中国の株式市場は、昨年6月のピーク時から40%余り急落し、世界の市場を混乱に陥れた。中国当局としては、中国証券監督管理委員会(CSRC)を中心に、株価急落を喰い止めるため、上場企業の大株主に持ち株の売買を半年間禁止したり、日米などで採用されている「サーキット・ブレーカー制度(CB制度、注後記)」を中国方式として採用したりした。しかし、特にCB制度は、今年1月4日に導入後即日発動され、また、同じ週の1月7日にも再度発動されることとなり、反って火に油を注ぐ結果となったと非難されていた。そして、未だに市場が安定化しないことを看過できなくなったためか、習近平(シー・チンピン)政権は、CB制度導入を決めたCSRCの肖鋼(シャオ・ガン、57歳)主席を更迭したと米・中国メディアが報じた。
2月20日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)の、「市場混乱の中、中国証券監視委トップ更迭」と題した報道記事:
「・中国政府は2月20日、CSRC肖主席を更迭すると発表。
・国営
『新華社通信』報道によると、後任は中国農業銀行の劉士余(リウ・シーユ、54歳)総裁で、前中国人民銀行(PBOC、中央銀行に相当)副総裁。
・昨年夏から続く中国株式市場急落と、今年初め肖主席が導入を決めたCB制度によって更に混乱が増長したことから、個人投資家らの批判をかわすための交代と推測。...
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2月20日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)の、「市場混乱の中、中国証券監視委トップ更迭」と題した報道記事:
「・中国政府は2月20日、CSRC肖主席を更迭すると発表。
・国営
『新華社通信』報道によると、後任は中国農業銀行の劉士余(リウ・シーユ、54歳)総裁で、前中国人民銀行(PBOC、中央銀行に相当)副総裁。
・昨年夏から続く中国株式市場急落と、今年初め肖主席が導入を決めたCB制度によって更に混乱が増長したことから、個人投資家らの批判をかわすための交代と推測。
・2月19日の上海総合株価指数は2,860.02と、昨年6月のピーク時の5,178より45%も値下り。但し、2014年末に株価上昇が始まった頃に比べて依然高い数値。」
同日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙の、「CSRC主席交代、しかし効果は疑問」と題した報道記事:
「・後任に指名された劉総裁は、証券取引は未経験であるため、CSRCてこ入れの効果は疑問。
・なお、中国政府としては、2002年から在任しているPBOC周小川(ジョウ・シャオチュァン、68歳)総裁の交代の時機及び後任候補も頭痛の種。
・周総裁は、昨年11月、国際通貨基金(IMF)に人民元を国際準備通貨として認定せしめた功績があるが、昨年8月に人民元を突然4%切り下げて国際金融混乱を誘発。」
2月21日付中国
『上海ニュース』の、「株価混乱収まらず、CSRC主席更迭」と題した報道
記事:
「・今回の更迭劇は、2月下旬に上海で主要20ヵ国・地域(G-20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれること(編注;中国が初の議長国)及び3月初めには全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が控えていることから、株式市場の混乱や経済成長率鈍化の影響などへの対策を迫られてのことと推測。
・高虎城(ガオ・フーチョン、64歳)商務部長(商務相に相当)は国営テレビのインタビューに答えて、中国の貿易は年内に安定・改善していくと自信を持っていると表明。」
(注)サーキット・ブレーカー制度:株式市場や先物取引において価格が一定以上の変動を起こした場合に、強制的に取引を止めるなどの措置をとる制度。中国の代表的な株式指数の1つである「CSI300」の変動幅が前日比で5パーセントを超えると、全ての株式と先物の売買を15分間止め、同じく変動幅が前日比で7パーセントを超えると、その日の売買は全て停止されるという方式を採用。
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