新型コロナウイルス対策がクライシス段階からコントロール段階に移ろうとしている。12歳以上のワクチン接種率が90.5%とワクチン先進国の1つであるスペインは、新型コロナウイルスを季節性インフルエンザのような流行ウイルスとみなす対策を欧州各国に広めようとしている。保健当局はこれに反対し、このアプローチは時期尚早だとしている。
1月21日付
『AP通信』:「新型コロナとの共存:欧州の新たなコロナ戦略」:
新型コロナウイルスの流行初期、スペインでは3か月以上のステイホームが要請され、国民は数週間外での運動や子どもの屋外遊びも禁止され、経済は事実上停止したのだが、政府はこの厳しい措置が医療崩壊を防ぎ多くの命が救われたと主張した。
だが約2年経った今、欧州でもワクチン接種率が高くまた経済的ダメージも大きい国の一つであるスペインは逆の対応の準備を進めている。...
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1月21日付
『AP通信』:「新型コロナとの共存:欧州の新たなコロナ戦略」:
新型コロナウイルスの流行初期、スペインでは3か月以上のステイホームが要請され、国民は数週間外での運動や子どもの屋外遊びも禁止され、経済は事実上停止したのだが、政府はこの厳しい措置が医療崩壊を防ぎ多くの命が救われたと主張した。
だが約2年経った今、欧州でもワクチン接種率が高くまた経済的ダメージも大きい国の一つであるスペインは逆の対応の準備を進めている。次の感染爆発が起きても、緊急事態を敷かず蔓延防止を見送ることを検討しているのだ。似たような対策を検討している国は他にもあり、ポルトガルや英国が同様の措置を検討しているという。
このようなアプローチは、通常のインフルエンザやはしかへの対応とほぼ変わりがない。感染状況を受け入れ、高リスク層へ特化したケアを強化するというやり方だ。スペインの中道左派サンチェス首相は、EUに同様の方針転換するよう求めている。
一方、世界保健機構(WHO)は、感染者数ではなく重症化の程度が問題だとして、早急な方向転換をすべきでないとする。米感染症第一人者のファウチ博士は、今週の世界経済フォーラムで「社会活動を止めない程度にならなければコロナを流行病とは認定できない」と述べている。
スペインのワクチン2回接種率は8割を超えており、成人への3回目ブースターに入っている。新型コロナ戦略を主導するスペイン家族地域医療学会のトレンシェ医師は、「コロナは別の病気と同様に扱われるべきで、通常扱いすることで、コロナ以外の病気への治療の遅れを避けることに繋がる」とする。この戦略はスペインメディアからは、「新型コロナウイルスのインフルエンザ化」と称されている。
しかしながら、流行病に引き下げようという案は、ワクチンや保健システムが整っており、最悪の感染状況を脱した富裕国に留まる。中国の「ゼロコロナ政策」や他のアジア諸国との折り合いも不透明となっている。
多くの国では、記録的なオミクロン型感染者数が出ており、風邪症状に留まる労働者への大規模検査をやめ、隔離期間を短縮。今年からスペインの学校では、感染確認時ではなく大規模感染の場合のみ休校措置としている。
ポルトガルでは、ワクチン接種率が高いが、1日で4万以上の感染者が出たことで、分類引き下げ議論は風化。
イギリスでは、国民の95%が感染またはワクチンにより抗体を獲得したとされ、ジョンソン首相は、「コロナがエンデミック(一定期間で繰り返される流行)となった、(状況改善により)義務は勧告や指示に代わる」としている。
コロナを通常の風邪とすることは、懐疑的な国民にブースター接種を進めたい国では相いれない状況となっている。ドイツでは2回目まで接種した人が73%で感染者数が日々記録を更新しており、イタリアではワクチン義務化を50歳以上に拡大し未接種者には罰金も科している。
1月20日付仏『France24』(AFP通信):「スペイン主導で新型コロナをインフルエンザの扱いとする動き」:
スペインは、新型コロナを季節性インフルエンザのような流行ウイルスとみなす対策を各国に広めようとしている。WHOはこれに反対し、このアプローチは時期尚早だとしている。
各国がパンデミックの終息を求める中、スペインではコロナの分類をどの段階で引き下げるかの議論が高まっており、ダリアス保健相は、「スペインは今がその時期で、必要とされるこの議論をリードする」、「スペインは欧州CDCに新たな戦略の調査を求めた」と述べている。今週サンチェス大統領は、「パンデミックを流行病の一種と分類した対応」をすべく、科学部門とも調整中」だとしている。
