3月7日付
『News Corp Australia Network』:
アメリカは大規模の民間企業に勤めている富裕層は会社の保険に加入していて、低所得層や障害者、高齢者は公的の健康保険に加入しているが、中間層はどちらの保険にも加入できないため民間の高額な保険に入ることしかできず、無保険という日本では考えられない状態になっている。その人数はおよそアメリカ全国の15%にもおよぶとされ、先進国の中では最も保険制度加入者の割合が少ない危険な状態となっていて、医療費も莫大なため治療費が払えずに破たんするものもいるという。
そのため、オバマケアは31にも渡る州においてメディケイドを推進し、保険未加入の中間層の保険制度の積極的な加入を試みてきた。
しかし、共和党のポール・リャン氏は「オバマケアはアメリカ中を失望させた。オバマ政権は加入者が増えれば市場原理で保険料は下がると主張したものの、政府が介入したために保険料は下がるどころか高騰し、ますます医療保険制度は危機的状況を迎えている。」とオバマケアを批判し、「我々共和党の新たなプランは健康保険への政府の介入をやめさせ、国民にもう一度様々な選択肢と自由を与えるものです。強制的に保険に加入させるのではなく、個人の自由意思で市場から保険を購入するべきです。」と主張している。
2010年に導入されたオバマケアにより「保険に加入したことで、保険費用を負担してもらえるようになり治療費においては非常に助かった」とする国民が大勢いる一方、「オバマケアは保険のカバーする補償内容が大幅に拡大されたためかえって保険会社にとってはリスクが増え、保険料が高騰した」などと新たな問題が起きた。
そのため、中間層の中でも比較的所得の低い人たちにとってはかえって生活費の圧迫という事態を招いた、と考えられる。
また、様々な州政府が保険制度の監視や規制を行うためにそのコストもばかにならないという。
そのため、トランプ政権および共和党はオバマケアを批判していると考えられるが、しかしトランプ政権の考える新たなプランも、どのくらいのコストがかかり、どのくらいの人数が保険によって今後カバーされるのか、ということを具体的に明示していないという。
また、低所得者や中間所得層が保険制度に加入しやすいように年間で2,000ドル~14,000ドルにもおよぶ「税額控除」を導入する、とトランプ政権は主張しているが、「オバマケアの補助金の焼き直しのよう政策である」との批判もある。また民主党内では、「富裕層が保険料の負担をしたくないためにオバマケアの廃止を叫んでいるだけだ」との批判もある。
今後、上院・下院の両院で新たな保険制度のプランを議論して議会で承認が得られればトランプ大統領が署名後に新たな法律として可決される予定である。しかし、両院において共和党の議席数の方が上まっているものの上院は52対48と接戦になっており、離反者が増えた場合は、可決されない可能性もある。
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