温暖化対策のパリ協定と米国(2016/11/15)
15日、モロッコで地球気候変動対策を話し合う国連の会議「COP22」で、パリ協定の締約国による会合が開かれる。各国代表は、これまで交渉をリードしてきた米国の次期大統領が、温暖化に懐疑的で協定からの脱退をも示唆してきたトランプ氏となり、また米国環境保護庁(EPA)に気候変動懐疑論者を選定したことで温暖化対策が後退するとの懸念が広がり静観の構えとなっている。モロッコ入りしているパーシング米特使は「トランプ氏就任でもパり協定の重要性は変わらない」と強調し、今後トランプ氏の政権移行チームと調整し今後4年間の政策が見えてくるだろう」と述べている。またジョン・ケリー米国務長官はトランプ政権移行前に協定を前進させると意気込んでいる。仮に米国がパリ協定から脱退したら他国も追従して脱退するため環境対策が滞り気温上昇目標達成が難しくなる可能性や、米国製品への報復課税への可能性が示唆されている。
11月14日付英
『BBC』は「米特使、パリ協定は国家代表以上に重要」との見出しで以下の様に報道している。
モロッコのマラケシュで開かれているCOP22での記者会見で、米国のパーシング特使は、パリ協定の重要度は大きく、次期大統領となったトランプ氏よりも強いものだと述べた。「国の代表は交代するものだが、気候変動への我々の努力は永続不変だ」と述べ、数週間以内に政権移行チームから国務省へ人員を派遣し今後の米外交政策大綱がみえてくるだろうとした。...
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11月14日付英
『BBC』は「米特使、パリ協定は国家代表以上に重要」との見出しで以下の様に報道している。
モロッコのマラケシュで開かれているCOP22での記者会見で、米国のパーシング特使は、パリ協定の重要度は大きく、次期大統領となったトランプ氏よりも強いものだと述べた。「国の代表は交代するものだが、気候変動への我々の努力は永続不変だ」と述べ、数週間以内に政権移行チームから国務省へ人員を派遣し今後の米外交政策大綱がみえてくるだろうとした。
選挙活動中トランプ氏はパリ協定を「無効」とし国連への支払いやめると示唆しており、今回、米国環境保護庁長官に気候変動懐疑論者のマイロン・イーベル氏を任命している。
各国は表立っては米政府批判を避ける代わりに、環境によい燃料の経済的利点の説明に重点を置いた。EUの気候担当理事は再生可能エネルギーは昨年3290億ドル相当で2004年の6倍だと述べる一方、CO2排出量2位の米国に気候への貢献義務があると述べている。
また一方、フランスのサルコジ大統領はトランプ大統領がパリ協定を脱退した場合、米国からの輸入製品への炭素税(1~3%)の課税を提唱している。
11月13日付米
『UPI』は「ジョン・ケリー:ドナルド・トランプ就任前に米国は気候変動協定を前進させる」との見出しで次のように報道している。
ジョンケリー国務長官はモロッコでの会議へ行く前にニュージーランドで、「トランプ政権に無謀な合意はさせない、「あらゆる手段」で国際環境変動協定を維持する」と宣言し、「現政権が終わる来年1月20日までに地球への脅威への対処を可能とし将来の世代への責任を果たすために出来る事をすべてやるつもりだ」と述べた。また、「次の政権でどう対処するか未知だが、米国民の過半数は問題と対処法を理解しているのだから、正しい方向に向かっている」と述べている。
11月14日付米
『U.S.News』は「トランプが気候変動に関するパリ協定から米国を脱退させたらどうなるか?」との見出しで次のように報道している。
環境にとって重要な行動は着々と続けられ、昨年の温室効果ガス排出削減のための記念すべきパリ協定 に続きモロッコではCOP22会議が開かれているが、ここにきて会議はトーンダウンしている。
米大統領に選ばれたトランプ氏は繰り返し気候変動は人的に操作され、中国人が米国の製品の競争力を落とそうと仕組んだものだと述べたり、気候変動枠組から脱退し再生エネルギー政策転換すると主張してきた。大統領になれば「候補時代」の発言は忘れるだろうと期待する人もいるが、そう楽観視も出来ない理由に米国環境保護庁(EPA)の政権移行チームにマイロン・イーベル氏を起用したことが挙げられる。同氏は環境変動の否定論者でパリ協定を違憲だとしている。
パリ協定からの公式脱退は4年の手続きが必要だが、パリ協定を公式または非公式に抜けるとどうなるだろう。一つの可能性は、米国とともに主要経済大国が脱退すること。京都議定書(1997年)で起きたように米国が批准する意思がないと 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)(1992年採択)締約国は米国に同調するだろう。更には、オバマ政権主導でのパリ協定締結だっただけに、他国は米国に対し失望感や憤慨を示し、協定を脱退する可能性がある。完全な又は一部の無効化であるにせよ、パリ協定は失敗とみなされ、気温の変動目標は達成が難しくなる。
