インド、再び世界最悪の大気汚染都市に認定【欧米メディア】(2023/11/04)
インドは、今春に中国を抜いて人口世界一となっただけでなく、国内総生産(GDP)も世界5位に躍進している。そしてこの程、世界主要都市の大気汚染モニタリングの結果、インドが経済成長と相俟って、今年も中国を抜いて世界最悪の大気汚染都市に認定されている。
11月3日付欧米
『ロイター通信』、英国
『BBCニュース』等は、インドが今年も世界最悪の大気汚染都市になっていると詳報している。
インドの首都ニューデリーは11月3日、街中がおびただしいスモッグに覆われ、大気質指数(AQI、注1後記)が“深刻”のカテゴリーとされたことから、行政府が一部の学校を閉鎖することとした。
スイスの大気質測定企業IQAir(注2後記)が公表したモニタリング結果によると、同市のAQIは“(人体にとって)危険”レベルの640と世界最悪となっていて、パキスタン北東端のラホール市(ニューデリーの約500キロメートル北西)が335で2位となっている。...
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11月3日付欧米
『ロイター通信』、英国
『BBCニュース』等は、インドが今年も世界最悪の大気汚染都市になっていると詳報している。
インドの首都ニューデリーは11月3日、街中がおびただしいスモッグに覆われ、大気質指数(AQI、注1後記)が“深刻”のカテゴリーとされたことから、行政府が一部の学校を閉鎖することとした。
スイスの大気質測定企業IQAir(注2後記)が公表したモニタリング結果によると、同市のAQIは“(人体にとって)危険”レベルの640と世界最悪となっていて、パキスタン北東端のラホール市(ニューデリーの約500キロメートル北西)が335で2位となっている。
デリー汚染管理委員会(1991年設立のデリー首都圏の独立機関)のアシュワニー・クマル委員長(71歳)は、“気温の低下、無風気象、及び農作物の収穫後の野焼き等の季節的要因が重なったものだ”とした上で、“今後2~3週間続く恐れがある”コメントした。
デリー首都圏近隣のパンジャブ州、ハリヤーナー州、ウッタル・プラデーシュ州の農家は、通常10月に収穫後、焼き畑を行って冬の作物の種まきを行っている。
かかる事態もあって、同市のいくつかの大気モニタリング基地で、AQI 480前後を記録しており、約2千万人の住民の多くが目の痛み、喉の炎症を訴えている。
AQIは0~50なら非常に良好であるが、400~500となると健康に有害となり、また基礎疾患がある人にとってはとても危険である。
地元の医師は、“直近24時間で、咳をする赤ちゃんや呼吸が苦しくなった子供を多く診察している”と語った。
また、電化製品販売会社の担当者は、多くの住民が空気清浄機を買い求めており、また、入れ替え用のフィルターの在庫が払底し、11月6日の入荷を待っているところだと述べている。
なお、今年はインドが開催国となるクリケットの第13回ワールドカップ(編注;サッカーWC、夏季オリンピックに続いて世界3番目の視聴率を誇る1975年開始の大スポーツイベント)が行われるが、開催地となるインド北西部のアフマダーバード、また、金融の中心地であるインド西端ムンバイでも大気汚染に見舞われている。
(注1)AQI:いくつかの国や地域で採用されている大気汚染の程度を示す指標。大気汚染モニタリングにより、空気中の粒子状物質や二酸化硫黄などの汚染物質の濃度を測定し、空気の汚染度を指数化したもの。環境を担当する行政機関が市民に対して発表する。
(注2)IQAir:スイスに本社を置く大気質関係の事業を行っている企業。1963年設立。大気汚染モニタリング機器、空気清浄機などの空調製品の製造販売や、委託を受けての施設内の空調設計などを実施。また各国の空気質測定データや自社製品による測定データをリアルタイムで統合し表示する大気汚染情報プラットフォームであるAirVisualの運営も行っている。
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南シナ海:フィリピンが中国設置のブイ撤去(2023/09/26)
フィリピンは25日、中国が実効支配する南シナ海のスカボロー礁で、フィリピン漁船の航行を妨げている浮遊式の障害物を撤去したと報じられている。
9月25日付英
『BBCニュース』:「南シナ海:フィリピンが沿岸部で中国の障害物を撤去」
フィリピンは、南シナ海へのフィリピン漁船侵入妨害のため中国が設置した浮揚障害物を撤去したと発表。フィリピン沿岸警備隊は、フェルナンド・マルコス大統領の指示があったとしている。
中国は、2012年スカボロー礁を支配し、300mに渡り漁業権を侵害、南シナ海の9割以上の領有権を主張している。沿岸部の行動は、「必要な対策」だったと主張している。...
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9月25日付英
『BBCニュース』:「南シナ海:フィリピンが沿岸部で中国の障害物を撤去」
フィリピンは、南シナ海へのフィリピン漁船侵入妨害のため中国が設置した浮揚障害物を撤去したと発表。フィリピン沿岸警備隊は、フェルナンド・マルコス大統領の指示があったとしている。
中国は、2012年スカボロー礁を支配し、300mに渡り漁業権を侵害、南シナ海の9割以上の領有権を主張している。沿岸部の行動は、「必要な対策」だったと主張している。
フィリピン沿岸警備隊は声明で、中国の行動は「国際法への明らかな違反で、航海に危険が及び、フィリピンの漁業者の漁業と生活を妨害するもの」であり、スカボロー礁は「フィリピンの国土の重要な部分」だと批判している。
フィリピン沿岸警備隊のジェイ・タリエラ提督は、障害物は22日に発見された。フィリピンの船が到着した時、中国沿岸警備隊の船3隻と海事民兵船がブイを設置していた、としている。また、中国船は15回無線でフィリピン船と漁船が国際法及び中国法に違反していると批判してきたが、フィリピン船に居たメディア関係者の存在に気づき退去したという。
日本は南シナ海問題の沈静化が地域の安定に不可欠だとし、松野官房長官は定例記者会見で、「我が国は南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも強く反対する」としている。
南シナ海は魚介類と地下資源の宝庫で、世界の漁船の半数以上が同地域で漁業を行っている。中国の領有権主張には、フィリピンだけでなくベトナム、台湾、マレーシア、ブルネイも反発。米国は、領土権争いに仲介しない立場をとるが、「航行の自由作戦」との名目で、艦船や軍用機を派遣している。中国がスカボロー礁を掌握した後は、ドゥテルテ政権下で関係が改善し、フィリピン漁船の近海漁業が許可されていたが、昨年マルコス政権下に変わり、今年には米軍が軍事基地を使用するのを認めたことで緊張が高まった。
同日付『AP通信』:「フィリピン沿岸警備隊、領有権を争う浅瀬で中国の沿岸警備隊が設置した障害物を撤去」:
フィリピン沿岸警備隊は25日、中国と領有権を争う南シナ海で、マルコス大統領の指示に従った「特別作戦」により、中国当局が設置した浮遊式の障害物の撤去に成功したと発表。全ての障害物を撤去したのかや、中国側の反応については伝えられていない。
フィリピン当局は、スカボロー礁の礁湖への入り口への300mに及ぶ長い障害物設置を国際法への違反であり、フィリピンの主権への侵害だとして批判している。メディアへ公開された沿岸警備隊の動画には、ダイバーがロープの一部を切っている様子が映っている。
フィリピン沿岸警備隊は声明で、「国際法の遵守と漁業者や市民の権利保護に尽力していく」としている。
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