米政治専門ニュース;トランプ前までの歴代43人の大統領を歴史学者らが評価【米メディア】(2022/02/22)
建国245年を迎えている米国では、のべ46人の大統領が誕生している(スティーブン・グロバー・クリーブランドが第22代・第24代と、唯一連続しない2期を務めたことから2人とカウント)。そして、米政治専門ニュースがドナルド・トランプ前までの43人について、91人の歴史学者らにある指標を基に評価した上で順位付けを行っている。
2月21日付
『ABCニュース』他が、「専門家による米国の歴代大統領の評価ランキング」と題して、米政治専門ニュース
『C-SPAN』(1979年開局のケーブル・チャンネル)が行った、歴史学者ら91人による評価アンケートの結果を紹介している。
それは、ドナルド・トランプ前までの歴代43人の大統領の職務成果について、政治理念・危機管理・経済政策・信望・外交・事務処理能力・議会との関係・政策設定能力・万民の平等追及・任期中の成果、の10項目について、10段階で評価してランキングを付けたものである。...
全部読む
2月21日付
『ABCニュース』他が、「専門家による米国の歴代大統領の評価ランキング」と題して、米政治専門ニュース
『C-SPAN』(1979年開局のケーブル・チャンネル)が行った、歴史学者ら91人による評価アンケートの結果を紹介している。
それは、ドナルド・トランプ前までの歴代43人の大統領の職務成果について、政治理念・危機管理・経済政策・信望・外交・事務処理能力・議会との関係・政策設定能力・万民の平等追及・任期中の成果、の10項目について、10段階で評価してランキングを付けたものである。
以下が、主な大統領の評価結果である:
1位:エイブラハム・リンカーン第16代大統領(1861~1865年在任、共和党)
・総合点 907点(10項目中4項目で1位評価、他も2、3位)
・南北戦争(1961~1965年)の終結、そして奴隷解放政策等で最高評価。また、1863年11月9日のゲティスバーグ演説(奴隷解放宣言)が、独立宣言(1776年7月4日)、米国憲法(1788年6月21日公布、1789年5月4日施行)と並んで、米国の歴史に刻まれる特別な位置を占めることでも高評価。
2位:ジョージ・ワシントン初代大統領(1789~1797年在任、無所属)
・総合点 868点(3項目で1位評価、他も、万民の平等追及以外高評価)
・建国間もない国の基礎造りで輝かしい仕事-独立戦争での活躍、内閣制の確立、米国憲法(1788年発効の世界最古の成文憲法)の遵守、更にウィスキー税反乱(注1後記)の鎮圧等が高評価。
3位:フランクリン・ルーズベルト第32代大統領(1933~1945年在任、民主党)
・総合点 855点(2項目で1位評価、他も、万民の平等追及以外高評価)
・世界恐慌(1929~1930年代後半)を克服するための一連の経済政策(ニューディール政策、1933~1937年)が高評価。
8位:ジョン・F.・ケネディ第35代大統領(1961~1963年在任、民主党)
・総合点 722点(信望・外交・事務処理能力・議会との関係以外はトップ10評価)
・1962年のキューバ危機(注2後記)回避への貢献が高評価。また、核兵器削減に向けての外交政策も評価。
9位:ロナルド・レーガン第40代大統領(1981~1989年在任、共和党)
・総合点 691点(政治理念・危機管理・任期中の成果が高評価)
・「レーガノミクス」で知られる経済成長・雇用創出・歳出削減・大規模減税等の経済政策に伴い、史上最長の好景気となったことで高評価。また、冷戦(1945~1989年)終焉へ向けての平和外交も高評価。
12位:バラク・オバマ第44代大統領(2009~2017年在任、民主党)
・総合点 669点(経済政策・信念・万民の平等追及が高評価)
・アフリカ系米国人初の大統領として、人種差別撤廃等に尽力したこと等で高評価。しかし、包括的移民改革法制定失敗等、任期中の成果に乏しいとして低評価だったため、トップ10に入れず。
15位:ビル・クリントン第42代大統領(1993~2001年在任、民主党)
・総合点 634点(政治理念・経済政策・万民の平等追及が高評価)
・育児介護休業法(1993年)、女性に対する暴力禁止法(1994年)、教育改革、更には北米自由貿易協定批准・発効(1994年)等で高評価。しかし、1994年に実習生モニカ・ルインスキーとの不適切交遊が暴露され、大統領弾劾手続きが取られたことで信望が最低評価。
