ツイッター社、ロシア検閲回避サイト開設
ロシア国内では、ウクライナ侵攻の現状を伝える報道や当局批判が厳しく取り締まられ、Facebookやツイッター、各国メディアへのアクセスが制限されている。そこで、ロシア国民へのアクセス向上のため、ツイッターは、インターネット上の匿名化ネットワークを経由してアクセスできるWebサイトを開設した。
3月10日付英
『Guardian』:「ツイッター、ロシア検閲を回避しプライバシーを保護するダークウェブサイト開設」:
ロシア国内でアクセス制限されているツイッターは、検閲を回避できるプライバシー保護版のサイトを開設した。
これはOnionサービスと呼ばれ、ユーザーはTor(The Onion Router)ブラウザをダウンロードすることで、ツイッターにアクセスし、ダークウェブ(闇サイトに利用される)とよばれる当サイトにアクセスできる。...
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3月10日付英
『Guardian』:「ツイッター、ロシア検閲を回避しプライバシーを保護するダークウェブサイト開設」:
ロシア国内でアクセス制限されているツイッターは、検閲を回避できるプライバシー保護版のサイトを開設した。
これはOnionサービスと呼ばれ、ユーザーはTor(The Onion Router)ブラウザをダウンロードすることで、ツイッターにアクセスし、ダークウェブ(闇サイトに利用される)とよばれる当サイトにアクセスできる。ドットコムのドメイン末尾( .com)サイトと違い、オニオンサイトの末尾は(.onion)となっている。
ダークウェブには、違法サイトという意味合いがあるが、安全性への配慮や、圧政下で検閲されたサイトへのアクセス目的で、匿名性を保つためにしばしば使われることもある。FacebookやBBCも、Torでアクセス可能なバージョンを持っている。この新サービスについては8日、ソフト開発やセキュリティ担当者で、他社でOnionサイトを開発したことのあるAlec Muffett氏が自身のTwitterで明かしている。
ロシアは、ウクライナ侵攻の情報の拡散を恐れ、独立系ニュースサイトやソーシャルメディアへの弾圧や検閲を強化。先週、ロシア当局は国営メディア制限への報復として、Facebookへのアクセスを禁止し、ツイッターやBBC、米政府系ラジオ局(VOA)、ラジオ・フリー・ヨーロッパ(短波国際放送 )、 ドイツのDeutsche Welle放送、ラトビアのウェブサイト(Meduza)へのアクセスも禁止している。
3月9日付米『フォーブス』:「ツイッターがTorブラウザ開設、ロシア国民のアクセス改善へ」:
ロシア国内でツイッター社はアクセス制限を回避するため、Tor サービスを開始した。無料のTorブラウザをダウンロードすることでユーザーはツイッターを利用できる。既に利用可能だが、この新サービスは、プライバシー保護を強化し、ツイッター独自に開設されているという。
Enterprise Onion Toolkit(EOTK)のカスタマイズ版で、2014年にFacebookのオニオンサービス開設チームを主導したサイバーセキュリティ担当者が発表。ツイッター社としても、公式サポートブラウザーリストにTorを加えているのだが、正式な公表はしていない。過去のFacebookやBBCのサイト開設での教訓から、大々的な宣伝はアクセス集中に繋がるため、世界的危機の時代には賢明ではないと判断されたのだろう。
Torオニオンルーターが、インターネットトラフィックを追跡し、世界中の数千サーバーへ繋ぎ、殆どが無償。匿名性に加え、高度のプライバシーや検閲からの保護が期待できる。悪意を持った人々も存在するが、無防備にウェブを使用するよりは、セキュリティ上のリスクから保護できる点で、特定のオニオンサイト開設は利点がある。ロシア以外でも利用可能で、ツイッターをグロックしている中国やイラン、北朝鮮でもアクセス可能となっている。
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ロシアで営業を続ける企業への圧力
ウクライナ侵攻により、欧米の飲食業界大手に対するロシア撤退への圧力が高まっているという。
3月7日付英
『BBC』:「ロシアを巡りマクドナルドやコカ・コーラのボイコットを求める声」:
ウクライナ侵攻により、欧米の飲食業界大手に対するロシア撤退への圧力が高まっている。
SNS上では、マクドナルドやコカ・コーラが侵攻への言及をせずに、ロシアで営業を継続していることへ批判が向けられている。ネットフリックスやリーバイス等の有力企業は既に販売やサービス停止を決めている。今月7日には、「#マクドナルドボイコット」がツイッターでトレンド入りした。...
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3月7日付英
『BBC』:「ロシアを巡りマクドナルドやコカ・コーラのボイコットを求める声」:
ウクライナ侵攻により、欧米の飲食業界大手に対するロシア撤退への圧力が高まっている。
SNS上では、マクドナルドやコカ・コーラが侵攻への言及をせずに、ロシアで営業を継続していることへ批判が向けられている。ネットフリックスやリーバイス等の有力企業は既に販売やサービス停止を決めている。今月7日には、「#マクドナルドボイコット」がツイッターでトレンド入りした。
その外にも、KFCやペプシコーラ、スターバックス、バーガーキングへもロシアでの営業停止を求める声があったが、これらの企業も沈黙を続けている。KFCは昨年、ロシア国内店舗数が千店舗に達し、昨年には年間100店舗出店目標を掲げていた。
マクドナルドはロシア国内に947店舗展開するが、多くはフランチャイズ店で、契約条件によりフランチャイズ店に営業停止決定ができる場合も多い。スターバックスのケビン・ジョンソンCEOは、ウクライナ侵攻は 「理不尽で正当性のない」ものとコメントしたが営業は継続。多くの店舗はクウェートのアルシャヤグループが経営している。
英国のビジネス倫理研究所(IBE)のピーターズ所長は、「このような事態にどう動くかで企業が判断される時代だ。倫理的決断は、政府当局の規制や制裁措置を順守するのと同様に重要で、多くの企業は重大な決定を左右する「倫理的指針」を持つ。このような事態で企業が常に俯瞰的視野に立ち、短期的利益に優先して、正確な判断をするよう努めることが重要」だとしている。
同氏は、ロシアでの営業停止を検討する上での重要な倫理ジレンマとして、「現地の従業員へのケアはどこまで負うのか?」や「ロシア市民の主要な食を奪うのはフェアなのか?」を挙げている。
ヘンリービジネススクール・ビジネス倫理学のAkrivou教授は、コンサルティング会社などと比べ、飲食業界における決断は難しく、「ロシア国民の食や尊厳を奪う制裁となると、実情をアピールし企業はより慎重になるべき。ファストフード大手は評価的リスクと同時に、人々への影響をバランスよく考慮することが重要」だとしている。
同日付米『CBSニュース』:「マクドナルドとペプシコがまだロシアで営業中」:
ロシアのウクライナ侵攻があっても、世界最大手ファストフードのマクドナルドがロシアでの販売を停止していないことで批判が高まっているという。
これまで、米国その他の200社以上がロシアでの営業を停止している一方、主にマクドナルドやペプシコなど32の企業がロシアでの営業を継続中。これら企業の対応に、SNS上では当社製品のボイコットを求める声が高まっている。
マクドナルドはロシア国内に845店舗を持ち、その収益は全体の9%。ロシアでの営業開始はベルリンの壁崩壊の3か月後の1990年1月。
ニューヨーク州の財務監督官は、非常に不安定な情勢下で、ロシアでの営業を継続することはリスクがあると指摘。リスクを分析し、企業と株主利益にとり最善の決定をするよう求めている。
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