5月14日付Globali「中国の“一帯一路”政策、資金力で世界を呼び込む(?)」の中で、“習指導部が、アジア・インフラ投資銀行(AIIB)とともに注力している「一帯一路」政策(新シルクロード経済圏構想)について、潮目が変わったのか、米国のみならず北朝鮮までも中国サミットに代表を送ることを決定しており、中国マネーに引き付けられる国が増えてきている”と報じた。しかし、同サミットもふたを開ければ、ドイツなど欧州参加国が、貿易に関する中国提示の文書について、物資調達の透明性や環境基準への懸念を理由に署名を拒んだかと思えば、インドは、中国が進めているカシミール地方(パキスタンと領有権を争う地域)への開発計画に鑑み、国家主権と領土保全への懸念を無視しているとして同サミットそのものへの参加を拒否している。中国は、中国主導でアジア~アフリカ~欧州を繋ぐ一大経済圏を世界と協力して創設していくとぶち上げているが、これまで世界経済を牽引してきた米国から覇権を奪うという大策略が透けて見えることから、金に困っている国を除いて、多くの国から賛同を得るのは容易ではないとみられる。そもそも中国は、外貨準備高が世界最大の3兆ドル(約340兆円)を有する資金力豊かな国としているが、内実は対外債務を4兆6,000億ドル(約520兆円)も抱えている(末尾追記参照)。
5月17日付米
『NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)ニュース』(米非営利・公共放送):「中国の“新シルクロード構想”、目標は壮大で克服すべき課題も数多」
5月15日に閉幕した、中国主導の「一帯一路」国際フォーラムには、29ヵ国の首脳を含め130ヵ国以上の代表が参加した。中国自身が、「一帯一路」政策を“世紀のプロジェクト”と位置付け、4つの大陸を交易・鉄道網・港湾・高速道路で結びつけるとする壮大なインフラ開発計画である。今回、自国のインフラ投資・開発に中国資金が投入されることを期待しているアジア諸国を含めて、およそ70ヵ国が中国との協力協定に署名している。
中国の主たる目的のひとつは、中東からの石油・天然ガス輸送用のパイプラインを、ミャンマー・パキスタンを経由するルートに敷設することで、米国勢力下にあるマラッカ海峡(マレー半島とインドネシア・スマトラ島を隔てる海峡で、太平洋とインド洋を結ぶ海上交通上の要衝)を経由しなくとも済むようにすることである。
中国は声高に、世界経済発展のための一大プロジェクトを推進するもので、決して他国の主権を脅かしたり、中国の制度や影響力を押し付けるものではないとしているが、例えばインドなどは、パキスタンと領有権争いのあるカシミール地方のインフラ建設を、中国が勝手に進めようとしているとして、同国際フォーラム自体への参加を拒否している。
5月16日付英
『ザ・UKニュース』:「中国、新シルクロード開発プロジェクトについて68ヵ国と協力協定締結」
中国が推し進める、東と西の大陸を結びつける21世紀の壮大なプロジェクトと称する“新シルクロード”開発プロジェクトについて、中国の習近平(シー・チンピン)政権は5月15日、68ヵ国と協力協定を締結したと発表した。
習主席は「一帯一路」国際フォーラムを通じて、中国一国の勢力圏拡大の意図は全く持っておらず、多くの国々や国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)などと協力して、世界にはびこりつつある保護主義に対抗して大規模自由貿易圏を創り上げていくと訴えた。
なお、次回の「一帯一路」国際フォーラムは、今回と同じく中国で2019年に開催される予定である。
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「“新シルクロード”政策で、中国が世界の牽引役を担うと標榜」
5月15日に閉幕した「一帯一路」国際フォーラムにおいて中国は、今後世界におけるインフラ開発・建設、国際貿易の牽引役を担っていくとアピールした。
