死亡交通事故を起こして収監中の在日米軍将校の妻、国防総省は夫より同盟国の利益優先と非難【米メディア】
2022年7月27日付GLOBALi「
死亡交通事故を起こした在日米軍将校の裁判が日米地位協定の問題にまで波及の恐れ」で報じたとおり、横須賀基地所属の米軍将校が2021年5月に起こした交通事故に関わる裁判結果について、長年日本側から上がっている日米地位協定(注後記)への不満のはけ口として、同将校がスケープゴートにされているとの極論も出る程である。ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)まで介入が取り沙汰されたが、半年経った今でも状況は進展しておらず、同将校の妻が米テレビ報道番組に出演して、国防総省(DOD、1947年前身設立)は夫よりも同盟国の利益を優先していると嚙みついている。
1月15日付
『BizPac Review』オンラインニュース(2009年設立の政治専門メディア)は、「日本で収監中の米海軍中尉の妻、DODは夫を“見捨てた”として、“想像を絶する扱い”を糾弾」と題して、米テレビ報道番組に出演した同将校の妻が、本来所属する将兵を守るべきDODはむしろ同盟国の利益を優先している、と非難していると報じた。
米海軍のリッジ・アルコニス中尉(35歳)は目下、急性病態だったために死亡交通事故を起こしてしまったにも拘らず、無謀運転の罪で日本の刑務所に収監されている。...
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1月15日付
『BizPac Review』オンラインニュース(2009年設立の政治専門メディア)は、「日本で収監中の米海軍中尉の妻、DODは夫を“見捨てた”として、“想像を絶する扱い”を糾弾」と題して、米テレビ報道番組に出演した同将校の妻が、本来所属する将兵を守るべきDODはむしろ同盟国の利益を優先している、と非難していると報じた。
米海軍のリッジ・アルコニス中尉(35歳)は目下、急性病態だったために死亡交通事故を起こしてしまったにも拘らず、無謀運転の罪で日本の刑務所に収監されている。
同中尉の妻であるブリタニー・アルコニス氏がこの程、DODから自身や家族が受けた扱いは“想像を絶するもの”だと糾弾した。
同将校は横須賀基地に所属しているが、一昨年5月、富士登山後に運転していたところ、急に意識を失って運転操作が困難になり、結果として2人が死亡する事故を起こしてしまっていた。
2021年10月、日本の裁判所は無謀運転の罪との有罪判決を下したため、同中尉は日本の刑務所に収監されている。
そこでブリタニーは1月15日、『Foxニュース』(1996年開局)の報道番組「Fox & Friends Weekend」(1998年放送開始)に出演して、“夫は急に失神してしまい、運転操作が不可能となり、結果として事故を起こしてしまった”としたが、“心臓発作、卒中、その他発作のような急性病態が理由の場合、米国はもとより日本でも罪に問われないはずなのに、夫は収監されたままだ”と訴えた。
その上で彼女は、“夫が所属するDODが管轄当事者として関与してくれることを望んでいたが、動こうとはしてくれなかった”とし、“DODからは、彼らの任務は日本やその他同盟国を守ることだと言われたことから、夫よりも米海軍や同盟国の利益が優先されると言われたことに等しい”と嘆いた。
彼女の訴えを聴いた同番組共同司会のピート・ヘグセス氏(42歳)は、“国を守るために尽くしている将兵に対して、DODの扱いは余りにも惨く、どれ程裏切られたと感じるか”と同情するコメントをした。
これに対してブリタニーも、“十年余りも国のために人生を捧げてきたのに、DODは夫や私たち家族も見捨てており、これは想像を絶する話だ”と涙ながらに語った。
同将校の救済を訴える運動を行っているマイク・リー上院議員(51歳、ユタ州選出共和党員、2011年初当選)は昨年12月22日、“リッジ・アルコニス中尉救済のために、同僚上院議員らにも立ち上がって欲しい”とツイートしている。
同議員は更に1月15日、ブリタニーのテレビ番組での訴えを受けて、“アルコニス中尉の事件は全く複雑な事態ではなく、何ヵ月も前に解決されているべき問題だ”とした上で、“同中尉が守ろうとしたDODや同盟国に見捨てられた、と感じているだろうことは想像に難くない”とも発言している。
なお、彼女は、“バイデン大統領及びカマラ・ハリス副大統領(57歳、2021年就任)が本件について直接日本の首相に話してくれている”と聞いているようで、今週、直接会話できたラーム・エマニュエル駐日大使(63歳、2022年末就任)からも、“年初の多忙な時期ながら、本件について前進させるべく時間を割いており、慎重を要するが希望は持てる、と説明してくれた”と言及している。
