5月28日付米
『デンバー・ポスト』紙(
『AP通信』記事引用)の報道記事「被爆者、オバマ氏広島訪問に驚きと疑念がない交ぜ」:
「・被爆者達は、原爆を落とした国の現職大統領の広島訪問について驚きを持って歓迎するも、だからと言って、彼らが望む核なき世界の実現にどれだけの効果があったのか疑念。
・オバマ大統領の任期はあと8ヵ月であるし、また、米国自身、依然多くの核兵器を保有する国であるから、同氏の広島訪問を契機に飛躍的に事態が改善することは困難と の思い。
・非核運動活動家は、2009年のプラハ(チェコ)での“核なき世界創生”演説でオバマ大統領はノーベル平和賞を受賞したものの、その後の核廃絶の気運は高まることはなく、今回の広島訪問後も沈静化してしまうことを懸念。」
同日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「白人を除き、ほとんどの米国人は原爆投下に反対」:
「・広島を慰霊訪問したオバマ大統領は、謝罪はしなかったが、トルーマン大統領(当時)が決断したような原爆投下は二度と起こしてはならないと言明。
・一部の退役軍人達は、日本が犯した第二次大戦中の米兵捕虜への虐待について謝罪していないからとして、オバマ氏の広島訪問に反対。
・安倍首相は、歴史的な訪問だとして心からの歓迎の意を表明。」
5月27日付英
『ザ・ガーディアン』紙の報道記事「“道徳心覚醒の契機”なるも、オバマ氏の歴史的な広島訪問はほろ苦し」:
「・第二次大戦中に日本軍の捕虜となり、“バターン死の行進(注後記)”の生存者の退役軍人は、オバマ氏の広島訪問は評価するも、そもそも、日本軍が真珠湾攻撃をしなければ、つまるところ広島への原爆投下はなかった訳で、オバマ氏が謝罪の言葉を述べなかったことに同意。
・オバマ政権幹部はオバマ大統領のベトナムと広島訪問に当り、事前に退役軍人達をホワイトハウスに招待して、訪問の趣旨を説明し、但し謝罪はしないことを確認。」
5月28日付ロシア
『スプートニク』国際オンラインニュースの報道記事「被爆者をハグするも、謝罪はなし:オバマ氏の広島訪問の意味は?」:
「・核軍縮研究のシンクタンクのウォード・ウィルソン氏は、今回のオバマ大統領の広島訪問について、謝罪の言葉があったかどうかではなく、核軍縮につながる未来への一歩となるかどうかが大事と表明。
・なお同氏は、米国で言われている、原爆投下によって日本が降伏し、更に多くの命が失われるのが防げたとする見解は誤解であり、日本の降伏は(原爆投下後)暫く後のことで、実際はソ連の対日宣戦布告が発せられたからであるとコメント。
・また、米文筆家のペリグリノ氏(科学、考古学関連執筆家、作品に“The Last Train From Hiroshima”など)も、当時の日本は既に、首都東京の大部分を含めて60都市余りを空襲で焼失していたが、広島・長崎の原爆投下後速やかに降伏しておらず、(降伏直前の)8月14日にも米軍が3千機の爆撃機を飛来させており、これらが降伏を決断させたと判断するとコメント。
・なお両氏とも、米ロ両国の核軍縮交渉が後退していることもあり、今回のオバマ氏訪問時の演説で、何らかの進展をもたらすことを期待。」
一方、同日付中国
『新華社通信』の報道記事「中国外相、南京大虐殺を忘れるなとコメント」:
「・中国の王毅(ワン・イー)外交部長(外相に相当)は5月27日、オバマ氏の広島訪問は評価するも、原爆犠牲者のことに重きが置かれ、1937年の南京大虐殺のことが忘れられてはならず、むしろこの事態の方が深刻だとコメント。
・なお、南京では日本の侵略によって、30万人以上の中国人兵士・市民が犠牲になり、2万人余りの女性が強姦被害。
・また、中国は2014年、12月13日を南京大虐殺追悼記念日に制定。」
(注)バターン死の行進:第二次大戦中の日本軍によるフィリピン進攻作戦において、バターン半島で日本軍に投降した米軍・フィリピン軍の捕虜が、収容所に移動するときに多数死亡したことを言う。全長は120キロメーターで、その半分は鉄道とトラックで運ばれ、残り42キロメーターを3日間徒歩で移動させられた。
