6月1日、中国外交部の趙立堅報道官は、記者会見で「米国の指導者が中国を非難しているが、これは事実をみようともせず、中国の内政に干渉し、中米関係を破壊することであり、人を傷つけ、自らも損なうことであり、中国は断固反対する」と述べた。
中国中央テレビの「米国大統領が、香港国家安全法や新型コロナウイルス、貿易問題などで、中国を非難し、香港に対する特恵を取り消そうとし、中国人留学生の入国を取り消し、中国企業の米国における株式上場を調査しようとしている。中国はこれらをどのように見ているか」との質問に答えたもの。
趙立堅報道官は「香港は中国領土の一部であり、香港の問題は純粋に中国の内政である。中国の全人代で香港特別行政区の国家安全法と制度を決定することは、中国憲法で規定された権力であり、目的は香港の安全立法で欠けていたものを埋め合わせるためである。これによって「一国二制度」を貫徹し、香港の長期にわたる安定と繁栄を擁護するものであり、いかなる外国も干渉する権利はないし、干渉は許さない」と述べた。
さらに「中米の貿易や教育面での協力の本質はウィンーウォン関係であるはずなのに、ある時期以降、米国は中国企業に対し、理由をでっちあげて圧力をかけ、さらに米国に上場している企業を調査するように脅し、中国人留学生のビザを制限している。これらは市場の競争原則に違反するものであり、中米両国人民の友好的な交流をしたいという願いに背くものである」とし、中米の関係をさらに損ねるものになると非難した。
新型コロナウイルスについては、人類に対する挑戦であり、各国が力を合わせて対応しなくてはならないとし、ウィルスで汚名をきせることに国際社会は反対しており、団結してウィルスに打ち勝とうというのがコンセンサスになっている。これに対し米国は中国とWHOを非難し、米国の人々の視線を自分のコロナ対策の失敗からそらそうとしている、と米国大統領を非難した。
「中国は米国とともに努力しようとしており、衝突や対抗しようとは思っておらず、共に勝利する関係になりたいと考えている。同時に、中国は主権を守り、発展していく。米国は中国にいかなる損害を与えることはできないし、中国の発展を阻害しようという陰謀は実現するはずもない。米国は冷戦の考えを捨て、偏見を捨てなければならない」と述べた。
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4月7日付米
『CNNニュース』:「中国、新型コロナウィルス感染流行問題を契機に南シナ海で制海権拡大」
中国人民解放軍(PLA)の英文ウェブサイトに先週、PLAが直近で実施した大規模実戦訓練(注1後記)及びベトナム漁船沈没(注2後記)について詳細な経緯が掲載された。
更に、新型コロナウィルス発症地の武漢(ウーハン)在の軍需産業を拡充するとも言及している。
中国の大規模訓練が実施される前、米軍原子力空母“セオドア・ルーズベルト”がグアム港に向かって航行中に、中国主張の領海内に侵入したと中国側が非難していた。...
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4月7日付米
『CNNニュース』:「中国、新型コロナウィルス感染流行問題を契機に南シナ海で制海権拡大」
中国人民解放軍(PLA)の英文ウェブサイトに先週、PLAが直近で実施した大規模実戦訓練(注1後記)及びベトナム漁船沈没(注2後記)について詳細な経緯が掲載された。
更に、新型コロナウィルス発症地の武漢(ウーハン)在の軍需産業を拡充するとも言及している。
中国の大規模訓練が実施される前、米軍原子力空母“セオドア・ルーズベルト”がグアム港に向かって航行中に、中国主張の領海内に侵入したと中国側が非難していた。
当該空母は、乗組員の中に170人余りの新型コロナウィルス感染者が認められたことから、任を解かれて現在グアム港に停泊中である。
更に先週、別の原子力空母“ロナルド・レーガン”の乗組員にも若干名の感染者が出ており、現在はメインテナンスを兼ねて横須賀港に停泊中である。
また、在韓米軍の中だけでなく、先週末には、佐世保港の米軍基地内でも初の感染者が報告されている。
米国防総省は、米軍内で合計1,500人余りが罹患していると発表している。
かかる状況下、同省は、感染拡大防止対応のため、世界に展開している駐留米軍兵の移動を停止したり、軍事訓練を中止したりしている。
同省報道官のジョナサン・ホフマン次官補は先週、“全運用能力を可及的速やかに再開”することを念頭に置いて、日々危機管理を行っていると表明した。
しかし、軍事評論家の何人かは、たとえ一時的とは言え、米軍艦が南シナ海から撤収したことで、中国側が絶好のチャンスと考えているはずだと分析している。
例えば、元米海軍大佐で米太平洋軍統合情報センター前運用部長のカール・シュスター氏は、“米軍がウィルス禍にかまけている間に、中国は南シナ海で制海権強化のためにやりたい放題をしようとするはずだ”として、ベトナム漁船を沈没させた事態を例に挙げて、“米軍が中国側対応にすぐさま反応できない状況をみて、ベトナム側が不安を覚えたに違いない”と解説している。
実際問題、新型コロナウィルス感染問題発生前、空母“セオドア・ルーズベルト”はベトナムのダナン港に3月初めに5日間ほど寄港していて、中国側がベトナムと米国の接近を懸念していたと分析される。
なお、米軍は原子力空母を11隻保有しているが、通常のメインテナンスでも非常に長い時間を要するため、実際に就役させる艦数は限られ、3月30日時点では僅か5隻であった。
しかも、そのうち2隻はウィルス禍の影響を受けた“セオドア・ルーズベルト”及び“ロナルド・レーガン”で、2隻はイラン対峙のため中東に張り付き、もう1隻は米東海岸にいる。
すなわち、南シナ海にすぐさま代替投入できる原子力空母打撃軍はないということである。
同日付中国『CGTN(1997年設立の中国中央テレビ国際ニュース局)』:「中国、米国による新型コロナウィルス感染問題に引っ掛けての中国中傷を止めるよう要求」
中国外交部(省に相当)の趙立堅(チャオ・リーチャン)報道官は4月7日、米国が中国に対して、新型コロナウィルス世界流行問題を巧みに利用して、南シナ海で無謀な行動に出ているとの中傷を行っているとして、改めて遺憾の意を表明した。
これに先立ち、米国側は、4月2日に発生したベトナム漁船沈没問題に関し、南シナ海において“違法な主張”に基づく暴挙だと非難していた。
同報道官は、中国側は主権擁護のため、国際法に基づいて違法操業していたベトナム漁船を取り締まったに過ぎないとし、また、沈没したのは漁船側が海警艦に体当たりしてきた結果だと説明した。
更に同報道官は、“中国は新型コロナウィルス感染問題に関わり、深刻化している他の国々に可能な限りの支援を行っている”とも強調した。
(注1) 大規模実戦訓練:3月25日前後に、駆逐艦、潜水艦、戦闘機等を投入して実弾訓練を実施。中国側は、3月に米軍艦が3度も南シナ海の中国領海内に無断進入、あるいは横断航行したことに対抗して、中国主権擁護のための訓練だと表明。
(注2) ベトナム漁船沈没:中国側発表によると、4月2日、パラセル諸島(西沙諸島、中国が全ての島嶼を実効支配)内にベトナム漁船が侵入して違法操業していたため、中国海警艦が取り締まりに赴くと体当たりしてきて、最終的に同漁船が沈没したもの。同漁船の全乗組員は海警艦が救助しており、乗組員らは違法操業を認めているという。
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