EU、ロシアの民間軍事グループへの制裁を発動(2021/12/15)
欧州連合(EU)の外相理事会は13日、ロシアの民間軍事グループである「ワグネル」が「不安定化をもたらす活動」を行っているとして制裁することを合意し、ロシアのプーチン大統領のウクライナへの介入を思いとどまらせるために、ロシア経済にダメージを与える措置を策定した。
仏紙
『ルモンド』によると、この決定は、ブリュッセルで開催されたEU外相会合で、全会一致で承認され、直ちに発効するようEU官報に掲載された。ワグネルグループは、「国際人権法を含む国際法に違反して、暴力を煽り、天然資源を略奪し、民間人を威嚇するために、世界各地の紛争地帯に民間軍人を募集、訓練、派遣している」ことで告発されていると、声明は述べている。
ワグネルグループは、その法的実在性を証明することが非常に困難であるため、直接制裁をかけることは出来ない。...
全部読む
仏紙
『ルモンド』によると、この決定は、ブリュッセルで開催されたEU外相会合で、全会一致で承認され、直ちに発効するようEU官報に掲載された。ワグネルグループは、「国際人権法を含む国際法に違反して、暴力を煽り、天然資源を略奪し、民間人を威嚇するために、世界各地の紛争地帯に民間軍人を募集、訓練、派遣している」ことで告発されていると、声明は述べている。
ワグネルグループは、その法的実在性を証明することが非常に困難であるため、直接制裁をかけることは出来ない。しかし、複数の欧州外交官によると、その代理人として働いていると疑われる8人の個人と3つの団体が今回制裁の対象になっているという。制裁対象となった主な人物は「リビア、シリア、ウクライナのドンバス、中央アフリカ共和国など、彼らが活動しているいくつかの国で、法的に認められない拷問処刑や殺害などの深刻な人権侵害に関与したり、不安定化をもたらす活動に関与したりしている」人達だと関係者は述べている。
ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)で働いていた、ワグネル創設者のドミトリー・ウトキン氏、その協力者で、中央アフリカ共和国大統領のセキュリティアドバイザーを務めるヴァレリー・ザハロフ氏、ウクライナの分離独立主義の地域であるドンバス地方の軍事司令官デニス・ハリトーノフ氏、ワグネルのシリア作戦総局長のアンドレイ・トロシェフ氏など数名に及んでいる。他にも、ウクライナ、シリア、リビアで活動する4人の傭兵も対象となっている。
ワグネルグループと関係する、エブロポリス、マーキュリー、ヴェラーダの3社も制裁対象になっている。3社は、シリアでガスや石油の分野で活動している。今回の制裁措置では、個人の渡航を禁止し、EU域内の資産が凍結された。
EU外交理事会は声明で、「本日の決定は、ワグネルグループの破壊活動に終止符を打つことを目的としている。これは、近隣地域およびそれ以外の地域における自国の利益と価値を守り、国際平和と安全を脅かし、国際法を侵害する者たちに対して具体的な行動を起こすという、EUの確固たる決意を示すものだ」と述べている。あるEUの外交官は、「ワグネルは、ヨーロッパとその近隣の第三国、特にアフリカの治安を不安定にするために利用されているロシアの民間軍事組織である」と述べている。
ロシアのプーチン大統領は、ワグネルとの直接的な関係を否定し、ロシアの法律に違反しない限り、傭兵の活動は許容されると述べている。外交官によれば、この制裁はプーチンの考えを変えることはないだろうが、EU27カ国のロシアに対する姿勢をさらに硬化させ、他の国々がワグネルのサービスを利用するのを阻止することを意図しているという。
なお、仏紙『ルフィガロ』によると、今回の外相理事会で、マリの「移行プロセスを妨害する者」に制裁を加えることを可能にする法的枠組みも承認された。これは現在マリで政権を握っている政権にとって重大な脅威となる。リビア、シリア、ウクライナ、そしてサハラ以南のアフリカ諸国で活動しているワグネルは、マリの玄関口にもいるからである。
