フランス下院、女性の同性愛者や独身女性に体外受精を認める法案を可決(2019/09/30)
フランスの国民議会(下院)は27日、女性の同性愛者や独身女性が、体外受精により子どもをもうけることを認める法案を可決した。法案成立のためには今後上院での可決が必要だが、保守派などからの激しい反対があり、成り行きが注目されている。
『AFP通信』や
『ユーロニュース』『デイリー・テレグラフ』などが報じた。同法案は、マクロン氏が2017年に大統領に就任後推進する、大規模な社会的改革を象徴するものである。国民議会は同法案を賛成55、反対17で通過させ、大きな拍手が沸き起こった。
フランスでは現在、異性のカップルだけに体外受精(IVF)などの生殖医療技術を利用する権利が与えられているが、同法案はこれを女性の同性愛者や独身女性にも認めるものである。...
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『AFP通信』や
『ユーロニュース』『デイリー・テレグラフ』などが報じた。同法案は、マクロン氏が2017年に大統領に就任後推進する、大規模な社会的改革を象徴するものである。国民議会は同法案を賛成55、反対17で通過させ、大きな拍手が沸き起こった。
フランスでは現在、異性のカップルだけに体外受精(IVF)などの生殖医療技術を利用する権利が与えられているが、同法案はこれを女性の同性愛者や独身女性にも認めるものである。法案には合計で約2,500の修正が提案され、大きな論議を呼んだ。
同法案では、43歳未満の全ての女性を対象に、同国の医療制度が体外受精の費用を負担する。また、精子の提供を受けてもうけられた子どもが18歳に到達した時点で、提供者の身元の開示を可としており、提供者の匿名性を厳しく保護する現在の措置からの変更となる。女性カップルの子どもの出生証明書には、「2人の母親」の名前が記される。
伝統的な家族の概念を維持しようとするカトリック教会や保守派の団体などは、これに強く反発しており、同法案は「父親から子どもを奪う」ことになると批判している。法案を提出したマクロン氏率いる中道主義の与党「共和国前進」内にも反対の動きがあった。約20の宗教団体や保守派の団体が、10月6日にパリで抗議デモを予定している。
極右政党「国民連合(RN)」のルペン党首は先週RTLラジオに対し、「国は子どもに対し、2人の母親から生まれたと嘘をつこうとしている。国は出生証明書で嘘をつくべきではく、見知らぬ父親から生まれたと言うべきだ。」と述べ、同法案を批判した。保守的な仏紙ル・フィガロは社説で、法案は「我々の人間性の基礎を脅かす」と指摘。フランス医学アカデミーは、父親のいない子どもへの潜在的な心理的影響について懸念を表明した。
4月に行われた世論調査では、約3分の2の国民が法案を支持しているが、成立には上院での可決が必要だ。欧州では英国など同様の法律が成立済みの国が多く、フランスの同性愛者や独身の女性らは大金を支払い海外で体外受精を受けており、この状況は差別的と主張してきた。性的少数者の権利保護団体など支持者らは、法案の成立により年間約2,000人の女性が救済され、愛情と責任感あふれる親になることができると説明している。
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シャルリー・エブド襲撃事件から4年、表現の自由が脅威にさらされているフランス(2019/01/08)
2015年1月7日、週刊風刺新聞を発行しているフランス・パリの
『シャルリー・エブド』本社に、イスラム過激派テロリストが乱入し、編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警察官ら合わせて12人を殺害した。犯人はサイード・クアシ、シェリフ・クアシの兄弟2人で、後にアラビア半島のアルカイダ (AQPA)が犯行声明を出した。フランスだけでなく世界中に衝撃を与えた4年前のイスラム過激派による襲撃事件。現シャルリー・エブド編集長のリス(ローラン・スーリソー)氏がフランスのメディアで、フランスでの表現の自由、ないしは民主主義の弱体化に対して警告を出している。
同新聞社は事件後、非公開の新しい場所に引っ越しした。万が一の場合に備えて、緊急避難部屋も設けられ、現在も徹底的なセキュリティ体制下に置かれている。編集長のリス氏によると、編集者らを保護するためのセキュリティ対策の総コストは年間150万ユーロ(約1,870万円)だという。また、同紙の為に働いているメンバー達も現在も警察保護下にある。この4年の間に退社したメンバー達もいまだ厳重な警察保護下にある。そして、身の危険を感じて同社との仕事を断る人々もいるという。...
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同新聞社は事件後、非公開の新しい場所に引っ越しした。万が一の場合に備えて、緊急避難部屋も設けられ、現在も徹底的なセキュリティ体制下に置かれている。編集長のリス氏によると、編集者らを保護するためのセキュリティ対策の総コストは年間150万ユーロ(約1,870万円)だという。また、同紙の為に働いているメンバー達も現在も警察保護下にある。この4年の間に退社したメンバー達もいまだ厳重な警察保護下にある。そして、身の危険を感じて同社との仕事を断る人々もいるという。
今週、同紙の特別号を刊行したリス氏は、1月7日付の『ル・フィガロ』で「イスラーム国の形成が不利になっていることで、テロの脅威が遠ざかったかのように見えるが、それは錯覚に過ぎない。原理主義イデオロギーが広がりつつある」と語っている。そして、「私達は、私達に何が起こったのかをほとんど忘れてしまっている。 フランス人の中には、シャルリーが誇張していると感じる人もいる。」そのような人々は「民主主義が脆弱な時代であることが見えていない」と指摘している。
「シャルリーで働いている者は、中途半端でいることは出来ない。闘争心を持ち、情熱を注いで、読者を奪い立たせるようにしなければならない。自由という価値のために戦うのは読者達でもあるのだから。そのために、私たちは質問を投げかけるのです:あなたはどのような社会を望んでいますか?」
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