20位:ジョージ・H.W.・ブッシュ第41代大統領(1989~1993年在任、共和党)
・総合点 596点(危機管理・外交が高評価)
・1990年8月のイラクによるクウェート侵攻を受けて、1991年1月米国主導の多国籍軍でイラク攻撃(湾岸戦争)して同年2月クウェート解放を達成し、内外から評価。
26位:ジミー・カーター第39代大統領(1977~1981年在任、民主党)
・総合点 506点(信念・万民の平等追及が高評価も、他は低評価)
・1972年成立の米ソ間第一次戦略兵器制限交渉(SALT)に基づき、核兵器の運搬等に更なる制限を加える第二次戦略兵器制限交渉(SALT II)を1979年にまとめたものの、ソ連のアフガニスタン侵攻を理由に批准されずに失効。また、1979年2月発生のイラン革命後のイラン対応へのまずさから、イラン革命防衛隊主導の米大使館員人質事件(1979年11月~1981年1月)を誘発したことで、危機管理が低評価。
28位:リチャード・ニクソン第37代大統領(1969~1974年在任、共和党)
・総合点 486点(外交のみ高評価も、他は軒並み低評価)
・ソ連との軍縮協定、中国との国交回復交渉、ベトナム戦争(1965~1975年)終結への道筋を付けたことが評価。しかし、ウォーターゲート事件(大統領選挙の予備選挙が最終盤を迎えた1972年6月に起きた民主党全国委員会本部への不法侵入及び盗聴事件)で大統領弾劾裁判にかけられ、弾劾回避のための辞任で幕引きを図ったことが低評価の主要因。
33位:ジョージ・W.・ブッシュ第43代大統領(2001~2009年在任、共和党)
・総合点 456点(外交が最低評価で、他も軒並み低評価)
・直近50年で最低評価の大統領。特に、イラクに大量破壊兵器があるとの誤った評価に基づいてイラク戦争(2003~2011年)に突入したことで米国民から厳しい責任追及の声。
43位:ジェームス・ブキャナン第15代大統領(1857~1861年在任、民主党)
・総合点 245点(10項目中7項目が最下位で、他も下から1、2番目)
・奴隷制の南部州と奴隷制反対の北部州との融和に何ら貢献できず、結果南北戦争(1861~1865年)に突入してしまったことから、非常に厳しい評価。
(注1)ウィスキー税反乱:1791年にジョージ・ワシントン政権が国の負債を低減するために導入したウィスキー税に対する農民の反対運動。ペンシルベニア州西部に始まり、中東部のサウスカロライナ州の6州まで及ぶ暴動に発展し、1794年まで継続。
(注2)キューバ危機:1962年10月から11月にかけて、旧ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設していることが発覚、米国がカリブ海でキューバの海上封鎖を実施し、米ソ間の緊張が高まり、核戦争寸前まで達した一連の出来事のこと。
閉じる
トランプ大統領夫人によるホワイトハウス中庭(通称ローズガーデン)改築に米ジャーナリスト間で物議【米メディア】(2020/08/24)
ドナルド・トランプ大統領夫人のメラニア・トランプ氏がこの程、ホワイトハウス(WH)の中庭、通称ローズガーデンを改築した。これについて、同大統領の天敵とされる
『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』紙元記者が、米市民となって日が浅いファーストレディーがホワイトハウスの伝統を壊したと非難すれば、同じく天敵の
『CNNニュース』のキャスターは移民を理由に非難するのは不条理だと批評し、ジャーナリスト間で物議を醸している。
8月24日付
『Foxニュース』:「NYT元記者が、メラニア・トランプ氏のWHローズガーデン改築に対して“外国人が勝手な真似をした”と非難したことで物議」
『NYT』元記者のカート・イーチェンワルド氏は8月22日、ファーストレディーのメラニア・トランプ氏がWHローズガーデンを改築したことに対して、“外国人の彼女が伝統を台無しにしたことに激怒している”と非難した。
同氏は、“同氏はG.W.ブッシュ政権2期目(2005~2009年)の最中に米市民権を得たばかりなのに、伝統あるローズガーデンを自分好みに改築するなど、これまでどのファーストレディーも行ったことがない図々しい行い”だとツイートした。...
