フランス、新型コロナワクチン職場接種の進捗状況(2021/06/11)
フランスでは、新型コロナウイルスのワクチンの職場接種が2月から始まっている。優先接種対象者を皮切りにスタートし、6月15日からは成人全般に対象が広がる。職場接種は提供する側にとっても受ける側にとっても利便性が高いとして好評を得ている。
仏ニュースサイト
『20ミニュッツ』と仏紙
『リベラシオン』によると、企業がワクチン接種を実施する場合、各企業で自由に実施体制を整えることができる。職場接種で使用されるワクチンは、当初アストラゼネカ社製のみだったが、その後ヤンセンファーマ社製が加わり、5月17日からは、モデルナ社製も使えるようになった。アストラゼネカ社製とヤンセンファーマ社製は55歳以上に限定されている。
Kantar Instituteの調査によると、フランス人の85%が、接種を希望する従業員のために職場での接種を設置することに賛成しているという。...
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『20ミニュッツ』と仏紙
『リベラシオン』によると、企業がワクチン接種を実施する場合、各企業で自由に実施体制を整えることができる。職場接種で使用されるワクチンは、当初アストラゼネカ社製のみだったが、その後ヤンセンファーマ社製が加わり、5月17日からは、モデルナ社製も使えるようになった。アストラゼネカ社製とヤンセンファーマ社製は55歳以上に限定されている。
Kantar Instituteの調査によると、フランス人の85%が、接種を希望する従業員のために職場での接種を設置することに賛成しているという。しかし、企業内での接種はあくまで任意であり、企業が社員に強制することは禁止されている。接種をオフィス勤務に戻る条件とすることも出来ない。そして、接種したかどうか、接種に反対しているかどうかなども、個人情報として扱われ、個人が特定されるような形で企業側が接種に関する情報を収集することは禁止されている。
仏放送局『フランスアンフォ』によると、パリ交通公団(RATP)では5月下旬よりモデルナ社製のワクチン接種を社員に提供している。自治体を通したワクチン接種ではまだ予約が混雑しているため、企業で摂取できることに社員たちは好意的に受け止めている。RATPが手に入れた1,000回分のワクチンはすぐに予約が埋まり、5日間で570人以上の従業員が接種を済ませたという。接種のための2回分の予約を取る専用サイトが用意された。
接種当日は、会場にいる医師の診察を受けてから予防接種を受ける。予防接種情報は国のソフトウェアに入力され、副作用がないことが確認されると、QRコードと予防接種証明書を持って会社に戻ることができる。
アメリー・デバティス医師は、企業によるワクチン接種は、より身近な環境の中で摂取できるため、社員側の予防接種に対する抵抗感が下がり、より積極的に受ける傾向が見られると話している。
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フランスのブライダル業界、活動再開のために「健康パスポート」の活用を検討(2021/04/29)
新型コロナウイルスの第3波に直面しているフランスでは外出制限に加えて、大規模イベントの開催も禁止となっている。こうした規制が続く中、イベント産業、特にブライダル業界は、待ったなしの再スタートを切りたいと考えている。ブライダル業界関係者はフランス政府と活動再開の条件について話し合いを進めており、ワクチンパスポートの活用の可能性も検討されているという。
仏経済ニュースサイト
『ブルソラマ』によると、フランスで5万5千人の会員を持つブライダル企業連盟(UPSE)の会長、メリッサ・アンベール=フェラン氏は、「結婚式、式典、コンサート、見本市への参加など、1回限りのイベント」に使用することができる「健康パスポート」を検討していることを明らかにした。
同会長は、経済・財務省から「ブライダル業界の回復」の検討を諮問されたと語り、「2年連続で大きな打撃を受けているこの業界を軌道に乗せることができる」健康パスポートの導入に、UPSEは「大いに賛成」していると述べた。...
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仏経済ニュースサイト
『ブルソラマ』によると、フランスで5万5千人の会員を持つブライダル企業連盟(UPSE)の会長、メリッサ・アンベール=フェラン氏は、「結婚式、式典、コンサート、見本市への参加など、1回限りのイベント」に使用することができる「健康パスポート」を検討していることを明らかにした。
同会長は、経済・財務省から「ブライダル業界の回復」の検討を諮問されたと語り、「2年連続で大きな打撃を受けているこの業界を軌道に乗せることができる」健康パスポートの導入に、UPSEは「大いに賛成」していると述べた。
UPSEは、会場レンタル、ケータリング、花屋、ウェディングドレスショップ、ウェディングプランナー、文房具店など関連企業の2021年の売上高の損失を、通常の30億ユーロ(約3950億円)の売上高のうち10億ユーロ(約1300億円)になると試算。前年の2020年は「事実上の空白」の一年だった。
フランスでは結婚式のハイ・シーズンは5月から9月までとなっているが、アンベール=フェラン会長は、「その年の売上を達成するためには最大で土曜日が25回必要となる。しかし今年は5月がすでにほぼキャンセルされている」と指摘した。健康パスポートは日常生活での移動や活動には使えず、「旅行や結婚式などの一回限りのイベントに参加する際、ワクチン接種証明書やPCR検査の陰性結果を提示する」ものとして検討されている。
UPSEは、毎年23万件の結婚式がフランスで行われており、そのうち4万件は5月に行われていると推定している。アンベール=フェラン会長は、「宗教または無宗教形式の結婚式どちらであれ、一定の条件を満たせば式を挙げることができるため、カップルはますます別荘などのプライベートな施設を利用するようになっている。」と警鐘を鳴らしている。
仏紙『20ミニュッツ』は、フランスではコロナウイルスの予防接種は義務づけられていないものの、ブライダル業界だけでなく、航空会社、あるいは外食産業、文化施設など、様々な業界が健康パスポートの取入れを検討しているため、「普通の生活」を取り戻すためには、結局はワクチンが不可欠なものになってしまう可能性があると報じている。もしレジャー活動で健康パスポートが導入されてしまうと、ワクチンを接種していない人の生活は、現在の規制された生活と基本的に同じままになってしまう。
社会学者のベネディクト・カンペノワ=ルソー氏は、多くのフランス人は今も「みんなが接種していれば、自分はしなくてもいいだろう」という姿勢を持っていると指摘している。しかしこの戦略は、全員が同じ考えを持っている場合や、集団的免疫力の閾値に達していない場合には機能しないことが問題だと言う。
社会学者のカロリーヌ・デ・ポー氏は、「人々は非合理的ではなく、ただ疑問や不安に対する答えを必要としている」ため、ワクチン接種を強制するのではなく、ワクチンを拒否するブレーキとなっているものを取り除くための回答をもっと与えてあげる必要がある、と指摘している。
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