ジョー・バイデン米大統領の就任後、アジアで最も先に電話会談を行ったのは日本の菅総理であり、日本との軍事同盟を優先事項としていることが伺える。また、電話会談が直前まで知らされなかったことに新政権の混乱ぶりと、歴代最高齢の新大統領への気遣いがみられるという。
1月31日付日本
『Nikkeiアジア』は「電話のタイミングは?バイデン氏から菅氏への電話で見えること」との見出しで以下のように報道している。
就任後誰に電話をするかは、政権の優先事項が反映されるため、外交上注目ポイントとなる。電話の順番は、それ自体が重要なメッセージ性があるのである。バイデン大統領から菅総理への28日の電話は、アジア諸国としては一番乗りで、強固な日米同盟の行く末を予感させるものとなった。...
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1月31日付日本
『Nikkeiアジア』は「電話のタイミングは?バイデン氏から菅氏への電話で見えること」との見出しで以下のように報道している。
就任後誰に電話をするかは、政権の優先事項が反映されるため、外交上注目ポイントとなる。電話の順番は、それ自体が重要なメッセージ性があるのである。バイデン大統領から菅総理への28日の電話は、アジア諸国としては一番乗りで、強固な日米同盟の行く末を予感させるものとなった。一方で電話は、意図せずともバイデン政権の別の面を露呈していた。電話があった時間である。
菅氏は深夜0時47分に電話を受けた。東京とワシントンの時差は14時間のため、ホワイトハウスは午前10:47。前回の場合、米大統領から日本の首相への電話は、日本の朝、米国が夕方の時間帯であった。深夜に電話がきたことから、政権チームが78歳と最高齢の大統領であるバイデン氏の健康を気遣っていることが伺える。また、日本サイドは、バイデンからの電話を直前まで知らさせていなかった点に、就任直後の慌ただしさが表れている。
過去の初電話会談をみると、トランプ氏が安倍氏に電話したのは2017年1月28日、日本時間の午後11:05だった。バラク・オバマ氏が麻生(当時)元総理に電話したのは2009年1月29日午前8:10だった。ジョージWブッシュ氏から森元総理への電話は、2001年1月24日午前9時ちょうどだったという。親密だったトランプ氏と安倍氏は、よく米国時間の夕刻と日本の朝の時間帯に電話をしていたが、最後の電話は午後11時過ぎであった。
今回の電話は、日本の常識としては遅い時間だが、日本サイドが会談の内容に不満だったということはない。両首脳は、新型コロナ対策や気候変動における協調で一致し、バイデン氏は、中国が領有権を主張する尖閣諸島に日米安全保障条約を適用し、米国の国防傘下にあることを約束していた。
1月28日付『ロイター通信』は「バイデン氏と日米同盟強化で一致」との見出しで以下のように報道している。
28日菅首相は、バイデン大統領との電話会談で、中国が経済・軍事力を拡大する中、日米同盟を強化し、早期の日本訪問の調整でも一致したとしている。
ホワイトハウスは、日米同盟の重要性を、「自由で開かれたインド太平洋地域の平和と繁栄の礎」として重要であるとの認識で一致したとしている。また、米国の核による拡大抑止力提供へのコミットメントも強調。朝鮮半島の非核化の必要性でも一致した。
米国と北東アジア同盟は、軍事費負担増を迫り、同盟関係の在り方に疑問を呈したトランプ元大統領により危うくなったが、バイデン氏は、関係修復と同盟が優先課題であることを伝えた。
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