厚生労働省の5月30日公表データによると、4月の有効求人倍率(季節調整)は1.48倍と、1990年7月に記録したバブル経済期の最高値(1.46倍)を上回り、1974年2月(1.53倍)以来43年2ヵ月振りの高水準となった。しかし、総務省の公表データでは、世帯別個人消費が14ヵ月連続で減少しており、また、東京商工リサーチによると、人手不足関連倒産が310件(うち後継者難が268件、求人難が24件、人件費高騰による資金繰り難が18件)と徐々に増えてきている。欧米メディアも関心を持って報じている。
5月30日付米
『CNNニュース』:「日本の労働市場、人手不足状況悪化」
厚生労働省が5月30日に発表したデータによると、今年4月の求人倍率が1.48倍となり、1974年の1.53倍以来の高水準となっている。安倍晋三政権が推す、女性活躍社会創生政策も後押しして、女性や高齢者の就業人口が増えているが、業種によっては必要な雇用が確保できない状況にある。
少子高齢化によって労働人口の減少、更には将来の経済規模縮小が懸念されるが、日本は依然、移民労働力受け入れに消極的なことが顕著である。
また、労働市場が好調であるのに、十分な賃金上昇に結びついていないという問題もある。
同日付英
『ロイター通信英国版』:「日本の労働市場好調で、個人消費増への期待」
四十数年振りの求人倍率を記録しても、4月の個人消費高は、車購入や教育費用の減少によって、前年同月比▼1.4%と、通年平均の▼0.7%を大幅に上回る落ち込みとなっている。
ただ、高い求人倍率と合せて、失業率が2.8%と、1994年6月以来の最低レベルが続いていることから、経済専門家は、いずれ個人消費増につながるものと期待している。これは、消費者物価指数+2.0%の目標が中々達成できない日銀関係者も同様であろう。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「日本の労働市場が予想以上にタイト」
4月の求人倍率は四十数年振りに高い数値を示しているが、少子高齢化に伴う労働人口減少が背景にある。かかる状況下、女性や高齢者の就業者数増となっているのは、日本経済にとって良いニュースであろう。
一方で、求人難の状況が賃金上昇に結びついていないという事態があるが、専門家によると、雇用が確保できない企業が海外移転に動いていることが背景にあるという。
同日付ドイツ
『DPA(ドイツ通信)インターナショナル』:「日本の世帯別個人消費が14ヵ月連続で落ち込み」
5月30日の総務省発表によると、4月の世帯別個人消費額は前年同月比▼1.4%と、14ヵ月連続の減少となっている。これは、日経ビジネスが予測した▼1.0%より、また、3月の▼1.3%より大きい落ち込みである。
また、平均月額賃金(インフレ調整値)も47万2,047円(4,253ドル)で、前年同月比▼2.2%と、2ヵ月連続の減少となっている。
経済専門家によると、女性や若年層が、特に低賃金のアルバイトやパートに従事していることが背景にあるとしている。総務省の発表では、かかる非正規雇用者が全体の37%に上る。
一方、今月初めの政府発表では、今年1~3月期の経済成長率は年率換算+2.2%と、5四半期連続の成長となっているとしているが、この背景には輸出が好調なことが挙げられる。
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5月22日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「和平の道が不確かな中、トランプ大統領がイスラエル訪問」
ドナルド・トランプ大統領は5月20日、就任後初の訪問先のサウジアラビアで、バラク・オバマ前大統領の政策を翻し、イランに敵対する同国向けに1,100億ドルに上る米国製最新鋭武器の売却契約に署名した。
そして同大統領は5月22日、イスラエルのベンジャミン・ネタニエフ首相と、パレスチナのマフムード・アッバース大統領と別個に会談するためイスラエルを訪問する。...
