和平協議へ向かうシリアの5年(2016/03/14)
シリア和平協議に向け、シリアは各国から圧力を受けている。西欧先進国は和平協議の議題を制限しようとするシリア政府を非難。アサド大統領の処遇をめぐり先月の交渉は決裂。退陣を求める反政府勢力との間で交渉は難航。シリアでは、アサド政権への反発から始まった5年間の内戦で25万人以上が犠牲、避難民は千百万人。内戦による各国、各方面への影響も大きい。
3月13日付英
『BBC』は「シリア内戦、和平協議前に圧力」との見出しで以下のように報道している。
・日曜、ジョン・ケリー米国務長官は各国(仏、英、独、伊、EU)内務大臣らとパリで会談。会談後、ケリー氏はシリアを「和平プロセスを崩壊させようとしている」として非難。仏外務大臣ジャン=マルク・エロー氏はシリアを「挑発的で停戦を尊重していない事の現れ」と非難。
・シリアのムアレム外相は大統領選挙是非の議論を拒み、これを「シリア国民の権利」と主張。...
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3月13日付英
『BBC』は「シリア内戦、和平協議前に圧力」との見出しで以下のように報道している。
・日曜、ジョン・ケリー米国務長官は各国(仏、英、独、伊、EU)内務大臣らとパリで会談。会談後、ケリー氏はシリアを「和平プロセスを崩壊させようとしている」として非難。仏外務大臣ジャン=マルク・エロー氏はシリアを「挑発的で停戦を尊重していない事の現れ」と非難。
・シリアのムアレム外相は大統領選挙是非の議論を拒み、これを「シリア国民の権利」と主張。シリア反政府組織「最高交渉委員会(HNC)」は前提条件の設定は交渉開始をも妨げると声明。HNCはアサド大統領でも現リーダー主導でもない暫定政府樹立を目指すとする。
・国連シリア問題担当デミストラ特使は、米国仲介による非公式会議により、1年半以内の大統領選挙を目指すとする。
同日付
『ヤフーニュース』(AP通信引用)は「シリア内戦が世界に与えた影響の考察」との見出しで以下のように報道している。
・シリア内戦が世界各国の政治に多大な影響を与えた5つの観点から考察。
(1)イスラミックステート(IS)の台頭
アルカイダ系過激派組織から巨大組織に発達し今だ謎の多いISはラッカ、イラクのモスルを掌握、イギリス全土程の地域を支配下とし武器、富、人材を吸収。IS支配下では横暴を極め、シリア政府はほぼ黙認。フランスやイエメンでのテロを次々起こし、シリアとイラクでいわゆる「カリフ制」国家を樹立。イスラム教徒のみならず欧州の挫折感を持つ若い男女多数がISに加わっている。
(2)ロシアの復権
英国外務長官は、プーチン大統領なら地球上で唯一、シリアに電話して内戦を停められるという。アサド大統領へ軍事、経済的支援や助言を与えたことで比較的落ち着いた現状を取り戻した事への功績は大きい。ロシアの対シリア戦略は謎に包まれたままだが、次期シリア代表選出がロシアに依るところが大きい事に違いはない。
(3)欧州の動乱を招いた。
20世紀、欧州の国境撤廃構想時には、シリアからの難民が押し寄せる事など考えられなかった。この流れは外国人排斥運動を招き、国境自由移動を根本から見直す事態となった。パリ同時多発テロによりナショナリストの政治家が支持を集め、その波はイスラム教徒排斥を唱える米国の「トランプ旋風」につながる。難民のトルコへの一時送還措置を模索中の欧州は、通貨危機を凌ぐ大量難民問題で膠着している。
(4)近隣諸国への悪影響
4千4百人のシリア難民がトルコ、レバノン(人口の5分の1)、ヨルダンに押し寄せ、各国の労働力と経済に影響を与えている。レバノンのような脆弱な国を不安定にし、クルド人との内戦の懸念を引き起こしているトルコで民族間の緊張を招いている。
(5)イランの支配力拡大
シリア内戦は地政学的影響を与えている。イランで多数派の「シーア派」はレバノンからイランへの地域に分布。隣国レバノンではイランに支援されているとされるヒズボラ(シーア派組織)が勢力をもち、数千人の兵士をアサド政権のシリア(政府軍)に送りこんできた。ヒズボラはサウジ支援を受けたレバノン軍を圧縮してきた。
同日付米
『CTVニュース』は「内戦の代償、シリアが5年間で失ったもの」との見出しで次のように報道している。
1死者・負傷者
正確な統計は無いが、国連によると内戦による死者、負傷者は25万人、公式発表はここ数か月出ていない。シリアのシンクタンクによると、47万人は内戦による死亡者数。
2.難民
内戦前の人口は2千3百万人だったが、国連によると6千5百万人がシリアを離れ、4千8百万がシリア近隣諸国へ移住。国内に残る殆どは人道的支援を必要とする。
3.都市
歴史あるアレッポ等の都市、モスク等は壊滅的被害を受け、2014年時点での被害総額概算は360~450億米ドル。
4.世界遺産
