米国ドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席との米中会談がフロリダ州パームビーチのスペイン式別荘で2日間行われるが、初日は両者がまず会食で友情関係を築くことから始められた。会談の開始は、シリアのガス使用への米国の厳しい対応と重なるものとなった。中国の北朝鮮への抑止力を期待する米国は貿易不均衡問題を絡めた取引も視野に入れており、この会談は今後の米中関係を占う上で大きく注目されている。
また韓国に米軍の迎撃ミサイルTHAAD(高高度防衛ミサイル)が配備されたことにより、韓国は中国から経済制裁を受けており、韓国では米中会談でこの制裁を止められるかにも注目が集まる。中国メディアによると、外交の専門家は、今後の長期的な米中関係は互いの利益を見出すことで問題解決に進むだろうと楽観的見方をしている。
4月6日付
『ロイター通信』は「トランプと習主席、安全問題や貿易会談の前に会食」との見出しで以下のように報道している。
「スペイン式マーララゴリゾートで米中会談が開始、トランプ大統領、周主席らは、争点の多い安全や貿易問題で話を進める前にまずは社交をと、ヒラメのソテーとカットステーキで会食。
トランプ大統領は中国の対米貿易や北朝鮮の核問題への抑止力を期待したいと考えるが、具体的なディールは期待されていない。...
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4月6日付
『ロイター通信』は「トランプと習主席、安全問題や貿易会談の前に会食」との見出しで以下のように報道している。
「スペイン式マーララゴリゾートで米中会談が開始、トランプ大統領、周主席らは、争点の多い安全や貿易問題で話を進める前にまずは社交をと、ヒラメのソテーとカットステーキで会食。
トランプ大統領は中国の対米貿易や北朝鮮の核問題への抑止力を期待したいと考えるが、具体的なディールは期待されていない。会食冒頭の挨拶で、「すでに長時間議論しているが、今のところ収穫はない。でもわれわれは友情関係を築いており、今後も発展させていく」と述べた。両氏の間では、金曜の昼食会議までには貿易や外交政策問題に関した議論がされるものと思われる。今回の会談には、マティス国防長官やスティーヴン・ムニューシン財務長官のなどの経済と国土安全担当補佐官を、また娘のイヴァンカとクシュナーも同席させる予定である。
両者は対照的で、つぶやきで怒りを放出するトランプとソーシャルメディアは使わず表向き沈着で練られた声明をする習主席。懸念される事はトランプ氏がこれまで他国の首相らにしたように公の場で習主席を困らせる事である。
米政府は中国の銀行との結びつきが強い北朝鮮への「第二の制裁」を含む経済的、軍事的圧力の選択肢を模索しており、長く検討されてきた先制攻撃という選択肢も残されるが、軍事的行動に出れば、北朝鮮の報復により、米軍基地のある韓国、日本で多くの犠牲者が出るとみられる。
昨年の選挙中、トランプ氏は中国は米国の雇用を奪っている、米国の製造業を建て直し、労働者の立場に立つと宣言、絶大な支持を得て選挙に当選したがこの方針は現在も続く。貿易に関し、米国労働者幹部らは中国には断固とした態度をとるべきと主張。行政高官は世界貿易機構への提訴などの法的手段に出る可能性にも言及している。
4月7日付中国
『Ecns.cn』(新華社通信引用)は「習主席、トランプとの会談の向け米国到着」との見出しで以下のように報道している。
「習夫妻は冬のホワイトハウスと呼ばれるマーララゴを訪れるため訪米、フロリダの空港ではティラーソン国務長官夫妻らの歓迎を受け到着した。?2日間の会談では米中両国関係、アジア地域や世界各国の共通問題への意見交換が行われる。習主席は、この会談は今後の両国の関係を占う上で非常に重要となると述べている。
中国は米国の最大の貿易国で、昨年は両方向貿易は5296億ドルに達した。(1979年には25億ドル)
中国との経済協力は米国の雇用創出には重要で、米中ビジネス協議会の1月の報告書によると、中国製製品が米国の消費者にとり低コスト化に貢献する一方、両方向貿易投資で米国の各産業の雇用が260万増加(2015年)しているという。
国際コンサルタント会社「キッシンジャー・アソシエイツ」の副社長は、両国は「共通の利益」を探り、敵対するのでなく「建設的対話」をすることで、問題解決に進むのが理想的だと述べている。
著名な米国外交政策専門家ジョゼフ・ナイ氏は、「米中関係は敵対と協調の両面があるが、協調により利益も増えるだろう」と、長期的な米中関係を楽観視できると「新華社にコメントしている。」
同日付韓国
『聯合通信』は「トランプ大統領と中国の習主席の初会談が始まる」との見出しで次のように報道している。
「米国は、北朝鮮に食糧やエネルギー供給面を支援している中国の抑止力を期待しており、また米中の貿易不均衡是正をめざし、経済第二位の中国との会談に臨む。赤いネクタイを締めたトランプ大統領は周主席に「ありがとうございます」と言って握手した。
会談に先立ちトランプ氏は、「中国が北への抑止力にならないなら、米国が独自に問題を解決する。そしてそれは誰にとっても好ましくない」と述べている。?また、?北への行動をとる中国への見返りとして貿易カードを使うつもりだとも述べていた。
会談では、米国のTHAADを配備した韓国への中国による経済制裁措置に米国がどう対処するかも注目される。数日前には、米超党派上院議員26がトランプ大統領に対し米中会談で韓国へのTHAAD配備に対する韓国への報復をやめるよう中国に進言する事を求める共同声明を出している。」
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