米
『ロサンゼルス・タイムズ』によると、ガソリンの盗難事件が、全米で相次いでいる。カリフォルニア州サクラメントでは、郡の保護観察所の車両数台が何者かに狙われ、燃料タンクに穴をあけられてガソリンが盗まれた。他の局でも同様の盗難が報告されているという。
アメリカ自動車協会は、「ここ南カリフォルニアでは、ガソリン価格が連日過去最高値を更新しており、犯罪を犯そうとしている人々が、自分たちが使用する自動車のために、車のガソリンを狙ってくる可能性がある」と警告している。
米『フォックスニュース』によると、カリフォルニアのレギュラーガソリン1ガロン(約3.8リットル)あたりの平均価格は、1週間前の5.34ドルか(約631円)ら急上昇し、14日には5.744ドル(約680円)と記録的な高値になった。
サンディエゴでは、1ガロンあたり$5.77(約683円)で販売されており、地元のガソリンスタンドの中には、すでに1ガロンが6ドル(約710円)を超えるところもあるという。
こうした中、新しい手口でガソリンが盗まれていることが話題を集めている。これまで、窃盗犯は車のタンクからガスを吸い上げて取り出していた。しかし現在は、燃料タンクに直接穴を開けて盗む手口が目立ち始めているという。新型車には、燃料タンクと給油口の間に転倒防止弁があり、燃料タンクからガソリンを吸い上げることが難しくなっているためだ。
米国自動車協会は、燃料盗難の被害に遭ったかどうかを次のような兆候で確認できると伝えている。「車に近づくとガソリンの臭いがする、車の下の燃料タンク付近に水たまりが出来ている。車が発進しない。車は動くが、燃料計が燃料不足を示している、またはエンジン警告灯が点灯している。」
米『CNN』によると、ワシントン州では、警察が、ロック付きの蓋の購入や、見通しのよい明るい場所での駐車など、予防策を取るよう呼びかけている。また、公共の場での「長時間の駐車」を避け、大通りから給油口が見えるように車を配置するよう勧めている。
ミシガン州では、ドライバーにガソリン代の前払いか、給油時にクレジットカードで支払うことを要求しているガソリンスタンドも出てきている。あるガソリンスタンドのオーナーは、「燃料費の高騰により、給油した客が支払わずに走り去る件数が劇的に増えている。これ以上ガス盗難の費用をカバーすることはできない。」と述べている。
米『NBC』によると、車の修理会社を経営するアジズ・フセインさんは、最新の窃盗手口について「とても危険なことだ、本当に驚いている。」と述べている。こうした被害に遭った車の修理依頼が月に少なくとも2件入るという。フセインさんは、こうした手口は車だけでなく、ビルや近所も爆発させる可能性がある」としてその危険性を警告している。
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イスラム過激派組織タリバンは、アフガニスタンの新政権確立のための準備を進めている。その中で特に資金繰りのために、国際的承認を絶対的に必要としている。こうした中、欧米諸国は、現実的な対応方法としてタリバンとのコミュニケーションのチャネルを確立することをやむを得ないこととして検討し始めている。
仏
『レゼコー』紙は、国際社会から完全に孤立した状態に置かれていた1996年から2001年までの最初の政権と反し、2021年のタリバンは話し合いが可能な政権として国際社会から見られているようだ、と報じている。まだ正式な外交関係を結ぶ話は出ていないものの、近隣諸国や欧米諸国は、タリバンが国を事実上支配していることを認め、対応方法を模索している。
フランス国際関係研究所でこの地域を専門とするマーク・ヘッカー氏は、「近隣諸国や欧米人は、少なくともコミュニケーションのチャネルを維持する必要があるが、それは必ずしも政権を承認することを意味するものではない。...
