ヨーロッパ諸国が新型コロナウイルス感染を防ぐために取っていた外出制限を解除し始めている中、ウイルスの封じ込めに成功したように見えた中国で、集団感染が再び報告されていることにヨーロッパメディアの注目が集まっている。
『LCI』によると、中国当局は11日、中国本土で新たに17人の感染が確認されたことを報告した。そのうち10人は国内感染であり、うちわけは5人が、新型コロナウイルスの震源地となった中国湖北省の居住者。
5人は、湖北省の居住者であり、前日に報告されていた感染者と同じ住居に住んでいる高齢者らであることが確認されている。新華社通信の発表によると、居住地の管理を担当している中国共産党の幹部は債務不履行のために解任されたという。
同省は5月に入ってから、1日あたりの新規感染者を3人未満に抑えられていたが、今回の新規感染は、4月8日のロックダウン(都市封鎖)解除後初となる集団感染となった。
その他5人の感染は、中国本土北東部、ロシアと北朝鮮との国境近くの吉林省で確認され、新しい感染源の出現に対する人々の懸念を引き起こしている。
国営テレビCCTVによると、約670,000人が住む舒蘭市は、先週末の2日間で少なくとも11人の新規感染が確認され、公共交通機関とタクシーが10日の日曜日から全面停止され、市当局は感染拡大リスクを最高レベルに引き上げたという。
英『ガーディアン』によると、中国が国内のすべての地域を低リスクまたは中リスクと指定してからわずか1週間後に2桁代の上昇が確認されたという。吉林省の新たな5人の感染者のうち3人が舒蘭市の住人であり、同市の感染者数は合計で12人となった。
国営メディアCGTNの報道によると、市当局はスポーツ施設、映画館、図書館を含む市内のすべての公共施設の一時的な閉鎖を命じ、市民には不要不急の外出制限を命じたという。また、中学や高校の最終学年の生徒もオンライン学習に戻ることになった。
国家衛健委は、市外への旅行歴や居住歴がなく、海外や感染者の多かった地域から戻ってきた人との接触歴もない45歳の女性が最初の患者だとして報告しているが、地元メディアは、市内の感染連鎖の原因は依然として謎のままであると報じている。
地元当局のWeChatアカウントによると、5月2日、舒蘭市の保健当局は、4月の最後の3週間に、308人の市民がロシアから綏芬河市および満州里市を経由して市内に戻ってきたという。人民日報によると、そのうち8人は吉林省の感染症専門病院に隔離され、残りの300人は舒蘭市内で隔離されたという。
中国は、4月に中露国境を通って中国に戻る人々に新型コロナウイルスへの感染が多数確認され、ロシアと国境を接する地域に国境閉鎖と社会的活動や外出の制限を命じている。
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新型コロナウィルス感染流行に関し、かつてロシアは、世界最大の国土を有し、また、ウィルス禍発症地の中国と長い国境で接しているにも拘らず、欧州他国に比べて感染者が異常に少なかった。しかし、検査が不適当とか隠蔽体質等と非難されたためか、直近の日本同様、日々の新たな感染者が急増している。そこで、自国内の感染は抑えられたと宣言している中国は、感染の逆輸入は許すまじと、ロシアとの国境封鎖に踏み切った。そのため、帰国できなくなったロシア出稼ぎ中の中国人たちが、感染防衛のための自主隔離に入っている。それは、武漢方式と言われる隔離対策で、情報に疎く危機感に乏しいロシア人住民からウィルスを移されないようにと、集合住宅の敷地から一歩も出ないという徹底したものである。
4月17日付米
『ロイター通信』:「ロシア在住中国人、多くは帰国したものの、逃げ遅れた中国人はウィルス感染に怯えながら自主隔離」
ロシアにおいて、直近の新型コロナウィルス感染流行の拡大はすさまじい。
そこで、現地在住の中国人の多くは帰国の途についた。
しかし、帰国の機会を逃した中国人は、例えば『ロイター通信』が電話インタビューした、ロシア極東ハバロフスクで衣料品商を営む男性(50歳)は、徹底した自主隔離でウィルス感染に備えているという。...
