主権問題等(2017/04/05)
4月4日のAP通信を引用した
『The Washington Post』 は4月6,7日に開催されるドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席との米中首脳会談の議題について報じている。予定では4月6日に両首脳は会談と夕食を行い、7日に会談と昼食を取る。両夫人は夕食に出席する予定である。トランプ氏は米大統領選中と就任後、中国との不公平な貿易、北朝鮮問題への協力不足、南シナ海問題への牽制の動きを繰り返し訴えていた。トランプ米政権の高官は4月4日、貿易と安全保障問題が今回の会談の主要な議題となると述べている。
トランプ米大統領は貿易赤字を減らすための一連の大統領令に先日署名したとき、この首脳会談で貿易問題を取りあげると見られていた。昨年の米国の5,020億米ドルの貿易赤字のうち 3,470億米ドルを中国が占めている。ある米大統領補佐官はトランプ米政権が中国からの商品の流入が主な原因となっている貿易赤字を解消するための原因調査を行っていると述べた。トランプ米大統領は次回米中首脳会合で関税について話し合うとしている。...
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トランプ米大統領は貿易赤字を減らすための一連の大統領令に先日署名したとき、この首脳会談で貿易問題を取りあげると見られていた。昨年の米国の5,020億米ドルの貿易赤字のうち 3,470億米ドルを中国が占めている。ある米大統領補佐官はトランプ米政権が中国からの商品の流入が主な原因となっている貿易赤字を解消するための原因調査を行っていると述べた。トランプ米大統領は次回米中首脳会合で関税について話し合うとしている。別の大統領補佐官は4月4日、今回の会談で貿易に関する議題はあるがいかなる決議もされないだろうと述べている。
また主権問題については、近隣諸国の懸念にもかかわらず中国が自国の領土として造成し武装した南シナ海の人工島問題や、中国が自国の領土と主張する台湾についてトランプ米政権が強固な関係を築くことを望んでいる問題がある。
ただ今回の主要な議題は北朝鮮の核・ミサイル問題になる。第1回米中首脳会談を前にして北朝鮮問題はもう時間切れだとの米高官の警告を受けてトランプ米政権は対応策への緊急度を高めており、その中には中国が北朝鮮に対してより経済的な圧力をかけることも含まれ、あらゆる選択肢が検討されているがその内容は明らかに出来ないとしている。また米高官はトランプ米大統領が北朝鮮問題を「人道問題」と呼んでいるとしている。中国は北朝鮮政権の崩壊が自国への難民の流入と米軍と韓国軍が中国国境に迫ることを懸念して、この問題への厳しい対応に引き続き反対している。トランプ米大統領は4月2日中国が北朝鮮の核問題に対してより厳しい立場を取らないならば、米国は単独で行動する用意があると述べている。
一方、4月4日の
『Reuters』 は、北朝鮮問題を巡るあらゆる対応には中国を含める必要があるとの米軍高官の話を以下の通り報じている。ジョン・ハイテン米国戦略軍司令官は4月4日、米国上院軍事委員会の聴聞会で証言し、北朝鮮の核兵器計画を抑止しようとするいかなる努力にも中国を巻き込む必要があり、自分の専門は大統領に軍事的選択肢を提供することだが、戦略的な観点から見ると中国を含めないで北朝鮮問題に対する解決策を見出すことは難しいと述べている。トランプ米大統領が、必要ならば、北朝鮮の核・ミサイル計画に単独で対処するだろうと2日前に述べたばかりであるが、これに中国がどう反応するかはまだ明らかでなく、また米国が単独で対応する内容も明らかでない。トランプ米政権のハーバート・マクマスター米国家安全保障問題担当大統領補佐官は経済的、軍事的措置を含む北朝鮮の核・ミサイル計画を抑制のための米国の選択肢の見直しを完了しているが、現在トランプ米政権は北朝鮮への制裁の動きを強め、中国政府への圧力を強めている。
このような問題があるにもかかわらず、中国政府は米中両首脳間に前向きな関係を築くことに積極的で、今回の米中首脳会談でお互いの理解を深め、両国は協力していく意思があることを示しその約束をすることを期待していると専門家は分析している。
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