米・英・フランスメディア;VW不正で大きな代償
これまで何度も報じたとおり、ドイツ大手メーカーのフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題に対して、米当局及び顧客等から損害賠償や罰金支払いの訴訟が起されていた。そしてこの程VWは、米当局及び各州と総額153億ドル(約1兆5,600億円)の和解金を支払うことで合意した。ただ、米国における対象車(約60万台)の14倍(約850万台)が不正対象車となる欧州における補償交渉はこれからなので、まだ前途は多難である。
6月30日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「VW、147億ドルの和解金支払いで合意」
「・米当局は6月28日、米司法省等への罰金支払い額は147億ドル(約1兆5千億円)で合意と発表。
・これには、VWの排ガス不正を告発した米連邦環境保護局宛の27億ドル(約2,750億円)の罰金支払いも含む。
・その他、顧客からの提訴に対して1億5千万ドル(約153億円)の損害賠償金支払い。...
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6月30日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「VW、147億ドルの和解金支払いで合意」
「・米当局は6月28日、米司法省等への罰金支払い額は147億ドル(約1兆5千億円)で合意と発表。
・これには、VWの排ガス不正を告発した米連邦環境保護局宛の27億ドル(約2,750億円)の罰金支払いも含む。
・その他、顧客からの提訴に対して1億5千万ドル(約153億円)の損害賠償金支払い。」
6月28日付英
『ザ・ガーディアン』紙:「VW、米当局との和解金及び顧客からの買い取り分合わせて147億ドルの代償」
「・米司法省のサリー・イェイツ副長官は6月28日、米当局への罰金支払い、及び顧客から、不正スキャンダル発覚以前の価格での対象車買い取り分合わせて、147億ドル支払うことでVWと和解したと発表。
・同副長官は、今回の和解金支払いは大気浄化法に基づく過去最大の罰金となるが、(排ガス不正に関わる)刑罰の適用可否については依然調査中とコメント。
・上記和解金には、米各州で提訴された賠償金支払いも含まれ、例えばニューヨーク州では、同州の大気浄化基金1億1,500万ドル(約117億円)などへの支払い。」
6月29日付フランス
『フランス 24』オンラインニュース:「VW、排ガス不正問題解決にはまだ長い道のり」
「・専門家の評価では、米当局等への支払い額は、今回の不正スキャンダルに関わる賠償総額のまだ半分程度で、最終的には200~300億ユーロ(220~330億ドル、約2兆2,400億~3兆3,700億円)に上ると予想。
・VWは昨年度、不正スキャンダル対策費として162億ユーロ(約1兆8,000億円)を引き当てており、この結果、同社決算は直近20年余りで初めて赤字転落。
・専門家は、同社が更に180億ユーロ(約2兆円)程度を2016年第三四半期(7~9月期)に追加で引き当てることが必要と分析。
・ただ、同社は年商2,000億ユーロ(約22兆4,000億円)、従業員60万人の世界的大企業であり、内部留保等は潤沢であるため、500億ユーロ(約5兆6,000億円)位までの和解金等支払いは可能と評価。」
一方、同日付米
『ロイター通信米国版』:「EU委員、VWに対してEU顧客への賠償を強く
要求」
「・欧州連合(EU)委員会のエルツビータ・ビエンコウスカ産業担当委員は6月29日、VWはEU内顧客にも相当の賠償金支払いが必要で、(米とEUの)法律の違いによる差別対応は認められないと主張。
・一方、VW広報担当は、欧州で販売した850万台のうちの370万台は、排ガス不正ソフトの交換で対応できていることでもあり、(不正スキャンダル発覚前の市場価格での買い取り等)米国と同等の扱いとはならないと言明。」
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米・ロシア・中国メディア;ロシア・中国共同経済圏の拡大
英国の欧州連合(EU)離脱を契機に、EUの弱体化などが予想される。一方、日米主導で昨年末に漸く合意した環太平洋戦略的経済連携(TPP)についても、米大統領選のクリントン、トランプ候補ともTPPを支持しておらず、新大統領の下、オバマ大統領の目論見どおりTPPが批准されるかどうか予断を許さない。かかる状況下、虎視眈々と二大社会主義国家が共同経済圏の拡大を狙っている。
6月24日付米
『ロイター通信米国版』:「プーチン大統領、イランの上海協力機構加盟を支持」
「・プーチン大統領は6月24日、ロシアと中国が主導している“上海協力機構(SCO、注後記)”へのイランの加盟について、核合意がなされ、国連の制裁も解除された以上、何ら問題はないと表明。
・同大統領は、タシケント(ウズベキスタン)で開かれたSCOサミットで演説したもの。」
6月25日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「ナレンドラ・モディ首相、インドのSCO正式加盟で同経済同盟強化に貢献と発言」
「・インドとパキスタンについて、2015年7月のSCOサミットで、準備が整い次第、SCOへ加盟することが正式決定。...
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6月24日付米
『ロイター通信米国版』:「プーチン大統領、イランの上海協力機構加盟を支持」
「・プーチン大統領は6月24日、ロシアと中国が主導している“上海協力機構(SCO、注後記)”へのイランの加盟について、核合意がなされ、国連の制裁も解除された以上、何ら問題はないと表明。
・同大統領は、タシケント(ウズベキスタン)で開かれたSCOサミットで演説したもの。」
6月25日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「ナレンドラ・モディ首相、インドのSCO正式加盟で同経済同盟強化に貢献と発言」
「・インドとパキスタンについて、2015年7月のSCOサミットで、準備が整い次第、SCOへ加盟することが正式決定。
・両国とも、今回タシケントで開かれたSCOサミットに参加の上、必要な提携契約等に署名し、2016年中に正式加盟となる見込み。
・今回、両国の他、アフガニスタン、ベラルーシ、イラン、モンゴルがオブザーバーとして参加。
・また、トルコもSCO加盟を正式表明。」
6月24日付ロシア
『イタルタス通信』:「SCO事務局長、SCOのタシケント・サミットが更なる発展への弾みとなったと発言」
「・SCOのラシッド・アリモフ事務局長は6月24日、今回タシケントで開かれたSCOサミットは、2025年までの同機構の発展戦略への道筋が付けられたと称賛。
・同事務局長は、15年前に組成されたSCOは、同機構域内の経済・安全保障連携という目的が更に発展・強化されつつあると強調。」
6月25日付中国
『中国中央テレビ』:「インドとパキスタン、SCOに正式加盟へ」
「・タシケントで開かれた第16回SCOサミットで、インドとパキスタン両国がSCO正式加盟のための提携契約等に署名。
・特にプーチン大統領は、(EUによる)対ロシア経済制裁の6ヵ月延長に失望していたが、インド・パキスタンに加えて、将来イランが加わることで、SCOが全世界人口の約半分が加わる共同経済圏となることを歓迎。」
SCOは、インドとパキスタンの正式加盟で、人口約30億人、国内総生産20兆ドル(約2千兆円)の巨大組織となることになる。そして、ロシア主導の「ユーラシア経済連合」と中国が進める「一帯一路(シルクロード経済圏)」構想を核とした、ユーラシア大陸の巨大な経済圏創設への足掛かりとなるため、日米欧が形成する西側自由主義経済圏の強力な対抗組織となる恐れがある。
(注)SCO:中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8ヵ国による多国間協力組織、もしくは国家連合。2001年6月15日、上海にて設立。
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