ベラルーシの独裁大統領;反政権派抗議行動に音を上げてロシアの強権大統領の助けを求めて訪ロ(2)【米・ロシアメディア】(2020/09/18)
9月12日付GLOBALi「
ベラルーシの独裁大統領;反政権派抗議行動に音を上げてロシアの強権大統領の助けを求めて訪ロ」で報じたとおり、6選を果たしたと宣言しているアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、一時はウラジーミル・プーチン大統領に敵対する態度を取っていたが、反政権派抗議行動が1ヵ月余りも続いていることに音を上げて、訪ロの上でプーチン大統領の支援を直接訴えることとした。プーチン大統領としても、反政権派の後押しをする欧州連合(EU)及び米国を苦々しく思い、軍事・警察力のみならず資金援助の手を差し伸べることになった。そして更に、ロシアの諜報機関トップが、米国が反政権派に資金援助等を行ってベラルーシ政権転覆を図ろうとしていると非難声明を出した。
9月16日付米
『AP通信』:「ロシアの諜報機関トップ、米国がベラルーシ反政権派を扇動していると非難」
ロシアの諜報機関トップは9月16日、米国がベラルーシの反政権派を扇動しているため、彼らの抗議行動が鎮静化せず6週間余りに及んでいると非難した。
反政権派は、8月9日の大統領選で不正があったため、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の当選は無効であるとして、それ以来同大統領の退陣を求めて毎週末に大規模抗議デモを繰り広げてきている。...
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9月16日付米
『AP通信』:「ロシアの諜報機関トップ、米国がベラルーシ反政権派を扇動していると非難」
ロシアの諜報機関トップは9月16日、米国がベラルーシの反政権派を扇動しているため、彼らの抗議行動が鎮静化せず6週間余りに及んでいると非難した。
反政権派は、8月9日の大統領選で不正があったため、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の当選は無効であるとして、それ以来同大統領の退陣を求めて毎週末に大規模抗議デモを繰り広げてきている。
そして、米国及びEUも、同選挙が自由でも公平でもなかったと非難し、同大統領に反政権側との対話を要求しているが、同大統領はこれを拒否している。
そうした中、ロシア海外諜報局(1991年に旧ソ連のKGB後継組織として設立)のセルゲイ・ナリシーキン局長が9月16日、米国が反政権派に数千万ドル(数十億円)の資金援助をして抗議活動を扇動していると非難する声明文を発表した。
同局長は更に、“かつての「カラー革命(注後記)」と同様の事態を引き起こそうと企んだもので、全くベラルーシ市民の利益とはならない”と強調した。
一方、9月14日に訪ロしたルカシェンコ大統領と4時間に及ぶ会談をしたウラジーミル・プーチン大統領は、15億ドル(約1,575億円)をベラルーシに融資すると発表している。
ベラルーシの反政権派は一斉に抗議の声を上げたが、ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は、ロシアはルカシェンコ大統領が合法的に選出された首脳だと認めていると表明した。
同報道官は、反政権派代表のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏から出されている、ルカシェンコ大統領が自ら退陣すれば安全は保証するとの提案について報道陣から質問されたところ、“正規に選出されたルカシェンコ大統領は、退陣含めて何ら対応する必要はない”と断言した。
一方、ロシアから強力な支援を取り付けたルカシェンコ大統領は、西側諸国がロシアを意図的に孤立させようとしていると非難した上で、ロシアとベラルーシは軍事協力を強化し、自分たちを敵視している北大西洋条約機構(NATO)に対抗するため共同軍事演習も実施していくと表明している。
なお、ロシアは今週初め、空挺部隊をベラルーシ南西端のブレスト(ポーランド国境付近の都市)に派遣して9月25日まで軍事演習をすると発表している。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』:「ロシアのナリシーキン諜報局長、米国がベラルーシ暴動を扇動していると非難し、ルカシェンコ大統領も同意」
ルカシェンコ大統領は9月16日、ロシアのナリシーキン諜報局長による米国介在の暴動非難声明に続いて、西側諸国は何十年も前から、東欧諸国の混乱を引き起こしており、それはカラー革命と呼ばれているが、今回の米国の介入もそれに倣ってベラルーシを混乱に陥れようとしているものだ、と非難した。
なお、ナリシーキン諜報局長は、“米国は表立って行動していないが、裏で反政権派を操って、大規模抗議デモ等の組織活動を支援している”とし、“実際問題、米国が2019年及び2020年初めに、反政権派の基となる複数のNGO団体に約2千万ドル(約21億円)を支援し、ベラルーシ大統領選の遥か前から反政権運動を準備させてきている”とも付言している。
