フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、昨年6月の就任以来、麻薬撲滅運動を展開しているが、その人権を無視した強引なやり方に非難が集まっている。特に昨秋は、批判の声を上げたバラク・オバマ大統領(当時)に対して、汚い言葉でののしったことから、予定されていた米比首脳会談の中止に追い込まれた。そして今度は、欧州連合(EU)所属の政治家からの非難に対して、在フィリピンEU外交官の24時間内の退去を宣言するに至り、そのお騒がせ振りは収まりそうもない。
10月12日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「ドゥテルテ大統領、EU外交官をフィリピンから追放すると脅し」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は10月12日、EU諸国を代表する在フィリピン大使らを24時間以内に退去させると発言した。
これは、先週マニラを訪問していたEU内の進歩連盟所属の政治家が、麻薬撲滅運動を理由に警察官が数千人を殺害したことを非難する声明を発表したことへの対抗措置とみられる。
これに対してEUはすぐさま、今回訪比した政治家はあくまで私的訪問であって、発表された声明はEUを代表するものではないと表明した。
ただ、フィリピン外務省のローブスピエール・ボリヴァー報道官は、10月12日晩現在、本件に関して何ら具体的な指示を受けていないと語った。
なお、同大統領発言は、数週間後にトランプ大統領含めた各国首脳が参加する、東南アジア諸国連合(ASEAN)サミットがマニラで開かれる前の微妙な時期に当る。
更に、フィリピンは現在、EU向けに6,200余りの輸出品を無税で輸出しているが、この拡大に向けてEU側と交渉している最中である。
ところが同大統領は、もしEU向け輸出取引に影響が出るようなら、代わりに中ロ向けの輸出を増やせば済むこととうそぶいている。
同日付フランス『フランス24』オンラインニュース(『AFP通信』配信):「フィリピンのドゥテルテ大統領、EU外交官を追放すると脅迫」
ドゥテルテ大統領就任後15ヵ月間で、麻薬撲滅運動の一環で警察官に殺害された犠牲者は少なくとも3,850人に上っており、訪比したEU内政治家がこれを問題視する旨表明した。
しかし、同大統領は、これまでのEU等列強による植民地政策でフィリピンが食い物にされた歴史をアピールし、そして今度は同国を国連から追い出そうとしているとして、EU姿勢を痛烈に批判した。
EUは、フィリピンを国連から追放することを希望する等のコメントは一切出していない。しかし昨年、EU議会は、麻薬撲滅運動に伴う超法規的な殺人事件が多発していることを憂慮して、同措置をすぐさま改めるよう同大統領に要求する旨の決議を採択している。
なお、多くのフィリピン市民が麻薬撲滅運動を引き続き支持しているものの、先月の調査で初めて、ドゥテルテ大統領の支持率が大幅に下がっている。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「ドゥテルテ大統領、麻薬撲滅運動を批判する国の外交官を24時間以内に追放する決定を下すこともあり得ると表明」
10月8~9日にフィリピンを訪問して、麻薬撲滅運動の問題点を批判したのは、国際進歩連盟や欧州社会党に属する、スウェーデン・ドイツ・イタリア・豪州・米国の7人の政治家らであった。
EUはすぐさま、これら政治家の声明はEU方針を代表するものではないと表明している。
なお、EU域内の数ヵ国やスイス・カナダなどでは、ヘロイン中毒患者が医者の処方箋で麻薬を注射することを認めている。これは、中毒患者が麻薬を多量に摂取することを抑え、また、彼らを闇市場から遠ざけることに役立ち、更には、麻薬絡みの犯罪やHIVの蔓延を抑制することが可能となるとの考えから採用されている方法である。
しかし、フィリピンにおいては、麻薬犯罪の多発や闇市場がはびこっており、ドゥテルテ大統領としては麻薬撲滅が最優先課題だとしている。
一方、10月13日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『ロイター通信』配信):「フィリピンの麻薬取締局長官、麻薬戦争は少々下火も警察の取り締まりは必要と訴え」
