フランス:外出禁止令に伴う消費習慣の変化
新型コロナウイルスの拡大防止のために、3月17日からフランス全土で発令された外出禁止令。人が大勢集まるイベントは禁止となり、個人の外出も、生活必需品の購入、同居者との散歩、またはペットの散歩、運動する場合に限られている。自宅生活が中心となった今、フランス人の消費習慣にも変化が表れ始めている。
『フランス アンフォ』によると、例えば、平日の電力消費量は全体で20%減っているという。 これは多くの企業が休業しており、電力をほとんどまたは全く使用していないからだ。一方、家庭では、外出禁止以前は、電力消費のピークが出勤後の午前8時30分頃に達していたが、現在は、正午から午後1時の間に、各家庭でお昼ご飯を準備する時間帯にピークとなっている。
人々が自宅に留まっていることにより、車の利用頻度も減っており、燃料の需要が減少している。...
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『フランス アンフォ』によると、例えば、平日の電力消費量は全体で20%減っているという。 これは多くの企業が休業しており、電力をほとんどまたは全く使用していないからだ。一方、家庭では、外出禁止以前は、電力消費のピークが出勤後の午前8時30分頃に達していたが、現在は、正午から午後1時の間に、各家庭でお昼ご飯を準備する時間帯にピークとなっている。
人々が自宅に留まっていることにより、車の利用頻度も減っており、燃料の需要が減少している。3月下旬の売上高は、軽油が75%、無鉛ガソリンが80%、減少したという。
なお首都パリでは、水の消費量が20%落ち込んだ。これは、パリ市民の一部がパリを離れて地方の家に閉じ込もることを選んだためであり、更には、観光客が不在のため、必然的に水の消費量が減少した。
『BFMTTV』は、フランス人が毎日家で食事を取るようになったため、各家庭で食料品が既に多く蓄えられているものの、食糧品の消費増の傾向が続いていると報じた。フランスの産業創造研究所(IRI)によると、4月6日から12日にかけて、食料品の売上が昨年より15%増加したという。特にラム肉とチョコレートの売上が増加したため、封鎖の中でも各家庭でイースターのお祝いがされたことが分かる。
食料品の中でも冷凍肉(77%)、冷凍魚(84%)などの冷凍食品の売り上げ増が最も顕著な傾向となっている。また、子供と一緒に、パイやキッシュ、ケーキを作るために、小麦粉の売り上げも181%増加している。食料品以外では、漂白剤や家庭用手袋が 264%売り上げ増となっている。
逆に消費が落ち込んでいる製品もある。手洗いの回数は増えたが、化粧をする回数が減り、化粧品の売上高が62%減少している。お祝いする機会も減ったため、シャンパンの売上高が60%減少している。
また買い物の方法も変化したようだ。事前にネットで購入を済ませ、自分の車で取りにいけば、お店の人が商品を車に届けてくれる「ドライブスルーショッピングシステム」が好まれるようになった。4月頭時点で、昨年よりも95%増となっている。
なお、『MSN』によると、フランス人は商品の原産地に対するこだわりが強くなっているという。4月の初めに実施された調査では、消費者の4分の3が可能な限り地元産のものを購入するよう心掛けていると回答しており、半数以上(53%)が生産者からの直接販売を好んでいると回答した。こうした傾向は更に強まると見られている。
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フランス:外出禁止令以降、通常の救急外来患者半減で医者から心配の声
フランスは新型コロナウイルスの感染防止のために3月17日から全国的な外出禁止令が出されている。7日時点で、30,000人が入院中、7,131人以上が集中治療を受けており、6日から7日の1日で59人が死亡、3月1日からの累計では10,328人が亡くなっている。こうした現状の中、フランスの医師らはコロナウイルス以外の患者が病院を訪れなくなっていることを指摘し、警告を出している。
ダンケルク総合病院の救急外来の責任者クリストフ・クトゥリエ氏は
『BFMTTV』に対し、新型ウイルスの流行が始まって以来「日に応じて、または体制によって、外来患者が50%から80%減少している。通常の診察においてこのような減少、患者側が病院に来ることをあきらめるような事態は異常なことだ」と述べている。
新型ウイルス感染者の対応のために既に飽和状態となっている医療システムに更なる負担をかけたくない、逆に病院に行くことでウイルスに感染するのではないかという懸念から、治療を受けるべき病気の人々がオンライン診療を選択し、病院での診察を避けている事態が起こっていると見られている。...
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ダンケルク総合病院の救急外来の責任者クリストフ・クトゥリエ氏は
『BFMTTV』に対し、新型ウイルスの流行が始まって以来「日に応じて、または体制によって、外来患者が50%から80%減少している。通常の診察においてこのような減少、患者側が病院に来ることをあきらめるような事態は異常なことだ」と述べている。
新型ウイルス感染者の対応のために既に飽和状態となっている医療システムに更なる負担をかけたくない、逆に病院に行くことでウイルスに感染するのではないかという懸念から、治療を受けるべき病気の人々がオンライン診療を選択し、病院での診察を避けている事態が起こっていると見られている。このような状況に、医療従事者から心配の声が上がっている。
『ヨーロッパ1』によると、ウイルス流行の始まり以来、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、または心臓発作による入院が病院で大幅に減少しているという。パリのビシャ AP-HP病院、神経科・脳卒中センターの責任者、ピエール・アマレンコ博士は、「イル=ド=フランス地域圏では約50~70%、地方では少なくとも40%、外来患者の減少が確認されている」と警鐘を鳴らしている。これは、大気汚染の減少やストレスの減少だけでは、これほどの減少は説明できないとし、田舎に避難した人たちも裕福な人たちのみであり、都市に残っている貧困層も救急外来に来なくなっているという。
同博士は、緊急の場合「人々が15(無料の救急電話)に電話することが非常に大切だ。感染した患者と出合うことはないことを知り、安心する必要がある。このままでは現在の医療危機に更に別の公衆衛生の大惨事を起こすことになる」と付け加えた。
また「脳卒中の患者は、治療のために病院に搬送されることを恐れるべきではない。一過性脳虚血発作の場合、患者は数時間又は数日間のうちに決定的な脳卒中を起こすリスクが非常に高く、ここ数年の医療の進歩が無駄になってしまっている。病院に来ることを恐れるべきではない」と説明した。
特に脳卒中の患者の場合、時間との戦いであることを強調した。通常3時間、最大6時間以内に治療を施さないと、後遺症が伴う。このままでは新型ウイルスの波が去った後に、脳卒中患者の波が来ることになる、と警告した。
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