仏メディアが見る・ネムツォフの実像(2015/03/04)
プーチン政権を真っ向から批判していたボリス・ネムツォフが殺害された。
『フィガロ紙』が「間違いなくこの殺害は政治的」と報じる通り、暗殺の可能性を感じるが「ネムツォフ氏はプーチン大統領にとって脅威ではない」と、ウクライナ出身の作家で元ロシア外交官のフェドロヴスキーの見解を引用し、むしろ「今回の事件は、ロシアの政治情勢の悪化を反映し、過激化と国家主義の再燃の結果だ」と評する。
また、
『リベラシオン紙』は「サッチャー元英首相の崇拝者で、エリツィン大統領時代に副首相とエネルギー大臣を兼任し、エリツィン大統領の後任候補と見られていた」ボリス・ネムツォフ氏を次のように表現する。...
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『フィガロ紙』が「間違いなくこの殺害は政治的」と報じる通り、暗殺の可能性を感じるが「ネムツォフ氏はプーチン大統領にとって脅威ではない」と、ウクライナ出身の作家で元ロシア外交官のフェドロヴスキーの見解を引用し、むしろ「今回の事件は、ロシアの政治情勢の悪化を反映し、過激化と国家主義の再燃の結果だ」と評する。
また、
『リベラシオン紙』は「サッチャー元英首相の崇拝者で、エリツィン大統領時代に副首相とエネルギー大臣を兼任し、エリツィン大統領の後任候補と見られていた」ボリス・ネムツォフ氏を次のように表現する。「ロシア経済民営化プロセスの真只中で、過去の共産政権の中枢機関の人々と新興勢力との間で、国家の富の争奪がある中“歴史的強盗”の渦中にいた人間」、「政治権力と富の点で、誰が誰に何を提供すればよいのか熟知する一人」、「新ロシア一派の全ての秘密を知っていただけでなく、政府高官やロシア富豪に非常に近い関係にいた」。要人の弱みや証拠を握っていたとしても不思議ではない。
しかしネムツォフ氏が、創設に寄与さえした新ロシア暗黒街(政権)と断絶したのは「プーチン大統領がネムツォフ氏の信念を完全に否定し、希望を失わせた時」とリベラシオン紙は伝える。ネムツォフ氏は「企業活動への政治権力の干渉は経済発展を妨げ、国家が解決とならないとの信念を持ち、ロシアの民主主義は、ネムツォフ氏が共同主催していた新たな蓄積や、ネムツォフ氏が担っていた新たな社会構造から誕生すると確信」しており、「サッチャー自由主義者に強い信念をもっていた」と評する。
反対派に転じたネムツォフ氏はプーチン批判を繰り広げた。「汚職、不始末、無能を徹底的に叩き、国際法順守の名の下にこの1年クリミア併合とウクライナ東部のロシア軍介入を非難し、完全にプーチン大統領に反対した。ネムツォフ氏と共に反対運動を全国規模で起こし、有名な人物で国政に精通し、外国資本家と国際機関で尊敬を得ていた」。プーチン政権から危険人物と見なされるには十分だが、「ウクライナ情勢が常にロシアの多額の資産によって考えられる事に反対する唯一の人物だった」事実が、ネムツォフ氏を際立たせていたと、リベラシオン紙は指摘する。「90年代のロシアの海賊達が、銀行や産業界のビッグネームとなった今、財界は欧米諸国の仕事相手に認知され、参入し役員になり、西欧の貴族社会の一角をなす事も望んでおらず、欧米の制裁による損失の尻拭いは好ましくない」とロシア財界を分析し、「プーチン大統領とロシアの資産の間に断絶がある」と評するのは興味深い。
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フランス・カトリック社会と“自由”(2015/01/19)
1つ目は、現ローマ法王の出身母体であるイエズス会系の雑誌であるにもかかわらず、表現の自由の観点から、「シャルリ・エブド襲撃の翌日にウーベ編集長率いるエチュード誌のトップページで、カトリックとローマ法王に対して不敬とも言える、シャルリ・エブドの一面記事を掲載する。“恐怖に屈しない事”と“多次元的社会を擁護する事“を求める言葉を添え、“権威をあざ笑えるのは勇気の印”、“信仰でのユーモアは狂信に対する解毒剤”との結論を導く」。...
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1つ目は、現ローマ法王の出身母体であるイエズス会系の雑誌であるにもかかわらず、表現の自由の観点から、「シャルリ・エブド襲撃の翌日にウーベ編集長率いるエチュード誌のトップページで、カトリックとローマ法王に対して不敬とも言える、シャルリ・エブドの一面記事を掲載する。“恐怖に屈しない事”と“多次元的社会を擁護する事“を求める言葉を添え、“権威をあざ笑えるのは勇気の印”、“信仰でのユーモアは狂信に対する解毒剤”との結論を導く」。具体的には「ベネディクト16世が辞任後に陽気にスイスの傭兵にキスし、“ついに自由だ!”のセリフが添えられたり、ローマ法王フランシスコがリオの海岸でバレリーナの格好をする」風刺画も含まれる。
2つ目は、フランスは自由を掲げる国であると同時に、今でもローマカトリックが影響力をもつ点である。このため伝統的に権威に対抗するシャルリ・エブドは、ローマカトリックもたびたび標的としてきた。
「シャルリ・エブドのエチュード誌掲載が、論争を引起し、犠牲を払う事になったのは、エチュード誌には予想外だった」事はこの二つの側面を表す。「我々カトリックはシャルリ・エブドの論説を共有しないが、共感したのは表現の自由の擁護だった」とウーベ編集長は説明するが、「強力で保守的なカトリックサイト
『サロン・ベージュ』は、ローマ法王フランシスコやベネディクト16世の卑猥な描写をあえて掲載した事は、想像を絶する。神は嘔吐し我々も吐き気を覚える」と投稿し抗議文を送った。しかし「イエズス会からの圧力はなかった」とウーベ編集長は断言した。抗議デモ以来、一部イエズス会は右派の烙印を押され、法王とイエズス会自体にも敵意を向けられている。同類に扱われる事を危惧して議論をなだめるために、エチュード誌はこのページを削除した」とリベラシオンは報じる。,BR>
『AFP通信』とリベラシオン紙は、ローマ法王フランシスコの見解を引用する。「表現の自由は全ての人がもつ“基本的権利”である」と認めつつ、「“他を貶める事なく”行使されるべきである」と述べ「“神の名のもとに殺す”という表現は常軌を逸脱している」と例を挙げる。
フランスメディアの指摘どおり、言論の自由の名の下にどこまで許容されるかの議論は今後益々白熱し、不可欠でもある。日本のヘイトスピーチで「殺せ」という言葉が繰り返された時、請願署名サイトで暴力的なヘイトスピーチの規制を、自治体に求める署名活動が行われた。これを言論の自由への攻撃と呼ぶ人は少ないだろう。
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