米ロ首脳;共に新型コロナウィルス封じ込め失敗を責められる中、75年前の両国記念日に協調アピール【米・ロシアメディア】(2020/04/26)
75年前の4月25日、米ソ両軍はドイツのエルベ川で合流し、両国間の不戦を誓い合って、ナチスドイツ撃破に邁進した。その75周年記念日に、ドナルド・トランプ大統領とウラジーミル・プーチン大統領が、両国首脳として10年振りに共同声明を発表し、猛威を振るう新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大に当たって、両国が協調する必要性を訴えた。両首脳とも、COVID-19封じ込めに失敗していることを責められている折り、多分に“やっている”感を示すためのポーズのように見受けられる。
4月25日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『ロイター通信』配信):「トランプ・プーチン両首脳、久方振りに共同声明発表」
ドナルド・トランプ大統領とウラジーミル・プーチン大統領は4月25日、第二次大戦中の75年前の今日、ナチスドイツ撃破に共同して向かうことを誓った「エルベ川の誓い」を行ったことを記念して、10年振りとなる共同声明を発表した。
当時、ベルリン南方のエルベ川で、西進してきたソ連軍と東進してきた米軍が合流して、両国間の不戦を誓い合った。...
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4月25日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『ロイター通信』配信):「トランプ・プーチン両首脳、久方振りに共同声明発表」
ドナルド・トランプ大統領とウラジーミル・プーチン大統領は4月25日、第二次大戦中の75年前の今日、ナチスドイツ撃破に共同して向かうことを誓った「エルベ川の誓い」を行ったことを記念して、10年振りとなる共同声明を発表した。
当時、ベルリン南方のエルベ川で、西進してきたソ連軍と東進してきた米軍が合流して、両国間の不戦を誓い合った。
そこで今回両首脳は、COVID-19という世界的な問題に対処していくため、両国間の協調が必要だとアピールしている。
しかし、両国は目下、軍縮管理、ロシアのウクライナ・シリア介入、更には米大統領選への干渉等の問題で対立したままである。
そこで、『ウォ-ル・ストリート・ジャーナル』紙は、トランプ政権高官の何人かが、このような共同声明を出すことは、これまで米国がロシアに対して発信してきた厳しい非難メッセージを後退させてしまいかねないと反対していたと報じている。
ただ、これまでもトランプ大統領は、プーチン大統領との友好関係を強調し、かつ、2016年米大統領選への干渉はなかったとするプーチン大統領の表明を信じると繰り返してきており、同大統領の決意を覆すことはできなかった。
なお、同紙によれば、前回の両国首脳の共同声明は2010年に、当時のバラク・オバマ大統領が、ロシアとの関係改善を欲して発信している(当時は、ドミートリィ・メドベージェフ大統領)。
一方、共和党が多数派の上院情報委員会は4月21日、2016年米大統領選時に、ロシアが民主党のヒラリー・クリントン候補にサイバー攻撃を仕掛けて、トランプ候補に票が流れるように工作したとの米情報局の2017年捜査報告書に同意するとの決議を行っている。
更に、情報局高官が議会に対して、ロシアが2020年大統領選にも不当介入しようとしていると警告を発している。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「米ロ協調の一例:トランプ・プーチン両首脳が“エルベ川の誓い”75周年記念日に共同声明発表」
米ロ両国は、例えば対テロ戦争やCOVID-19感染流行問題で協力し合えるかも知れないが、ここ数年の米国内の大勢は、“全ての点でロシアを糾弾”する対応を取ってきており、今回の共同声明に記されている、強調して問題に対処していく、という文言とは異なる。
例えば、COVID-19で非常な困難に陥っているニューヨークに、ロシア側支援の一環でロシア軍による医療装備品等の配送手配を行おうとしたことについても、同地において反ロシアを叫んで群衆が集まってしまうことから、ロシアの友好の印が蔑ろにされてしまっている。
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米国防総省;新型コロナウィルス感染者急増の原子力空母艦長からの全乗組員下船・隔離要請を却下【米・ロシアメディア】(2020/04/02)
米国の3月31日の感染者は18万9,633人と2位のイタリアを大きく引き離し、死者も3,899人と2位のスペインに迫る勢いである。そして悪夢のように、洋上の原子力空母乗組員にも感染が広がり、同艦々長は異例の全員下船許可を要請した。しかし、国防総省長官は、“まだ重大局面ではない”とし、かつ、“指揮命令系統”上、自身が直接許可を与えることはできないとして、艦長の要請を却下している。
3月31日付米
『AP通信』:「原子力空母艦長が、新型コロナウィルス感染拡大を理由に全乗組員の下船許可要請」
米原子力空母“セオドア・ルーズベルト”のブレット・クロージャー艦長が3月29日晩、同艦の乗組員の間で新型コロナウィルス感染拡大が深刻化していることから、全員を下船して隔離する措置について、海軍上層部宛に書面で許可申請した。
同艦は目下、グアム港に停泊しているが、約5千人の乗組員のうち、100人以上の感染が認められているとしている。...