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仏
『レゼコー』紙は、国際社会から完全に孤立した状態に置かれていた1996年から2001年までの最初の政権と反し、2021年のタリバンは話し合いが可能な政権として国際社会から見られているようだ、と報じている。まだ正式な外交関係を結ぶ話は出ていないものの、近隣諸国や欧米諸国は、タリバンが国を事実上支配していることを認め、対応方法を模索している。
フランス国際関係研究所でこの地域を専門とするマーク・ヘッカー氏は、「近隣諸国や欧米人は、少なくともコミュニケーションのチャネルを維持する必要があるが、それは必ずしも政権を承認することを意味するものではない。今のタリバンは、前のタリバン政権とは違い、国際政治に参加することを望んでおり、主要国は移民やアルカイダの非聖域化などの重要な問題を彼らと議論することを望んでいる。」と語る。
欧州連合(EU)の外交責任者であるジョセップ・ボレル氏は17日夜、「タリバンは戦争に勝った」ため、「なるべく早くタリバンと対話する」必要があると述べた。ドイツは18日、タリバンを「その行動によって」判断すると発表した。イギリスは、タリバンとは通常の外交関係は持たないとしているが、ドミニク・ラーブ英外相は、彼らが「今は権力を握っており、その現実に対処しなければならない」と述べている。ボリス・ジョンソン首相は議会の特別会議で、タリバンは「テロ、犯罪、薬物に対する彼らの行動、人道的な面と少女が教育を受ける権利など、行動で判断される」と述べた。
フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン外相は、タリバンは「尊敬と名誉を獲得したい。過去20年間にアフガニスタンで人々が獲得した権利を尊重すると言っている。彼らはそれを示さなければならない」と語り、「タリバンが変わったことを示す、真に包括的で変化を反映している政府が必要だ」と付け加えた。
アメリカは、前政権が2020年2月にタリバン組織と協定を結ぶという偉業を成し遂げており、現在、空港の安全確保のためにタリバンと定期的なやり取りを行っている。米国務省は、タリバン政府が「国民の人権を守り」、特に女性を保護するならば、タリバン政府を承認する可能性があるとしている。カナダはタリバン政権を承認するつもりは「ない」が、将来的にはその可能性があるとしている。
タリバン側も、国を維持するための資金、さらには再建や発展のための資金を得るために、国際的な承認を必要としている。世界銀行のデータによると、2020年のアフガニスタンの国内総生産(GDP)の42.9%が海外からの援助が占めていた。
中央アジアの安定を重視する中国も、タリバンと「友好的な関係」を維持する用意があるとしている。
なお、米『ロサンゼルス・タイムズ』は、中国はアフガニスタンの最大かつ最強の隣国として、米国の後に残された権力の空白を埋めるために介入することができるが、中国はそのようなことを望んでいないと報じている。そして、国造りにおける米国の屈辱的な失敗が中国にとって勝利をもたらしていると示唆する人もいるが、むしろ、中国政府はイスラム過激派政権との関係を改善しながらも、その野望に対抗することに注力すると考えているだろうと伝えている。
中国外務省は、米軍撤退時の混乱ぶりに対し、「イラクであれ、シリアであれ、アフガニスタンであれ、米軍が行くところには混乱と分裂、死と破壊、穴だらけの混乱が残ることを我々は目の当たりにしてきた」と非難した。しかし、近年、この地域で自国の利益を主張することに積極的になっている中国にとって、より深い懸念は、妥協を許さないタリバンが国境を越えて中国国内のウイグル人活動家たちを刺激することである。
中国とパキスタンの関係の専門家、アンドリュー・スモール氏は、中国は自国の経済的利益を守ること、アフガニスタンが中国を攻撃する過激派の拠点にならないようにすることなど、特定の目的を達成するために、持っている影響力を利用すると指摘している。何よりも「アフガニスタンが帝国の墓場であり、エネルギーを吸い込み、お金を吸い込んでいく、まるで罠のように、すべての大国が引きずり降ろされていく国である、という見方が強く、中国は、この罠に陥ってはいけない。」という見解を持っているとコメントしている。
キルギスのOSCEアカデミーで中国と中央アジアを専門に研究しているニヴァ・ヤウ氏は、中国は、アメリカの安全保障上のプレゼンスによってアフガニスタンへの対処から免れていたため、中央アジアへの一帯一路政策での大規模な投資を行うことが出来ていたと述べている。現在中央アジア地域の石油・ガス産業の多くは、中国に依存しているが、「アフガニスタンが不安定になっている今、これらの数十億ドルの投資は、タリバンに極めて近い位置にあるため、リスクにさらされている」と言う。
中国の王毅外相は、18日に米国のブリンケン国務長官と中国政府の懸念について話し合い、外相は「米国の性急な撤退」を批判し、中国はアフガニスタンが「テロの温床と避難所になるのを見たくない」と警告したという。
タリバンの勝利は、この地域の過激派グループを刺激し、その活動はすでに中国の経済活動を妨げている。先月、パキスタン北部でバス爆破事件が発生し、9人の中国人建設作業員が死亡した。同月、カラチでは2人の中国人エンジニアが銃撃戦の標的となった。4月には、中国大使が滞在していたクエッタの高級ホテルでパキスタンのタリバンによる自爆テロに遭い、辛うじて免れたものの、タリバンはこの攻撃は警察官などを狙ったものだとしている。また、中国はタリバンの約束を完全には信用できないという。タリバンはアフガニスタンの全地域社会を完全にはコントロールしていないためである。
ヤウ氏は「中国はタリバンとの交渉に非常に積極的だが、東トルキスタンの人々が支援されないようにするという最初の政治的目標を達成するという点では、まだ振り出しにいる。」とコメントしている。
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