内戦で「クラック・デ・シュヴァリエ」(中世十字軍時代を代表する城)や世界で最も重要な中世の城といわれる「パルミラ遺跡」等、シリア全土ほぼ全てのUNESCO世界遺産は破損、破壊された。また、ISはパルミル遺跡にある2千年前の「ベル神殿」を含む多くのローマ時代の遺跡を破壊した。
5.経済
正確な統計は無いが、最新の慈善団体の報告書によると、内戦によりシリアは2千7百5億ドル(内戦前のシリア医療費歳出の150倍)の損失を被った。内戦が2020年に終結すれば、内戦による損出は概算で1.3兆ドル。世界銀行の報告では、シリアの株主資本への損失は7,8百億ドル。
6.外国への影響
トルコ、レバノン、ヨルダン、イラクにも経済的影響が波及。世界銀行によると、シリア難民流入による損害額がヨルダンで年25億ドル(同国のGDP6%、国の歳入の25%)。レバノンも限界と悲鳴を上げ、トルコも難民受け入れに手こずっている。
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東日本大震災の海外特集(2016/03/10)
東日本大震災と原子力発電所の事故から金曜で5年を迎える。海外での特集を紹介。
3月10日付
『ヤフーニュース』は「日本は5年経っても大震災の爪痕今も」との見出しで以下のように報道している。
・原発事故の間違いを繰り返さないと当局は宣言するも、停止されていた原子炉再開は悲劇から学んでいないことを証明しており、官僚と原子力産業の靠れ合い等の根本的解決が十分進んだか疑問視する声も多い。
・タイム誌で2011年世界で最も影響のある人100人に選ばれた南相馬市長は、「首相は経済、経済と叫び、政治家は最も重要なのは、生命、生活である事を理解していない。...
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3月10日付
『ヤフーニュース』は「日本は5年経っても大震災の爪痕今も」との見出しで以下のように報道している。
・原発事故の間違いを繰り返さないと当局は宣言するも、停止されていた原子炉再開は悲劇から学んでいないことを証明しており、官僚と原子力産業の靠れ合い等の根本的解決が十分進んだか疑問視する声も多い。
・タイム誌で2011年世界で最も影響のある人100人に選ばれた南相馬市長は、「首相は経済、経済と叫び、政治家は最も重要なのは、生命、生活である事を理解していない。教訓が生かされず、原子炉再開となった。」と語る。
・東日本大震災復興特別区域法の制定、自治体レベルでは津波被害にあった地域住民の高台移住、防波堤や廃炉防御壁の設置も行われ危機管理を強化したが更なる改善の余地はある。
同日付英
『BBC』は次のように報道している。
・震災により2千トンもの瓦礫が漂流。殆どが海底に沈んだが5年経ってもまだ北米、アラスカ、ハワイに漂着している。2015年9月から確認されただけで64件。
・国海洋大気庁(NOAA)は日本政府と協力、地元自治体を通しこれらを照合、思い出の品々のいくつかは所有者に返されている。
(例)・カナダに漂着した日本語のナンバープレート付きハーレーダビッドソンのバイク。
・ハワイオアフ島に漂着した3mの木製のアパートの標識。
・アラスカに漂着した日本語のメッセージが書かれたサッカーボール。
・高校の漕ぎボートや漁船(始めは鯨かと思われたが近づくと日本語が書かれた漁船であった)も漂着。
3月8日付米
『CTVニュース』「福島原子炉の汚染水解決には9年か」との見出しで次のように報道している。
・東電の水処理チームの岡村氏によると、原子炉の解体の障壁となっている汚染水問題の解決には後4年を要し2020年までが目標。
・破壊した3炉は冷却水で高温になるのを防いでおり汚染水は地下に流れ地下水と混ざる。
・当地域を監視するウッズホール海洋研究所の科学者によると、震災直後の千分の一と量は減ったものの、放射能汚染した水は海に放流が続けられており、魚介類の安全から原発周辺の商業目的の漁業は禁止されている。
3月10日付中国
『China.org.cn』は「日本は2020年までに原発の汚染水問題終結へ」との見出しで次のように報道している。
・一種類の化学元素が水と分離できず、70万トンの炉心冷却のための汚染水は廃炉を困難にしている。
3月9日付米
『IBT』は「チェルノブイリと福島の隔離地域、被災地に野生生物は住めない」との見出しで次のように報道している。
・昨年、南カリフォルニア大学生物化学ムソー教授が5年に渡るチェルノブイリと福島の野生生物の研究を発表。鳥に関して、4年間で多くの種の減少が続いており、仏の研究者との共同研究では蝶と昆虫の減少も確認された。増殖機能の低下のためとみられる。
・チェルノブイリが再現されていると警鐘。チェルノブイリの研究では鳥とネズミの白内障が見られたが福島でも将来同様の現象がみられると懸念される。福島では同氏の規模の研究への投資は殆どない。白内障は原子爆弾の被爆者に見られた症状でもある。又、放射能による男性の生殖能力の低下も懸念される。
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