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5月22日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「和平の道が不確かな中、トランプ大統領がイスラエル訪問」
ドナルド・トランプ大統領は5月20日、就任後初の訪問先のサウジアラビアで、バラク・オバマ前大統領の政策を翻し、イランに敵対する同国向けに1,100億ドルに上る米国製最新鋭武器の売却契約に署名した。
そして同大統領は5月22日、イスラエルのベンジャミン・ネタニエフ首相と、パレスチナのマフムード・アッバース大統領と別個に会談するためイスラエルを訪問する。同大統領は今年3月、アッバース大統領とホワイトハウスで会談した際、イスラエル・パレスチナ問題は皆が考えている程難しい問題ではないと発言していた。しかし、今回のイスラエル訪問に当って、この問題をどう解決するのか具体案を持たないままのイスラエル訪問となる。
一方、イスラエル側は、トランプ大統領がパレスチナ側とどのような話をするのか神経を尖らしていることもさることながら、先にトランプ大統領がサウジアラビアと締結した武器売却契約についても、不快な念を抱いている。すなわち、イスラエルはサウジアラビアを“敵対国家”と呼んでおり、かかる武器販売はイスラエルにとって“非常に脅威となる”と批判している。
なお、トランプ大統領はサウジアラビア滞在中にイスラム国家代表を前にして、西側諸国対イスラム国家ではなく、“善対悪”の方針の下、イスラム過激派等テロ集団を駆逐するために団結するよう訴えた。ただ、オバマ前大統領と違って、中東諸国の人権問題や抑圧政治について公に非難することは控えている。
同日付英
『メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「トランプ大統領、和平プロセスを探るためイスラエル訪問」
トランプ大統領はリヤド(サウジアラビア)で5月21日、イスラム国家代表らを前にして、“イスラム原理主義者”から成るイスラム過激派を駆逐するために協力し合うよう訴えたが、イスラム教徒側からみれば、同大統領こそが“極端なイスラム教忌避主義者”だと批判している。
一方、同大統領は、5月22日からイスラエルを訪問して、イスラエル、パレスチナそれぞれの代表と会談し、イスラエル・パレスチナ和平問題について協議する意向であるが、以前に同大統領が難しくないと語ったことに反して、今回の訪問に当り、この問題解決の具体的提案を示している訳ではない。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「トランプ大統領と55のイスラム国家代表、イラクとシリアのイスラミック・ステート(ISIS)と戦うため3万4千人の部隊配備につき合意」
トランプ大統領と、イランを除く55のイスラム国家代表は5月21日、イラクとシリアに巣食うISISと戦うため、米国が新たに3万4千人の部隊を派遣すること、また、今後リヤドにテロ駆逐作戦の中枢を置くとする“リヤド宣言”を採択した。
これまでISISとの戦闘には、主として地元の軍隊とクルド人部隊が当り、国連部隊が空輸・物資や資金的援助をするに止まっていた。ただ、今回の合意事項は、ISISとの戦闘のためとしているだけでなく、シーア派が主流のイランにも対抗するものとなっている。
一方、トランプ大統領はサウジアラビアのサルマン国王と会談した際、同国の米国への大規模投資事業について謝意を述べると同時に、同国向けに米国製最新鋭武器の売却-即時供給で1,100億ドル、今後10年で3,500億ドル(約38兆8,500億円)相当-についての契約に署名した。
一方、同日付イラン
『メヘル・ニュース』(イランの半国営通信社):「イラン、トランプ大統領のサウジアラビア肩入れについて、“再び9/11同時多発テロを引き起こす”と警告」
イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外相は5月22日、サウジアラビア訪問中のトランプ大統領が、イランを“テロの急先鋒”と非難する同国のサルマン国王に同調した上で、イランと敵対するサウジアラビアに肩入れする方針をぶち上げたことから、サウジアラビア王室が2001年の同時多発テロに関わっていたことを糾弾した上で、このままいくと米国は再び同時多発テロに襲われることも覚悟すべきだと警告した。
2001年9月11日に発生した同時多発テロ事件では3千人余りの米市民が犠牲になったが、イスラム過激派組織アル・カイーダ所属の19人の首謀者のうち、15人がサウジアラビア市民であった。そして今年3月、850人の犠牲者の遺族と1,500人の負傷者が、サウジアラビア政府を相手取って、同過激派組織に長年にわたり武器や資金援助をしていたとして損害賠償請求を行っている。
同外相はまた、トランプ大統領が大統領選挙中、ニューヨークのワールド・トレード・センターを爆破したのはイラクではなくサウジアラビアだ、と明言していたと非難したが、同大統領は当選後、サウジアラビアを直接的に非難する発言を止め、史上最高額の武器売却契約を締結する等、サウジアラビア寄りに方針転換している。
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