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先週金曜日、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、加工食品の栄養成分表示についての新ルールを明らかにした。アメリカでは多くの国民が肥満や、それが一因となる健康問題(糖尿病や心疾患)に悩まされており、今回の改正がこの問題を解決するための契機となるか期待が集まっている。日本の食品のコマーシャルをみると、脂肪やカロリーに重点が置かれているが、世界的にみると「砂糖」が大きな注目を集めているといえる。主要な改正点、そこから期待される効果について、各メディアは次のように報じている。
5月22日付
『NYSEポスト』(米)は、新しい栄養成分表示が、消費者が食品を選ぶ際の良き指針となり、国民の健康増進に一役買うことを期待している。改正された第一の点は、一人前の分量である。アメリカの栄養成分表示では、一人前の分量を表示しなければならないが、これがより現実的な分量に見直されている。例えば、1パイント(約0.5リットルサイズ)のアイスクリームは、現在3人前としてカロリーが計算されているが、これを4人前として計算するといった具合だ。第二の点は一人前のカロリー数値の文字が太文字で大きく表示されることが義務付けられることである。これにより、一目見て簡単にその食品から摂取するカロリーを知ることができる。第三の点が今回最も注目を集めており、「加工段階で新たに加えられた」砂糖の量の表示が義務付けられている。これまでは、消費者は表示から、その食品に単純に含まれている砂糖の量しか知ることができなかった。しかし今回の改正により、製品の含まれる砂糖の量に加えて加工段階でどの程度の砂糖が加えられたのかを知ることができる。例えば、フルーツを用いた食品の場合、フルーツに元々含まれている糖分は除かれ、加工段階で加えられた砂糖がどのくらいなのかを消費者は知ることができるというわけだ。他にもアメリカ人に慢性的に不足しているといわれるビタミンDやカリウムが表示されることになった。また、脂肪カロリーの表示は、カロリー数自体より、脂肪の種類の特定の方が重要という理由で表示からは除外された。
今回導入された表示は、2年間にわたる業界団体との格闘の末に成立したもので、今後2年間にわたり義務付けられる。
5月21日付
『ニューズウィーク』(米)は、2006年にトランス脂肪酸についての表示が義務付けられたものの、今回のような大規模な改正は20年ぶりとし、健康志向の高い消費者には役立つだろうが、そうでない人には詳細な説明が必要と報じる。
専門家の中には、今回の改正を歓迎しつつも、肥満や食習慣が原因となる病気に苦しむ人に対しては、糖分を多く含む食品への課税や、パッケージへの警告文の記載など、より直接的な手段を講じない限り効果は薄いだろうとの予測もある。
同記事は、近年のアメリカ人の食生活の最大のテーマは「砂糖の摂取減」であると指摘する。同国内では成人のうち3分の2が肥満とされる。市場動向調査を行うNPDグループのセイファー氏は成人の3分の2は砂糖の摂取を控えようと考えており、消費者の注目は「砂糖」に集まっているため、今回の改正には国民の健康問題改善面で大きな効果が期待できるとしている。
栄養学の専門誌「パブリック・ヘルス・ニュートリション」が2011年に発表した調査結果では栄養成分表示と健康的な食生活との間には関連性のあることが指摘されており、今回の改正には期待が集まるものの、栄養成分表示の活用方法が重要だという。ノースカロライナ大学のポプキン氏とデューク大学のブラウネル氏は、栄養成分表示だけでは国民の健康増進には不十分で、他の手段も併せて採られるべきと主張する。例えば南米チリでは子供向けの菓子におもちゃなどのおまけを付けることを禁じているし、メキシコやイギリスでは炭酸ジュースに課税がなされている。サンフランシスコで新しく適用される法律では炭酸ジュースのラベルに健康への警告文の表示が義務付けられている。
ただ、ポプキン氏とブラウネル氏も今回の改正が、メーカー側が原材料の配合を見直すきっかけになる点については期待を寄せている。2006年にトランス脂肪酸の表示が義務付けられて以来、メーカーは自主的にトランス脂肪酸の使用を控えるようになり、FDAの試算によれば2003年と2012年の比較でトランス脂肪酸の使用量は全体で78%削減されているという。
世界的なレベルでいうと、食品の成分のうち「砂糖」に関心が集まっているのは明らかで、今後日本でも同様の傾向が強まっていくといえそうだ。
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