仏メディアがみる韓国大統領知人逮捕
韓国の朴大統領の長年の知人が職権乱用で逮捕された。朴大統領は国内の批判に対応すべく側近を含む数名を解任して政権再編を行うが、街頭では朴大統領の辞任を求めるデモが続き、支持率は急落し10%を切った。朴大統領への訴追と辞任に伴う大統領選の有無だが、フランスメディアは次の通り報じる。
フランスメディアは朴大統領の政権再編について、その場しのぎ的な苦しい応急処置との見方を示す。
『レゼコー紙』は「辞任を求める声が高まる中、朴大統領は閣僚や顧問を追い出し政府再編」、「朴大統領は、急きょ首相を含む大臣2名と側近である顧問数名の解任を余儀なくされ、この再編で世論の怒りを鎮める事を願う」と報じる。「レゼコー紙」によると、今回の政権再編によって、新首相は進歩系ノ・ムヒョン元大統領の元顧問や副大臣が新首相や新公安大臣に新たに任命されており、「これまでの保守政権よりかなり中立性」を示す人事で、「開放的な大物」が選ばれたようだ。...
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フランスメディアは朴大統領の政権再編について、その場しのぎ的な苦しい応急処置との見方を示す。
『レゼコー紙』は「辞任を求める声が高まる中、朴大統領は閣僚や顧問を追い出し政府再編」、「朴大統領は、急きょ首相を含む大臣2名と側近である顧問数名の解任を余儀なくされ、この再編で世論の怒りを鎮める事を願う」と報じる。「レゼコー紙」によると、今回の政権再編によって、新首相は進歩系ノ・ムヒョン元大統領の元顧問や副大臣が新首相や新公安大臣に新たに任命されており、「これまでの保守政権よりかなり中立性」を示す人事で、「開放的な大物」が選ばれたようだ。
『ルモンド紙』によると、「朴大統領は中立的な人事によって、政府安定化を図る大統領の決意と断固たる意志を示し、野党に協力を呼び掛ける」が、今回の再編人事は「緊急に政権が選んだ人物は国民のさらなる拒絶反応を引き起こすだけ」と評する。大統領の支持率は10%を切り、現在5%代まで急落した。
また「レゼコー紙」、「ルモンド紙」ともに大統領辞任か罷免の可能性は低いと見る。世論調査では67.3%やデモは大統領辞任を求めるが、「特に罷免の場合60日以内に選挙準備を始めねばならず、野党は選挙の候補指名が間に合わず、攻勢に出る事を躊躇」(レゼコー紙)、「罷免案は政界の総意でなく、野党大物は政治的停滞を懸念して罷免を拒否した」が、「中立政府は逆に2017年末まで国政を継続可能なため、朴大統領の行動を最小限に制限できる」ためだ。(ルモンド紙)
『レゼコー紙』によると、今回逮捕されたチェ氏と朴大統領との関係は親密で、「朴大統領は20年以上、チェ氏一家のコントロール下にあった」と報じる。チェ氏の父親は1970年代末から1980年にかけて、朴大統領のつらい時期にメンターを務めており、朴大統領の父の暗殺後に影響力を強めて特権的な関係を培った。大統領本人も、チェ氏に数件相談していた事を認めたように、北朝鮮とのやりとりに言及した極秘文書や談話原稿がチェ氏のタブレット上で見つかっており、「政策秘書以上の影の側近」と報じる。
『ルモンド紙』によると、政治の専門家の間では「朴大統領は決定力を欠く」と一般的にみられているようで、チェ氏が逮捕された今現在は、「代わりに陰で指南する人物がいる」との見方を示す。当分、現状が続きそうだ。
また「ルモンド紙」によると、韓国法務省は10月末に任命された特別検事が、捜査結果を検事総長にしか見せないよう命じた。大統領府に結果が届かないよう法務大臣にすら結果を知らせない徹底ぶりである。
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仏メディアが見る米大統領選の迷走:変わらぬトランプ人気の不思議
