中国習近平(シー・チンピン)指導部の“一つの中国原則”徹底戦略はすさまじく、中国に乗り入れている世界のほとんどの航空会社にも、“Taiwan, China(台湾は中国の一部との意)”と表記するよう圧力をかけている。そしてこの程、米国の2大航空会社とともに最後まで抵抗していた豪州カンタス航空が、中国側要求を呑むことを決定した。豪州外相は、民間会社は政治的圧力に制約されるべきではないとコメントしているが、同社は、豪州政府が採用している“一つの中国原則”に沿うものだとして、同外相コメントに反発している。
6月5日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「豪州カンタス航空が遂に中国からの圧力に屈し、台湾は中国の一部と表示」
豪州カンタス航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO、51歳)は6月4日、中国政府の求めに応じて、同社の航空マップに“Taiwan, China(台湾は中国の一部の意)”と表示することを決定した旨公表した。
同氏は、シドニーで開催されていた国際航空運送協会(IATA、注後記)年次総会に出席していて、記者団の質問に答えたもの。...
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6月5日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「豪州カンタス航空が遂に中国からの圧力に屈し、台湾は中国の一部と表示」
豪州カンタス航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO、51歳)は6月4日、中国政府の求めに応じて、同社の航空マップに“Taiwan, China(台湾は中国の一部の意)”と表示することを決定した旨公表した。
同氏は、シドニーで開催されていた国際航空運送協会(IATA、注後記)年次総会に出席していて、記者団の質問に答えたもの。
中国航空総局は今年4月、中国に乗り入れている全ての航空会社に対して、5月25日までに“台湾が独立の国”とする表記を止めるよう通達を出していた。
40社以上がすぐ様この求めに応じていたが、米国のデルタ航空・ユナイテッド航空及び豪州のカンタス航空は、期限までに対応していなかった。
豪州のジュリー・ビショップ外相(61歳)は6月5日、カンタス航空の対応に懸念を表明し、民間会社は政治的圧力に制約されるべきではないとコメントした。
しかし、同社は、豪州政府が採用している“一つの中国原則”に沿ったに過ぎないとして、同外相のコメントに反発している。
なお、世界の航空会社の航空マップに“Taiwan, China”と表記されることが広まることは、習近平指導部にとって、海外企業に“一つの中国原則”を受け入れさせるとの戦略が成功していることを意味しよう。
同日付豪州『豪州ネットニュース』(『ロイター通信』配信):「カンタス航空、台湾は中国の一部だと表記」
中国航空総局は今年4月、中国に乗り入れている世界の40社以上の航空会社に対して、台湾・香港・マカオは中国の一部だと航空マップなどに表記するよう求めていた。
これに対して米ホワイトハウスは、“全体主義(監視管理社会)”的な話だと非難した。
だが、世界大手の航空会社であるエア・カナダ、独ルフトハンザ、英国航空など18社は、すでに中国当局の求めに応じている。
一方、今年1月、マリオット・インターナショナルホテルは、中国国内ウェブサイト上に、香港・マカオ・台湾・チベットは別の国だと表記していたことから、中国当局からウェブサイト掲示を停止させられた。
また、米デルタ航空も、台湾・チベットは別の国だとウェブサイト上に掲載したことで、中国当局から非難を浴びせられている。
(注)IATA:世界の航空会社で構成される、1945年設立の業界団体。およそ120ヵ国、約265社の航空会社が加盟し、世界の定期運航のうち約83%をIATA加盟の航空会社が占めている。IATAは航空会社の活動を支援し、業界の方針や統一基準制定に寄与している。本社としての登記はモントリオール(カナダ)で、本社機構はジュネーブ(スイス)。
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