次の可能性としては米国だけが脱退する場合であるが、米国が抜けたら、EUや中国はパリ協定に真剣に取り組む政党に報復措置をさせるよう仕向けるかもしれない。トランプ氏の交渉術に関する著書でいうように徹底的に「報復」し無法地帯で米国に「経済制裁」を課すかもしれない。
今はまだオバマ政権、トランプ政権は未知数である。次回のCOP会議は来年11月アジアで開催予定、今回は可能性を探りながら国家間交渉及び地球環境にとっても静観するのが良さそうである。
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両陛下フィリピン訪問での反応(2016/02/01)
先週5日間の日程で、天皇皇后両陛下がフィリピンを親善訪問された。第二次世界大戦中フィリピンでは日米の激戦が繰り広げられ、多くの日本兵、フィリピン兵、市民が犠牲となり負傷者も多く出た。両陛下はアキノ大統領による歓迎晩さん会に出席、日本兵戦没者の墓を訪問し慰霊した。両国親善60年の祝いと友好関係の影で、中国による領海問題へのけん制との見方や慰安婦の抗議集会の様子が海外ニュースでは取り上げられている。
1月29日付比
『PhilStar』は、「明仁天皇、フィリピンで日本の戦没者を慰霊」との見出しで次のように報じた。
・マニラ近郊の丘にある第二次大戦での日本兵戦没者墓地で、両陛下は約170人の戦没者の遺族が見守る中喪服姿で献花し深々とお辞儀をし慰霊した。天皇は式典中は発言せずアキノ大統領主催の宴会場で、先の大戦による犠牲を「我々日本は決して忘れない」と述べたとされる。
・明仁天皇は戦争による損害への後悔を何度も口にしたが、直接的な謝罪の言葉はなかった。...
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1月29日付比
『PhilStar』は、「明仁天皇、フィリピンで日本の戦没者を慰霊」との見出しで次のように報じた。
・マニラ近郊の丘にある第二次大戦での日本兵戦没者墓地で、両陛下は約170人の戦没者の遺族が見守る中喪服姿で献花し深々とお辞儀をし慰霊した。天皇は式典中は発言せずアキノ大統領主催の宴会場で、先の大戦による犠牲を「我々日本は決して忘れない」と述べたとされる。
・明仁天皇は戦争による損害への後悔を何度も口にしたが、直接的な謝罪の言葉はなかった。
・これまでの海外訪問では非難されてきた天皇だが、重要な貿易相手国、開発支援国であり、南沙諸島問題で重要な同盟国であるがゆえにフィリピンでは敬意をもって歓迎された。
1月29日付タイ
『バンコクポスト』(AFP通信引用)は次のように報じた。
・82歳の両陛下は戦没者式典後遺族らと握手を交わした。
・天皇陛下はこれまで昭和天皇の名のもとに日本兵が死闘を繰り広げた南太平洋の激戦地各地を訪問してきた。
・1945年一か月に及ぶマニラ解放で空爆と砲撃により約10万の市民も犠牲となった。
中国の領海を巡る対立が高まる中、両国の経済的、防衛関係を強化するため初めてフィリピンを訪問。
・日本の戦時賠償を問題は、中国、韓国と対立の原因となっている。しかしフィリピンは寛容な姿勢を取っており、理由の一つに多額の援助金を受けている背景がある。
・アキノ大統領は明仁天皇を大歓迎、大統領府で宴会でもてなした。大統領の報道官は「両陛下のご訪問は両国の友好関係をより強化し国交60年を記念するもの」としている。
・しかし両陛下のご訪問にあたり元従軍慰安婦の謝罪と賠償を求める抗議集会が開かれた。
同日付日本
『ジャパンタイムズ』(共同通信引用)は次のように報じた。
・8人の80代の慰安婦らは仲間の慰安婦への蝋燭をともし、両陛下が戦没者慰霊式に出席している間抗議集会を行った。「韓国の慰安婦らは政府の支援を受けており我々も支援を求める。日本政府からも謝罪してほしいと思う」と、昨年の日韓合意に言及して述べている。
同日付米系
『UPI』は「比の"慰安婦"が明仁天皇に答えを求める」との見出しで次のように報じた。
・マニラの日本大使館の前で元慰安婦らが抗議を行った。8人の慰安婦は第二次大戦中多数の日本兵に強姦されたと述べており天皇に救済を求めている。ある慰安婦は、「既に高齢だが体が弱く多くの慰安婦は既に他界した。日本政府による公式な謝罪と賠償を求めている。」としている。
・元慰安婦らはまたアキノ大統領にも正義の戦いのため見捨てないでほしいと語っている。フィリピン政府は二国間の国交が回復した1956年に日本が5億5千万ドルを支払ったため金銭と物理的賠償は済んでいるとしている。
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