(注)日米地位協定:日本と米国との間の「相互協力及び安全保障条約」第六条に基づく、施設及び区域並びに日本における米国軍隊の地位に関する協定。1960年日米安全保障条約改定と同時に制定。
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米シンクタンク、中国がもし台湾封鎖に踏み切ると世界経済に2兆ドル超の損失発生と試算【米メディア】
習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)は、事ある毎に“武力を駆使しても台湾統一”を表明していて、それに呼応するように人民解放軍(PLA)の軍艦・戦闘機が繰り返し台湾海峡等で武力を誇示している。そうした中、米シンクタンクが、もし中国が台湾封鎖に踏み切ると、台湾が半ば牛耳る世界の半導体市場に大打撃となり、結果として世界経済にとって2兆ドル超の損失が発生すると試算している。
1月5日付
『Foxニュース』は、「米シンクタンク、中国がもし台湾封鎖すると世界経済は2兆ドル超の損失と試算」と報じている。
中国と台湾間の緊張は、過去数十年の中で昨年が最高レベルになっている。
そうした中、米シンクタンクが、中国がもし台湾封鎖に踏み切ると、世界経済にとって2兆ドル(約268兆円)超の損失を被る恐れがあると試算した。
中国は台湾を勝手に離脱した中国の一省だと主張しているが、1949年に22年間も続いた内戦に勝利した中国共産党が中国大陸を治めることになって以降も、台湾は民主独立の国として存続してきた。...
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1月5日付
『Foxニュース』は、「米シンクタンク、中国がもし台湾封鎖すると世界経済は2兆ドル超の損失と試算」と報じている。
中国と台湾間の緊張は、過去数十年の中で昨年が最高レベルになっている。
そうした中、米シンクタンクが、中国がもし台湾封鎖に踏み切ると、世界経済にとって2兆ドル(約268兆円)超の損失を被る恐れがあると試算した。
中国は台湾を勝手に離脱した中国の一省だと主張しているが、1949年に22年間も続いた内戦に勝利した中国共産党が中国大陸を治めることになって以降も、台湾は民主独立の国として存続してきた。
しかし、習近平国家主席やその他多くの共産党幹部は揃って、“台湾統一”のために武力行使は厭わないと強硬姿勢を示している。
かかる背景より、米シンクタンクのロジウムグループ(RG、ニューヨーク本拠の世界政治経済分析や中国問題専門の研究所)がこの程、中台間で軍事衝突が発生した場合の世界経済への影響度について分析した結果を公表した。
RG研究員によると、“当然”のことながら、台湾海峡が封鎖された場合の世界経済活動への影響は膨大となるとの結論であり、それは2兆ドル超にも上ると試算されるという。
RG試算でまず言及されているのは、半導体のサプライチェーンの要となっている台湾との貿易が遮断されることに伴う損失である。
台湾は、世界最先端のコンピューターチップ生産の92%を、また然程高度でないチップの3分の1から半分の市場を占めていることから、車・スマートフォン・パソコン等の生産にすぐ支障をきたすことになる。
RGによれば、“台湾封鎖が発生すると、台湾製半導体に頼る多くの世界企業が、少なく見積もっても総額1兆6千億ドル(約214兆4千億円)の減収を被ることになると見込まれる”という。
台湾製半導体に頼るその他二次産業も被害を受けることになるので、“最終的に半導体不足に伴う社会的・経済的損失がどれ程になるのか数値で表すのは難しいが、ともかく壊滅的であることは紛れもない”と言及している。
また、RGレポートでは、世界の金融機関が、銀行団中国との国際貿易に関わっている多くの企業に対して、台湾封鎖中の貸し付け躊躇することになろう故、中国との貿易額が2,700億ドル(約36兆1,800億円)余り落ち込むと試算されている。
更にRGは、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の際に発生したように、台湾封鎖に伴い米国証券取引所に上場されている中国企業株式を保有する機関投資家が一斉に売却に走るとみている。
すなわち、2022年9月現在の中国企業株式総額は7,750億ドル(約103兆8,500億円)に上るが、この多くが売りに出されることに伴い、今度は中国政府が、2022年のロシアの例に倣って、一斉に中国における外国資本を国有化することになろうとみている。
なお、RGは、台湾の1,270億ドル(約17兆180億円)相当の直接投資、また、中国1,000億ドル(約13兆4千億円)相当の直接投資分も大きく減失することになるとする。
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