全部読む
8月24日付
『Foxニュース』:「NYT元記者が、メラニア・トランプ氏のWHローズガーデン改築に対して“外国人が勝手な真似をした”と非難したことで物議」
『NYT』元記者のカート・イーチェンワルド氏は8月22日、ファーストレディーのメラニア・トランプ氏がWHローズガーデンを改築したことに対して、“外国人の彼女が伝統を台無しにしたことに激怒している”と非難した。
同氏は、“同氏はG.W.ブッシュ政権2期目(2005~2009年)の最中に米市民権を得たばかりなのに、伝統あるローズガーデンを自分好みに改築するなど、これまでどのファーストレディーも行ったことがない図々しい行い”だとツイートした。
これに対して、まず中東カタールのメディア『アル・ジャジーラ』(2006年設立)米支社ジャーナリストのメディ・ハッサン氏が、“恐ろしい反移民政策以外の何物でもないので、謝罪の上で同ツイートを削除すべき”だと批評した。
そして、『CNNニュース』のキャスターのジェイク・タッパー氏も、“外国人恐怖症の間違った考えで偏見でしかない”とハッサン氏の意見に同調するツイートをしている。
トランプ夫人は中欧のスロベニア(1991年旧ユーゴスラビアから独立)生まれ・育ちで、2006年に米市民権を得ている(同大統領と結婚したのは2005年)。
同夫人は8月22日夜のツイートで、“伝統を重んじ、明るい将来に期待を抱かせて、ローズガーデンの改築工事が終わった。伝説的で華麗な場所の再生に関わった人たちに感謝したい”と述べている。
同夫人の広報担当は、『Foxニュース』からのジャーナリスト批判ツイートに関わる問いかけに何ら回答してきていない。
ただ、ファーストレディー側近チームからは、“ローズガーデンは大統領が要人を歓待したり、また、記者会見を行ったりすることもある「伝説的な」庭である”とした上で、“「米障害者法(注後記)」に則って、障害者のアクセス等が支障なく行われるように、また、庭の自然な美しさがいつまでも楽しめるよう改築された”と発表されている。
8月23日付『ABCニュース』:「メラニア・トランプ氏が改築されたローズガーデンを披露」
今回のローズガーデン改築は、ケネディ政権(1961~1963年)下において、園芸家・庭師・慈善活動家であるレイチェル・ランバート・メロン氏(1910~2014年)によって設計された構築物を見直す目的で行われた。
WH公式発表では、“メロン氏が設計してから何十年も経過したこともあって、構造物や排水設備の改善、植物の生育環境の再整備を行うことにした”という。
メラニア・トランプ氏は7月28日、“ローズガーデンはこれまで、逞しさと継続の素晴らしさを見せる伝統的な場所であるが、後世まで長くその伝統と美を残し、伝えていけるように改築される”とツイートしている。
『C-SPAN』(1979年設立の政治専門ケーブルテレビ)によると、石灰岩が敷き詰められた通路が中庭の芝の端にでき、また、10本のクラブアップル(ヒメリンゴと呼ばれる小粒のリンゴの実がなる)の木がWHの他の場所に移植されたという。
前者は、米障害者法に則って障害者のアクセス等が容易にできるようにし、後者については、成長したクラブアップルがバラ等の花々への日光を遮断しがちとなっていたためと説明されている。
なお、ファーストレディーは8月25日、共和党全国大会開催に当たって、ローズガーデンからスピーチを届ける予定である。
(注)米障害者法:1990年に制定された連邦法で、障害による差別を禁止する適用範囲の広い公民権法の一つ。1964年の公民権法は、人種(race)、肌の色(color)、信仰(religion)、性別(sex)または出身国(national origin)による差別を違法と規定するものであるが、障害者に対する差別に関する規定はなかったために、新たに制定されたもの。なお、2008年に改正されて、従来に比較して障害者の範囲が拡大されている。
閉じる
その他の最新記事