豪州、中国対峙では日・米に負けじと豪海軍史上最大の軍艦をフィリピンに派遣して合同訓練【米メディア】(2023/08/23)
豪州は、インド太平洋地域における安全保障強化の一環で、同地域で影響力を拡大している中国に対峙することを念頭にクワッド会議(注1後記)やAUKUS(注2後記)に加盟している。そうした中、その中国から南シナ海において妨害行為を受けたフィリピンを支援する目的で、豪海軍史上最大の軍艦をフィリピン沖に派遣して、日本・米国とともに合同訓練を実施している。
8月21日付
『USNIニュース』(2012年創刊、非営利団体米海軍研究所が保有)は、豪州海軍がキャンベラ級強襲揚陸艦を南シナ海に派遣し、フィリピン国軍と初めての共同軍事訓練を実施していると報じた。
豪州は元々、米国がフィリピンと締結しているのと同等の「訪問軍に関する地位協定(VFA、注3後記)」を有しているが、これまでは特に目立った動きはみせていなかった。
しかし、クワッド会議に加えてAUKUS締結と、インド太平洋地域におけるプレゼンス強化を目指してきていることもあって、同地域での関係諸国との軍事演習に積極的参加の姿勢を見せ始めている。...
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8月21日付
『USNIニュース』(2012年創刊、非営利団体米海軍研究所が保有)は、豪州海軍がキャンベラ級強襲揚陸艦を南シナ海に派遣し、フィリピン国軍と初めての共同軍事訓練を実施していると報じた。
豪州は元々、米国がフィリピンと締結しているのと同等の「訪問軍に関する地位協定(VFA、注3後記)」を有しているが、これまでは特に目立った動きはみせていなかった。
しかし、クワッド会議に加えてAUKUS締結と、インド太平洋地域におけるプレゼンス強化を目指してきていることもあって、同地域での関係諸国との軍事演習に積極的参加の姿勢を見せ始めている。
そうした中、8月初めにフィリピン海軍が傭船した船舶に対して、中国海警艦及び武装民兵船が妨害行為を行い、南シナ海における中国・フィリピン間の緊張が高まっていることから、日本・米国に追随して、豪州も同国海軍史上最大のキャンベラ級強襲揚陸船(オスプレーMV-22B輸送機搭載、2014年就役)をフィリピン沖に派遣して合同軍事訓練を行うことになった。
豪州とフィリピンが共同で軍事訓練を行うのは今回が初めてで、「Exercise Alon 2023」と銘打った陸海共同演習には、豪州・ダーウィン駐留の米海兵隊も支援参加した。
同訓練は、フィリピン最西端のパラワン島沖で行われ、豪州軍から1,200人、フィリピン軍から700人、そして米軍から150人の将兵が参加している。
フィリピン海兵隊のクリスティン・サロン中佐は、“今回の共同訓練は、お互いの繁栄、安全保障を維持するだけでなく、両国の軍事連携をより確かなものにする上で意義のあることだ”との声明を発表した。
また、豪州空軍のトニー・マコーマック准将は、“両国は、東南アジア諸国連合の中心に位置するインド太平洋地域における平和・安全保障の維持・繁栄のため、共通の認識を有している”と語っている。
なお、豪州のリチャード・マールス副首相兼国防相(56歳、2022年就任)が同共同訓練の視察に訪れることになっている。
更に、アンソニー・アルバニージー首相(60歳、2022年就任)が9月8日、豪州首相として20年振りにマニラを訪問する予定である。
(注1)クワッド会議:日・米・豪・印4ヵ国でつくる連携や協力の枠組み。メンバー国は、民主主義等の価値観を共有していて、それぞれ連携を強めることで、インド太平洋地域で影響力を高める中国の行動を抑えたい狙いを持つ。特に米国は、中国に対抗する上で価値観を共有する同盟国や友好国との連携を重視していて、クワッド会議を首脳レベルに引き上げ、2021年3月にオンラインの首脳会議を主催。同年9月には対面での首脳会議を初めて開き、今後は毎年開催することで合意。2022年5月には日本で開催。
(注2)AUKUS:米・英国・豪州間の軍事同盟。2021年9月発足。米・英国は、豪州による原子力潜水艦の開発・配備を支援し、太平洋地域における西側諸国の軍事プレゼンスの強化を目指す。