フィリピン麻薬取締局(PDEA)のアーロン・アキノ長官は10月13日、麻薬撲滅運動から警察官をはずして後、麻薬戦争は少々下火になったが、これは全く一時的なことで、PDEAの人手不足より、同取り締りには警察の参画が必要だと訴えた。
同長官によると、PDEA職員約2,000人のうち、麻薬取締役官は僅か1,100人であり、17万5,000人いる警察とは規模が違うとしており、更に、2022年まで毎年1,000~1,500人の取締役官の採用・補充が必要だとしている。
なお、気まぐれなドゥテルテ大統領は10月10日、警察には犯罪抑止には努めさせるものの、原則警察を麻薬撲滅運動からはずすことを決めたと発表している。直前の10月8日の世論調査で、依然支持率は低くはないものの、初めて大幅に下がったことを懸念したためとみられる。
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10月9日付英
『デイリィ・エクスプレス』紙:「第三次世界大戦:英国、米朝間緊張の高まりに則して軍事行動の準備」
英国軍は、米朝間の軍事衝突の可能性が高まっていることから、空母“クィーン・エリザベス”を緊急配備することが明らかになった。
『デイリィ・メール』紙によると、最新型の同艦は、就役時期を早めて北朝鮮軍との対戦に備えることになるという。
なお、マイケル・ファロン国防相は、北朝鮮の違法な核・ミサイル実験は看過できず、また、同盟国である米国に対して“核攻撃”を辞さないと脅しており、英国軍としても然るべく対応する必要があると語った。...
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10月9日付英
『デイリィ・エクスプレス』紙:「第三次世界大戦:英国、米朝間緊張の高まりに則して軍事行動の準備」
英国軍は、米朝間の軍事衝突の可能性が高まっていることから、空母“クィーン・エリザベス”を緊急配備することが明らかになった。
『デイリィ・メール』紙によると、最新型の同艦は、就役時期を早めて北朝鮮軍との対戦に備えることになるという。
なお、マイケル・ファロン国防相は、北朝鮮の違法な核・ミサイル実験は看過できず、また、同盟国である米国に対して“核攻撃”を辞さないと脅しており、英国軍としても然るべく対応する必要があると語った。
10月8日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「米韓両軍、北朝鮮の新型ミサイル発射実験に対応すべく監視を強化」
韓国の
『聯合(ヨナプ)ニュース』報道によれば、韓国軍高官情報として、北朝鮮における新たなミサイル発射実験に備えて、監視活動を強化しているという。具体的には、U-2S高高度偵察機、RC-800電子情報偵察機、RF-16偵察機、E-737早期警戒管制機、P-3C哨戒機が偵察に当っている。
更に、
『KBSニュース』によれば、東海(日本海の韓国表示)にはSPY-1D最新式レーダー搭載のイージス駆逐艦が、陸上にはミサイル防衛用可搬レーダーが配備されているという。
なお、平壌(ピョンヤン)訪問中のアントン・モロゾフ下院議員は10月6日、北朝鮮が米西海岸を標的とした弾道ミサイルの発射準備をしていると警告を発している。
一方、ドナルド・トランプ大統領は10月7日、過去25年間の北朝鮮との非核化交渉は何ら効果がなく、また、今後の交渉も無駄であり、残された道はひとつしかない、とツイートしている。
一方、10月9日付
『聯合ニュース』:「韓国軍高官:北朝鮮の挑発は差し迫った危機とはなっていないとコメント」
韓国軍の高官は10月9日、米韓両軍が協力して厳重警戒に当っているが、北朝鮮の挑発が新たな危機を招くような事態にはなっていないと表明した。
同高官によれば、10月10日の朝鮮労働党創立記念日等、今週には北朝鮮の祝日があるものの、新たなミサイル発射実験等のリスクは低いとみているという。ただ、万一に備えて、米韓両軍の様々な偵察機等を配備して、監視活動を強化していると語った。
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