2年間の沈黙の後、英国EU離脱は英国内で新たな論争の的になっている。専門家やメデイアはあからさまに英国EU離脱が、経済に負の効果を与えていると非難し、英国の世論もEU離脱を非難する傾向が強いという。 BBCテレビの人気番組、「質問の時」のスタジオやLBCラジオでの論戦を通じ、視聴者たちは、英国がEU離脱したことに対する批判的論調を強めている。
調査会社YouGovの世論調査によると、回答者のうちの56%が、2020年12月31日に英国がEU離脱したことは間違った選択であったと回答している。...
全部読む
2年間の沈黙の後、英国EU離脱は英国内で新たな論争の的になっている。専門家やメデイアはあからさまに英国EU離脱が、経済に負の効果を与えていると非難し、英国の世論もEU離脱を非難する傾向が強いという。 BBCテレビの人気番組、「質問の時」のスタジオやLBCラジオでの論戦を通じ、視聴者たちは、英国がEU離脱したことに対する批判的論調を強めている。
調査会社YouGovの世論調査によると、回答者のうちの56%が、2020年12月31日に英国がEU離脱したことは間違った選択であったと回答している。同様に、保守党内で離脱(Brexit)について語ることはタブー視されているという。
一方、労働党執行部はなお更で、EU離脱については反対の立場を取り続けている。 特に保守党のEU離脱強硬派が、歴史的に誤った選択を行ったことを前面に出して今後の政治活動を有利に進めたいと考えている。キア・スターマー労働党党首は現在、2020年にボリス・ジョンソン元首相とEUとの間で取り交わしたEU離脱後の通商同意を改定することを主張している。
11月17日、トラス前首相のミニ予算案に関するスキャンダルを払拭し、英国の財政上の国際的信用を回復するために、リシ・スナック新首相の新政権により厳格な予算案が発表された。この発表に際し、英国政府の独立機関「財務オフィス」の責任者は、これからの2年間、英国人の生活レベルが7%低下すると予測している。同機関は、英国EU離脱によって英国の海外との貿易に悪影響がもたらされ、貿易規模が、その規模が長期的には15%縮小すると予測している。
この明確な事実は今のところ、コロナ感染流行による通商活動の減退により隠蔽されている。しかし、2019年に保守党によるEU離脱による英国―EU間の関税による、経済活動が確実に制限されるようになったという。
英国としてはEU離脱が何らメリットを生んでいない現状を踏まえ、今後、EUに復帰するかも含めた厳しい選択を迫られている。
閉じる
11月29日付英
『BBC』:「2021年国勢調査:イングランドとウェールズでキリスト教徒と認識するのは半数以下」:
2021年の国勢調査によると、イングランドとウェールズで初めて、自分をキリスト教徒と認識する人が半数を下回った。調査は10年ごとに国家統計局(ONS)が行っている。
自分が「キリスト教徒」だと答えた人は46.2%で、前回調査が行われた2011年の59.3%を下回った。...
全部読む
11月29日付英
『BBC』:「2021年国勢調査:イングランドとウェールズでキリスト教徒と認識するのは半数以下」:
2021年の国勢調査によると、イングランドとウェールズで初めて、自分をキリスト教徒と認識する人が半数を下回った。調査は10年ごとに国家統計局(ONS)が行っている。
自分が「キリスト教徒」だと答えた人は46.2%で、前回調査が行われた2011年の59.3%を下回った。反対に、「無宗教」だと回答した人が37.2%で、前回の25%より増加した。「イスラム教徒」と回答した人は前回の4.9%から6.5%に増加した。
所属する人種集団については、82.7%が「白人」と回答し、前回の85.0%から減少している。白人に続き最も多い人種集団は、「アジア人、アジア系」で9.3%を占め、人口でいうと10年前の420万人から昨年では550万人となった。「黒人、黒人系、アフリカ系等」と回答した人も、1.8%から2.5%に増加した。つまり、イングランドとウェーズでは「10人に1人の割合で、白人以外」の人種となっている。
国籍に関しては、英国人ではない人で最も多いのは、ルーマニア人とポーランド人となった。
このように国勢調査では画期的な結果にみえるが、これまでも様々な社会的調査により無宗教の人が増えていることは分かっていた。この調査は2021年3月、2400万世帯を対象に実施された。スコットランドの調査はパンデミックにより1年延期されている。
同日付『AP通信』:「国勢調査:イングランドでキリスト教徒はマイノリティ、無宗教派が増加」:
最新の国勢調査によると、イングランドとウェールズで、自分をキリスト教徒ではないと考えている人が半数以下になったという。英国の国教がマイノリティとなったのは初めてのこと。
ここ10年、イングランドとウェールズでは「無宗教」が増加し、白人は減っている。スコットランドと北アイルランドの調査は別に行われている。
無宗教推進派は、このような傾向から、英国内での宗教のあり方が見直されるだろうと指摘する。英国では、国が教会を支えており、上院に在職する英国国教会の主教らは、「信仰の擁護者」であり英国教会の最高の統治者となっている。ヨーロッパで英国のように宗教色のある法や社会秩序を持った国はない。しかし、このように「無宗教」が多くなると、英国の実情には合わなくなってくる。
英国国教会のスティーブン・コットレル大司教は、「このデータは驚きではない。キリスト教徒はもっと信仰を広めるようにしなければならない。多くの人が自然にキリスト教徒だと認識する時代は過ぎたが、他の調査結果からも、人々が(宗教と)同じような真理や知恵を求めていることが示されている」としている。
閉じる