習主席は同フォーラムにおいて、インフラ整備等で1,200億ドル(約13兆5,600億円)余りの投資を含めて、「一帯一路」開発プロジェクトに総額7兆ドル(約791兆円)を投じる計画を発表している。そして、同フォーラムに出席したウラジミール・プーチン大統領も、アジアと欧州を結びつける「一帯一路」政策を含めた一大経済圏構想に賛同・支持を表明した。中国側としても、ロシア抜きのアジア~欧州ルートの開発・展開は不可能と考えている。
5月17日付中国
『新浪(シナ)英字ニュース』(
『新華社通信』配信):「“一帯一路”フォーラムは貿易連携を強め保護主義に対抗」
経済専門家は、5月14、15日に北京で開催された「一帯一路」国際フォーラムによって、国際貿易の連携を強化して、台頭し始めた保護主義に対抗する大きなうねりが示されたと評価した。
また、「一帯一路」政策の実現で、例えば、世界貿易高の僅か3%にも満たないアフリカ諸国にとって、輸出競争力向上のための鉄道・港湾などのインフラ開発が進捗することとなり、ケニヤ・エチオピア・タンザニア等に大きな利益をもたらすことに繋がるとする。
なお、中国主導のAIIBの競争相手と目されるアジア開発銀行(ADB)の2016年金融報告によると、同行の主要融資残高は上位5ヵ国合計で480億ドル(約5兆4,200億円)に上り、その最大の融資先は中国:155億ドル(約1兆7,500億円)である。以下、②インド:133億ドル(約1兆5,000億円)、③インドネシア:88億ドル(約9,900億円)、④フィリピン:60億ドル(約6,800億円)、⑤パキスタン:48億ドル(約5,400億円)。
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ジョージタウン大学のプライバシー&テクノロジーを研究するロー・センターによれば、警察当局が使用している顔認証データベースには精度に関してさまざまな問題があるという。そのデータベースには1億1千7百万ものアメリカ人の写真が含まれている。もちろん、相当量は運転免許証からであると、「National Public Radio(NPR)」が報じている。データベースが巨大になればなるほど、人物誤認の可能性も高くなり、テクノロジーに関する法的基準がない場合には特にその可能性が高い、と科学者たちは警告している。
「NPR」によれば、FBIは顔認証ソフトを捜査には使っているが身元の特定には使用していないという。
「The Perpetual Line-Up」(無期限の容疑者の顔ぶれ、とでも言えばよいだろうか)というタイトルがついたジョージタウン大学の報告書により、顔認証ソフトは肌の色が濃い人たちにはうまく機能しないことが分かっている。肌の色が濃い人たちは全体的な色のコントラストが少ない。顔認証で使うアルゴリズムは、わずかなパターンや色をピックアップして人々を区別しているので、色のコントラストが少ない人たちを区別することは困難になる、とコンピューター科学者のJonathan Frankle他は言う。
また、防犯カメラは通常天井に取り付けられていることが多いので、それらの映像には明確に顔を確認できるものが含まれていないことも多い。
さらに、どのように運転免許証の写真が撮られているのかも問題である。アメリカ合衆国商務省アメリカ国立標準技術研究所のコンピューター科学者Patrick Grotherは「NPR」に以下のように語った。もし警察当局が今後も、運転免許証の写真を顔認証データベースとして使うなら、光りの加減や高さや焦点に関しての基準が必要である。そのような基準や技術的な仕様なくしては、顔認証システムは危ういものとなるだろう。
「ロサンジェルス・タイムズ」
で、上述したジョージタウンジョージタウン大学のプライバシー&テクノロジーを研究するロー・センターのClare Garvieや他の研究者たちは、顔認証ソフトを使う警察当局を管理するための立法の必要性を訴えている。
警察は通常、裁判命令がなければ人々の位置を追跡することはできない。しかし、多くの司法において、遠隔カメラや顔認証により人々の位置を特定しており、そこに制限がないのが事実である。
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