(注)カラー革命:2000年ごろから、中・東欧や中央アジアの旧共産圏諸国で民主化を掲げて起こった一連の政権交代を指す。これらの政権交代劇では、政権交代を目指す勢力が、特定の色や花を象徴として採用したり、メディアの報道においてそれらが当てはめられることが多かったため、そう呼ばれた。2000年のセルビア(旧ユーゴスラビア)のブルドーザー革命、2003年のジョージアのバラ革命、2004年ウクライナのオレンジ革命、2005年キルギスのチューリップ革命等がある。
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ロシア憲法改正;異性間のみの婚姻規定より、LGBTQを推定させるとしてレインボーアイスクリームまで非難対象に【米・ロシアメディア】(2020/07/08)
7月4日に発効したロシア改正憲法は、ウラジーミル・プーチン大統領の長期続投が可能になったことが大きな話題になっている。ただこれ以外にも、国際社会から受け入れ難い条項がある。今回報道されたのは、ロシアで子供向けに販売されているレインボーアイスクリームが非難対象になっているとの話題で、それは改正憲法で、“婚姻は異性間のみ”と明記されたことから、LGBTQ(注1後記)推進を奨励していると取られると批判されたという。そこで、同大統領も早速実態調査に乗り出すと表明している。
7月7日付米
『ニューヨーク・デイリィ・ニュース』紙:「ロシアの“レインボーアイスクリーム”が同性愛を助長するとの非難の声に、プーチン大統領が実態調査を表明」
ロシアの有名な政治家がウラジーミル・プーチン大統領に対して、カラフルな色が売りで子供向けに販売されているレインボーアイスクリームが、改正憲法規定に反して、同性愛という思想を子供たちに植え付ける恐れがあると直訴した。
ロシア女性連合のエカテリーナ・ラホーバ代表で、7月3日に開催された同大統領との公開テレビ討論会で、“同アイスクリームの宣伝文句によって、子供たちがLGBTQを象徴する旗などに親しみを感じ易くさせる恐れがある”と訴えた。...
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7月7日付米
『ニューヨーク・デイリィ・ニュース』紙:「ロシアの“レインボーアイスクリーム”が同性愛を助長するとの非難の声に、プーチン大統領が実態調査を表明」
ロシアの有名な政治家がウラジーミル・プーチン大統領に対して、カラフルな色が売りで子供向けに販売されているレインボーアイスクリームが、改正憲法規定に反して、同性愛という思想を子供たちに植え付ける恐れがあると直訴した。
ロシア女性連合のエカテリーナ・ラホーバ代表で、7月3日に開催された同大統領との公開テレビ討論会で、“同アイスクリームの宣伝文句によって、子供たちがLGBTQを象徴する旗などに親しみを感じ易くさせる恐れがある”と訴えた。
同代表によれば、同アイスクリームには、“色々なカラーで彩られた自然なままのアイスクリームは、どんな天候でもあなたを元気付けるのに最適”と謳われているという。
そこで、同代表は、この度改正憲法に明記された“伝統的な慣習(異性間の婚姻)”を守るためにも、子供たちにLGBTQ思想を受け入れ易くするような商売は止めさせるべきだと主張した。
これに対して同大統領は、“ロシアの伝統に反するような動きに対して、政府側としても対応を考える必要があるかも知れない”としたが、“ただ、強硬にではなく”と付言した。
なお、ロシアでは2013年、“ゲイ・プロパガンダ法(反ゲイ法、注2後記)が制定され、LGBTQについて公に討議したり、またそれを支援するような動きが禁止されている。
7月4日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「ロシア女性連合代表、レインボーアイスクリームは子供たちに同性愛を親しみ易くさせようとする“間接的なプロパガンダ”だと非難」
在モスクワ米大使館は6月25日、星条旗と一緒に、LGBTを支持する象徴であるレインボー色の旗を掲げた。
この日は、毎年米国でLGBTの権利を擁護する記念日とされており、同大使館がそれを支持する姿勢を示したものとみられる。
このこともあって、ロシア女性連合のラホーバ代表は、レインボーアイスクリームが、ロシア伝統に反する同性愛を支持するLGBTの旗を想起させるとして、非難する声を上げたものである。
しかし、同アイスクリームの製造販売会社チスタヤ・リニアのアーメン・ベニアミノフ副社長は、同社商品はLGBT権利運動等とは全く無関係だと全面否定した。
同副社長は、“雨上がりの後に出るレインボーは、美しい自然現象であるから、同商品に使用している”とした上で、“LGBTを支持する旗とは一切関係がない”と反論している。
(注1)LGBTQ:性的少数者を表す言葉で、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(生まれた性と異なる性で生きる人)、クエスチョニング(性自認や性的指向を定めない人)の頭文字をとっている。Qは性的少数者の総称を表す「クィア」という意味でも使われている。
(注2)反ゲイ法:2013年6月、ロシア国家院議会(下院に相当)で圧倒的多数の賛成で制定された法律。ロシアの伝統に反する同性愛等から子供たちを守るべく制定。
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