6月中旬にホルムズ海峡航行中の2隻のタンカーが、何者かの攻撃を受けた事件によって、米・イラン間での罵り合いとなっている。しかし、被害を受けた日本のタンカー運航会社社長が、米軍発表とは異なり、吸着型機雷ではなく発射体による攻撃だと証言している。一方、イランメディアは、米国によるイラン軍の仕業だとの非難を覆す証拠、すなわち米国支援の反イラン政府組織による陰謀を伺わせる交信を傍受していると報じた。
6月14日付米
『NBCニュース』:「日本タンカーの運航会社社長、米軍発表と異なる証言」
オマーン沖で何者かの攻撃を受けた日本のタンカー運航会社の社長が6月14日、米軍とは異なり、発射体による攻撃を受けたと証言した。
米中央軍報道官のビル・アーバン海軍大尉は6月13日、ホルムズ海峡を航行中の2隻のタンカーが吸着型機雷による攻撃を受けたとした上で、イラン革命防衛隊(IRG)の仕業だとする証拠ビデオをリリースしていた。...
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6月14日付米
『NBCニュース』:「日本タンカーの運航会社社長、米軍発表と異なる証言」
オマーン沖で何者かの攻撃を受けた日本のタンカー運航会社の社長が6月14日、米軍とは異なり、発射体による攻撃を受けたと証言した。
米中央軍報道官のビル・アーバン海軍大尉は6月13日、ホルムズ海峡を航行中の2隻のタンカーが吸着型機雷による攻撃を受けたとした上で、イラン革命防衛隊(IRG)の仕業だとする証拠ビデオをリリースしていた。
しかし、タンカー“コクカ・カレイジャス”運行会社である国華産業の堅田豊社長は、発射体が同船に向かって飛んできたと船員が証言していると明言した。
一方、イランのジャバード・ザリーフ外相は、IRGの関与を全面否定した上で、証拠もないでっち上げのクレームだと非難している。
6月22日付イラン『イラン・フロント・ページ(IFP)』オンラインニュース:「タンカー攻撃に関わるサウジアラビア・MKO間の交信を傍受」
当『IFPニュース』は、MKO(注後記)のサイバー戦争担当のシャフラム・ファクテーと、MKO支援者であるサウジアラビアのダエイ・アル=エルサムが、6月13日発生のタンカー攻撃に関して話す交信記録を入手した。
それによると、今回のタンカー攻撃がイランの仕業だとすることに成功したとした上で、本事件が国連安全保障理事会討議事項とされたり、また、国連軍の介入まで想定され、イランと米国の衝突まで発展する可能性が高まったとしている。
MKOはこれまで、1万7千人以上のイラン高官等を暗殺している反政府組織で、米国及びサウジアラビアを含めた中東の一部の国から支援を受けている。
なお、米国、サウジアラビア及びアラブ首長国連邦(UAE)は、5月12日にUAE沖で発生した4隻のタンカー攻撃はもとより、6月13日オマーン湾で発生した2隻のタンカーの攻撃も、IRGの仕業だと非難している。
(注)MKO(モジャーヘディーネ・ハルグ):1965年結成のイランの反体制武装組織。イスラム社会主義を掲げ、現在のイランのイスラム共和制に基づく政権と厳しく対立。
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