(注3)VFA:豪軍兵士のフィリピン国内での法的地位について定め、合同軍事演習や有事の際に豪軍の迅速な援助を可能とする協定。2012年締結。
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米軍空母打撃群、G-7サミット牽制の中国軍艦隊を警戒して佐世保港入港【米メディア】(2023/05/21)
5月12日付GLOBALi「米メディア、中国軍艦隊がG-7サミット主導の日本を牽制して日本列島を周回監視航行と報道」どおり、中国軍艦隊が4月末から1週間、主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)を主導する日本を牽制すべく、日本列島を周回監視航行している。そこで、米軍空母打撃群がこの程、中国軍の次なる行動を警戒してG-7サミット開催直前、米海軍佐世保基地に入港している。
5月19日付
『USNIニュース』(米NPO米海軍協会が2012年設立の国防専門メディア)は、米軍空母打撃群が、G-7サミット牽制のために日本列島を周回監視航行している中国軍艦隊を警戒して、同会議開催直前に米海軍佐世保基地(太平洋第7艦隊軍事基地)に入港したと報じている。
米海軍原子力空母“ニミッツ”(1975年就役)が率いる空母打撃群が、広島で開催されるG-7サミット直前の5月19日、佐世保港に入港した。...
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5月19日付
『USNIニュース』(米NPO米海軍協会が2012年設立の国防専門メディア)は、米軍空母打撃群が、G-7サミット牽制のために日本列島を周回監視航行している中国軍艦隊を警戒して、同会議開催直前に米海軍佐世保基地(太平洋第7艦隊軍事基地)に入港したと報じている。
米海軍原子力空母“ニミッツ”(1975年就役)が率いる空母打撃群が、広島で開催されるG-7サミット直前の5月19日、佐世保港に入港した。
米海軍が同日にリリースした声明によると、同空母に随行して、ミサイル駆逐艦“ウェイン・E.・マイヤー”(2009年就役)、同“チャン=フー”(2004年就役)、同“ディケーター”(1998年就役)、同“ポール・ハミルトン”(1995年就役)、及びミサイル巡洋艦“バンカー・ヒル”(1986年就役)も入港している。
この空母打撃群が日本に入港する前、中国人民解放軍(PLA)海軍の艦隊が、4月30日から5月13日にかけて、日本列島を周回する監視航行をしていた。
防衛省傘下の統合幕僚監部(2006年設置、外国軍の統合参謀本部に相当)の5月9日リリース声明によると、監視航行した艦隊は、ミサイル巡洋艦“拉薩(ラサ)”、ミサイル駆逐艦“貴陽(クイヤン)”、同“斉斉哈爾(チチハル)”、フリゲート艦“棗荘(ザオジュアン)”、及び船団給油艦“太湖(タイフ)”であるという。
当該声明によると、同艦隊は4月30日に対馬海峡を皮切りに、5月5~6日にラ・ペルーズ海峡(宗谷岬とサハリンの間、日本名宗谷海峡)を通過し、5月11~13日にかけて須美寿島(伊豆諸島の無人島)及び鳥島(同)まで航行したという。
一方、G-7サミットのメンバー国である英国も、対中国牽制に積極的な対応を見せている。
すなわち、英国は日本との間で5月18日、防衛・技術分野での協力強化を定めた「広島協定」を交わした。
その中で両国は、“国際法や国連憲章に則った主権及び領土を尊重し、これに違反するような行為に対して協同で対抗する”と定めている。
更に、リシ・スナク首相(43歳、2022年就任)事務所が同日にリリースした声明によると、英国も2025年までにインド太平洋海域に空母“プリンス・オブ・ウェールズ”(2019年就役)率いる空母打撃群を配備するという。
なお、同空母は昨年、推進システム等に不具合が発生して現在大規模修理中であるが、ベン・ウォーレス国防相(53歳、2019年就任)は今週英国議会に対して、同空母は“今秋には完全復帰する見通しだ”と説明している。
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