一方、通常化を求める国と、慎重な警戒を求める医学会との間で意見が食い違っている。WHOのテドロス事務局長は19日、パンデミックの「終息は程遠い」とし、新たな変異株がまだしばらく終息しないとの警戒感を強めた。また、WHO健康緊急プログラムのライアン常務理事は、マラリア等の例を挙げ、「風土病になることは決して良いだけでなく、ずっとそれと共存しなければならないということだ」と強調した。
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イギリスのEU離脱により、フランスでは、イギリス経由の物流ルートが滞り、代わりにアイルランド経由の貿易ルートが増えている。新型コロナウィルス変異種の流行地域からの感染を抑えるため、フランスではアイルランドのトラック運転手への新型コロナウィルス簡易抗体検査を行うことを検討している。
1月17日付仏
『France24』は「フランスが(英国経由でなく)アイルランド経由の貨物トラック運転手へのコロナ検査義務化を検討」との見出しで以下のように報道している。
フランスの運輸大臣によると、フランスは英国のEU離脱に伴い、アイルランドを経由した物流ルートの輸送トラック運転手に対し、新型コロナウィルス簡易抗体検査の義務付けを検討しているという。ここ数週間、欧州からは、これまでの英国を経由したルートでの遅れを避ける目的で、アイルランドを経由した輸送が増加している。...
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1月17日付仏
『France24』は「フランスが(英国経由でなく)アイルランド経由の貨物トラック運転手へのコロナ検査義務化を検討」との見出しで以下のように報道している。
フランスの運輸大臣によると、フランスは英国のEU離脱に伴い、アイルランドを経由した物流ルートの輸送トラック運転手に対し、新型コロナウィルス簡易抗体検査の義務付けを検討しているという。ここ数週間、欧州からは、これまでの英国を経由したルートでの遅れを避ける目的で、アイルランドを経由した輸送が増加している。この新たな対策は、英国で見つかった新型コロナ変異種がアイルランドでも感染拡大していることを受けてのもの。
エイモン・ライアン運輸相は、RTE(アイルランド放送協会)を通じ、アイルランドからの渡航者へは、検査に数日間を要するPCR検査を検討していた。フランスは現在、全ての入国者に同様の検査を求めている。一方で、アイルランドから来たトラック運転手には、数分で検査が済む簡易抗体検査の導入も検討しているという。
同運輸相は、政府が検査を要求するなら、サプライチェーンの妨げにならないよう対策を行う必要があるとしている。12月には英国の運転手への検査が原因で貿易面で大きな遅延を招いた。フランスは金曜、非EU加盟国からのフランスへの渡航者へコロナ陰性要件を求めたが、トラック運転手へは簡易抗体検査のみで渡航可能としている。
アイルランドはEU加盟国だが、シェンゲン協定加盟国ではない。フランスのクレマン・ボーヌ欧州問題担当国務長官は、欧州地域内の対策強化について検討を行うとしているが、簡易検査は難しいとの考えを示している。
同日付アイルランド『Breakging News.ie』は「フランスがアイルランド経由のトラック運転手へのコロナ簡易検査義務付けの可能性、ライアン氏」との見出しで以下のように報道している。
フランスは物流ルートで働くアイルランドのトラック運転手への新型コロナウィルス簡易検査を行うことを検討している。1月1日をもってイギリスがEUの貿易協定から離脱したことで、ここ数週間、アイルランドから非常に多くの輸送商品がフェリーでフランスに運ばれている。
エイモン・ライアン運輸大臣によると、アイルランド国内同様、アイルランドからの渡航者に向けたPCR検査の義務付けを検討していたが、一方、検査結果が数分で判明する抗原検査導入も検討されている。先月、トラック運転手への検査要請により、イギリス経由の物流は大きな影響を受けていた。
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