11月8日に投開票が行われる米大統領選は迷走する一方だ。クリントン候補が優勢とされるも献金疑惑の浮上で不安定さをみせ、差別発言で支持率を落とすも人気を保つトランプ候補。投資家筋では、夫と共に中国に広い人脈を持つクリントン候補で実は決まりだが、バブル経済崩壊後の中国に狙いを定めた政策を隠すための茶番劇、という見方すらある。この一部投資家の見解はともかく、暴言や差別発言を繰返しても続くトランプ支持が、世界中の目に奇妙に映る事は間違いない。仏メディアはトランプ人気の不思議を改めて読み解く。
『レゼコー紙』は社説で「ドナルド・トランプに投票する三つの理由」と見出しをつけて、依然として不動の支持を維持する理由を分析し、恐らく世界中が不可解に感じる点を要約する。「女性蔑視、外国人排斥、民衆扇動、無知で知られ、不動産開発という名の賄賂やカジノによるマフィアとの関係で巨額の剤をなした人物」が「世界最強かつ民主主義発祥の国の一つ」において「5千万近い米国民がトランプ氏に投票する」事である。
まず、現行の政治システムの拒否を挙げる。...
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『レゼコー紙』は社説で「ドナルド・トランプに投票する三つの理由」と見出しをつけて、依然として不動の支持を維持する理由を分析し、恐らく世界中が不可解に感じる点を要約する。「女性蔑視、外国人排斥、民衆扇動、無知で知られ、不動産開発という名の賄賂やカジノによるマフィアとの関係で巨額の剤をなした人物」が「世界最強かつ民主主義発祥の国の一つ」において「5千万近い米国民がトランプ氏に投票する」事である。
まず、現行の政治システムの拒否を挙げる。既に多くのメディアで報じられた通りだ。「米国人は既存の政治体制や秩序を疑い、トランプ氏はこの既存の体制を非難攻撃する事に依存する」。人民のための人民による政府を謳う叩き上げの不動産王は米国民の心をつかみ、弁護士で元大統領夫人、大臣まで務めたクリントン候補は、エリート主義への拒否感をより感じさせたと見る。「特に金融危機以来、米国は経済回復はおろか、既存の価値観を壊したと、特に白人中産階級は感じている」。トランプ支持層とそのまま重なる。確かに上位3%が富の54%を牛耳る米国は、もはやアメリカンドリームの国とは言えない。
『ルモンド紙』も、大卒資格を持たない人達のトランプ人気が突出する事に触れている。
また「レゼコー紙」によると前述の「既存の体制と秩序」にはメディアが含まれ、興味深いデータを掲載する。
『YouGov』の世論調査で「トランプ支持者の23%しかジャーナリストや政治の専門家を信頼しない」のに対し「クリントン支持者は89%が信頼する」。また米メディアのトランプ批判の異例ぶりも目を引く。
『USA Today』は1982年の創刊以来初めて「トランプ氏に投票しないよう読者に助言」した。1857年創刊の月刊誌
『The Atlantic』は「クリントン候補への投票を呼び掛けた」が、1964年のジョンソン候補と、1860年のリンカーン候補の例外を除いて、「常メディアが回避してきた」事だと驚きを隠さない。
『フィガロ紙』も「メディアと対決姿勢を強めたメディア王」と報じ、既存の体制や秩序と決別する構図作り上げた事に勝因の一つを見る。
トランプに惹かれたのは最貧困層ではなく、「中国製品、メキシコ系移民、黒人、女性、機械化」によって雇用を失う恐れをもつ「小市民の白人」である。さらに「エリートを拒絶する小市民は、強引で黒いやり方でもやり手のビジネス手腕にも期待を寄せる」。この点はフランスを始め欧米各国でみられる傾向だと
『レゼコー紙』は懸念も示す。
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