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4月17日付米
『ロイター通信』:「ロシア在住中国人、多くは帰国したものの、逃げ遅れた中国人はウィルス感染に怯えながら自主隔離」
ロシアにおいて、直近の新型コロナウィルス感染流行の拡大はすさまじい。
そこで、現地在住の中国人の多くは帰国の途についた。
しかし、帰国の機会を逃した中国人は、例えば『ロイター通信』が電話インタビューした、ロシア極東ハバロフスクで衣料品商を営む男性(50歳)は、徹底した自主隔離でウィルス感染に備えているという。
中国東北部の綏芬河(ソイフェンホー、黒竜江省東端)出身の同氏は、中国人オーナーの集合住宅に住んでいるが、4月1日以降、およそ500人の中国人住民とともに率先して自主隔離しているという。
武漢方式と言われる隔離対策で、集合住宅敷地内からは一歩も外に出ないという徹底ぶりで、必要品はインターネット注文で取得し、それ以外の物資は中国人オーナーがまとめて発注し、各戸の玄関に配達してもらい、また、運動不足解消のためには、ソーシャルディスタンスを保ちながら駐車場内を散策するというものである。
この背景には、中国政府が、海外からの帰国者による感染持ち込みを防ぐ措置として、特にロシアでの感染拡大を懸念して、4月以降ロシアとの国境を封鎖し、また、航空便の往来も差し止められたために、帰国する機会を失ってしまったことと、更には、国外はもとより国内の情報も十分知らされていないと思われるロシア人住民が、ほとんど危機感を持たずにマスクなし外出、ハグ、キス等々を繰り返しているため、それら地元住民からウィルスを移されることを避けるためでもあるという。
なお、衣料品商の男性によれば、ハバロフスク市当局からは一切コンタクトはなく、現地の中国領事館から訪ねてきてくれる領事館員に頼っていると証言している。
一方、ロシア国内在住の中国人約15万人のほとんどは、国境封鎖前に帰国の途についている。
そのうちの一人、ロシア北西サンクトペテルブルグでツアーガイドをしていた女性(33歳)は、『ロイター通信』の電話インタビューに答えて、3月末、ロシア国内での感染拡大による医療崩壊を懸念して、同市からノボシビルスク経由ウラジオストックまで空路移動した上で、他の中国人とともに3時間かけて綏芬河までバス移動したという。
職業柄、何度も旅行・移動していた彼女としても、このときばかりは、国境の“中国税関”の看板を見て初めて歓喜したという。
そして綏芬河市内のホテルで14日間の隔離、検疫検査で陰性の結果を得た上で、故郷の中国南西部成都(チェンドゥ、四川省)に戻っている。
なお、ロシアでは4月16日現在、一日で3,448人の感染者が確認されて合計2万7,938人まで膨れ上がっている(編注;4月17日には更に4,070人増えて3万2,008人となっている)。
中国国営メディア『環球時報』(中国政府宣伝媒体『人民日報』子会社)は、ロシアが新型コロナウィルス感染食い止めに失敗したと報じたが、ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は4月15日、“根拠のない批判には全く同意できない”と表明している。
一方、同日付中国『チャイナ・デイリィ』:「習国家主席、ロシア支援を約束」
習近平(シー・チンピン)国家主席は4月16日夜、ウラジーミル・プーチン大統領と電話会談し、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、ロシア向けに医療用品等を提供すると表明した。
同主席は、ウィルス禍の初期段階で、中国が最も困難な状況にあった際、ロシアが常に支援してくれていたことは忘れないと言及した。
また、同主席は、ロシア在住の中国人に対するロシア政府の支援に感謝するとも付言した。
なお、会談で両首脳は、ウィルス禍を政治利用する動きに対して、共同して断固として立ち向かっていくことで同意した。
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