フランスが軍を再配置し、2022年2月に予定されている選挙が正しく行われることが望まれている一方で、ロシアの傭兵は暫定政府の要請により、いつでも活動できるように準備していると見られている。12日に行われた西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の首脳会議では、マリの民主化移行が各国首脳の議論の中心となった。ECOWAS は11月に、すでに暫定政権のメンバーとその家族に対して制裁を課していた。
閉じる
フランス世論調査:5人に1人はフランスが「権威主義的」な政権であると回答(2021/12/13)
2022年のフランス大統領選挙まで半年を切った今、最新の世論調査でフランス人の60%以上が、民主主義は危機に瀕していると考えていることが明らかになった。フランス人の5人に1人は、フランスは「権威主義的」な政権であると回答している。
仏誌
『ルポワン』によると、フランス人の大多数は、民主主義に愛着を持っているものの、ハリス・インタラクティブが8日に発表した世論調査の結果によると、民主主義が「うまく機能している」と考えている人は半数にも満たなかった。回答者の61%が「民主主義が危機に瀕している」と回答した。
また、極右である国民連合党の支持者の3分の1以下だけが、「自由」の理念に結びついているはずの現体制が国内で正しく機能していると考えていることがわかった。...
全部読む
仏誌
『ルポワン』によると、フランス人の大多数は、民主主義に愛着を持っているものの、ハリス・インタラクティブが8日に発表した世論調査の結果によると、民主主義が「うまく機能している」と考えている人は半数にも満たなかった。回答者の61%が「民主主義が危機に瀕している」と回答した。
また、極右である国民連合党の支持者の3分の1以下だけが、「自由」の理念に結びついているはずの現体制が国内で正しく機能していると考えていることがわかった。この意見は、極右の支持者(31%)、極左の支持者(26%)、月収1千ユーロ(約13万円)以下の労働者層にも共通している。
また、今回の調査では、フランス人の3分の1が「投票は役に立たない」と考えており、特に25歳から34歳の若者に多いという、興味深い結果が得られた。選挙で選ばれた人たちが有権者の意思を考慮していない、という印象を持っていることが理由として挙げられる。
民主主義を活性化させるためには、いくつかの方法が考えられるが、特に、メディアに掲載される情報の信憑性をコントロールすること(79%)、白人票を考慮すること(78%)、国民投票をより頻繁に行うこと(77%)が挙げられる。
仏紙『ルフィガロ』によると、フランス世論研究所(Ifop)の世論調査の結果でも、フランス人の84%が、政治的意思決定プロセスにおいて市民の発言力を高めるべきだと考えていることが判明した。
フランス人の2人に1人以上(54%)が、現在のフランスでは民主主義がうまく機能していないと考えていることが明らかになった。調査対象となったフランス人の48%は、マクロン大統領の5年間の任期中に民主主義国家としての状態が悪化したと考えており、45%は何も変わっていないと考え、良くなったと考える人はわずか7%であった。
悪化していると回答した人は、国民連合支持者(75%)、左派政党「不服従のフランス」支持者(57%)や無所属(61%)に主に見られた。しかしこの調査では、こうした層の人々が様々な機関であまり採用されていないことも明らかになった。
国内の民主主義が衰退しているという認識のもと、フランス人はいくつかの施策を支持している。主なものとしては、49%の回答者が望んでいる地方または全国的な投票の実施、市民教育の強化などが挙げられる。さらに、36%のフランス人が、市民による参加型の政治、機関内での議会の位置づけの改善(34%)、比例代表制による議員の選出(33%)、野党の権限強化(27%)を望んでいる。
なお、フランス人は、「政治的意思決定プロセスにおいて市民がより大きな役割を果たすべきである」という点に関しては、84%が同意している。左派(90%)、与党(70%)、右派(84%)、国民連合(93%)のいずれの支持者であっても、この考えを支持していることが判明した。
閉じる
その他の最新記事