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3月31日付米
『AP通信』:「原子力空母艦長が、新型コロナウィルス感染拡大を理由に全乗組員の下船許可要請」
米原子力空母“セオドア・ルーズベルト”のブレット・クロージャー艦長が3月29日晩、同艦の乗組員の間で新型コロナウィルス感染拡大が深刻化していることから、全員を下船して隔離する措置について、海軍上層部宛に書面で許可申請した。
同艦は目下、グアム港に停泊しているが、約5千人の乗組員のうち、100人以上の感染が認められているとしている。
同艦長は、狭い艦内に全乗組員を留めておくことは“不必要なリスク”だとした上で、“戦時下でないところで、乗組員の命を危険にさらせない”と訴えている。
米海軍上層部は3月31日、陽性反応が出ている数十人の乗組員について下船させて隔離すべく努めているとしている。
米海軍のトーマス・モドゥリィ長官代行は『CNN』のインタビューに答えて、“調整は進行中”であり、“同艦の任務遂行をはかりつつ、乗組員をグループ毎に分けて受け入れ可能な隔離施設を準備して隔離”すべく最善を尽くしているとコメントした。
国防総省によると、3月31日朝現在、米軍内の感染者は673人と、1週間前の174人から急増し、3月30日だけで新たな感染者が104人も出ているという。
同省は、3月20日以降10倍増と拡大していることから、海外駐留部隊含めて全兵員の移動を中断させて感染拡大を阻止すべく努めてきている。
なお、米軍は、中東でのイスラム過激武装勢力との戦闘よりも、最近ではアジアに原子力空母打撃軍を配備して、特に東シナ海で勢力を拡大している中国との“覇権争い”に注力してきている。
一方、4月1日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「米国防総省、空母艦長の感染拡大防止のため全乗組員の下船隔離要請を却下」
同省のマーク・エスパー長官は3月31日、米『CBSニュース』のインタビューに答えて、“感染者の船内隔離や、必要な医療品送達、更には医療従事者を派遣等、可能な限りの手は尽くしている”とした上で、“現状では、全員下船させる段階にない”とコメントした。
同長官は更に、“今現在重篤となった乗組員は皆無”とも付言した。
原子力空母“セオドア・ルーズベルト”は、南シナ海に展開して、同海域での監視航行に当たっていたが、フィリピンで乗船した乗組員のうちの3名に感染が確認されたことから、先週任務を解かれ、グアム港に停泊することになった。
同長官は、メディアインタビューの際、同艦のクロージャー艦長の申請文書はまだ手元にきていないとした上で、“指揮命令系統”に沿った手続きを理由に、同艦長の要請について直にコメントすることは控えると回答した。
一方、同空母の他、目下西海岸に停泊している、強襲揚陸艦“ボクサー”、巡洋艦“コロラド”、及びミサイル駆逐艦“ラルフ・ジョンソン”の乗組員の一部に感染者が出ている。
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