米国国家安全保障局（以下NSA）が、シラク大統領からオランド大統領まで、フランス大統領三代の通話を盗聴していた事が明るみに出た。フランス議会が反テロのフランス版愛国者法ともいえる、インテリジェンス法を採択したタイミングでこの暴露が行われたものの、法案は可決された。この法律は通信事業者やプロバイダー業者が、通信判別のためのブラックボックス設置を許可する。

フランス政府が「受け入れられない」と強く反発姿勢を示すものの、諜報活動自体に理解を示すようなあいまいな扱いがフランスメディアの中に目立つ。右派系『フィガロ紙』は、「米仏の諜報活動における協力は、「米国のノウハウによって、欧州は実際恩恵を受けた」と、フランスの諜報機関にあたる国内情報中央局（以下DGSI）のスカルシニ元局長の言葉を引用する。フィガロ紙は「残念な波乱のせいで、有益な反テロの共同作業に傷をつける事は間違いない」と嘆き、その矛先はNSAよりむしろウィキリークスであるかのようだ。...

フランス政府が「受け入れられない」と強く反発姿勢を示すものの、諜報活動自体に理解を示すようなあいまいな扱いがフランスメディアの中に目立つ。右派系『フィガロ紙』は、「米仏の諜報活動における協力は、「米国のノウハウによって、欧州は実際恩恵を受けた」と、フランスの諜報機関にあたる国内情報中央局（以下DGSI）のスカルシニ元局長の言葉を引用する。フィガロ紙は「残念な波乱のせいで、有益な反テロの共同作業に傷をつける事は間違いない」と嘆き、その矛先はNSAよりむしろウィキリークスであるかのようだ。スカルシニ元局長は以前にも「企業を守る事は国益なので、我々フランスがスパイ活動を行うように、米国が経済界や産業界をスパイする」とフィガロ紙で述べており、今回も「同盟国が国家最高レベルの諜報活動を行う時のモラルの問題」との見解を示す。諜報機関の大家として知られるスカルシニ元局長は、「潜入活動における遵守すべき職業倫理がある」と説明し、今回はその一線を超えたという見解で、個人の自由には触れなかった。インテリジェンス関連法が、時を同じくしてフランス議会で可決した事が影響している。
経済紙『レゼコー紙』は、「個人の自由の擁護者に大損害を与えて諜報活動を合法化する」と形容するインテリジェンス法案を、「左派系与党の社会党から共和党（旧国民運動連合ＵＭＰ）までが賛成に投じた」、「約100名の議員がこの法律を“危険”と判断し、憲法評議会に提訴する」一方で、「カゼヌーブ内務大臣は、NSAの盗聴とこの法律を“作為的に同一視して混乱する事”を警戒する」、「フランス政府高官は“愛国者法”設置を拒否」、「オランド大統領は、憲法遵守のため憲法評議会にかけると発表」等、フランス国内の各反応を追う報道に留まるものの、「この法律が急速に進められたのは1月のシャルリ・エブド襲撃翌日」だった事に注目する。襲撃事件が、フランスを一気に個人の権利や自由より反テロ監視へと向かわせたと言える。
スノーデンの講演を独占掲載した『リベラシオン紙』は、個人の自由の観点から一貫して愛国者法と「大規模監視に対する国民の無反応」を危惧する。
『ルモンド紙』は「仏社会党が右化したと反発する社会党議員の離脱」を報じる。
フランス国内で意見が割れつつも、フランス社会全体が方向転換しつつある事が、フランス各メディアの報道の違いからも浮彫になる。

ドイツの格安航空会社ジャーマンウイングスの旅客機墜落事故について、フランスメディアが続報を報じる。

『フィガロ紙』は「フランスの調査分析局が、操縦室のボイスレコーダーから使用可能な音声ファイルの取り出しに成功した事」を報じる。調査分析局のジュティ局長によると、「音声がレコーダーに記録されており、操縦士のうち一人のもの」で「記録された会話や音が、いつのタイミングだったかの厳密な解析はこれから数週間必要」である。また「現時点ではどんな仮説も退けられない」と、明言をさけるジュティ局長について、「テロの可能性を遠ざけなかった」と評した。...

『フィガロ紙』は「フランスの調査分析局が、操縦室のボイスレコーダーから使用可能な音声ファイルの取り出しに成功した事」を報じる。調査分析局のジュティ局長によると、「音声がレコーダーに記録されており、操縦士のうち一人のもの」で「記録された会話や音が、いつのタイミングだったかの厳密な解析はこれから数週間必要」である。また「現時点ではどんな仮説も退けられない」と、明言をさけるジュティ局長について、「テロの可能性を遠ざけなかった」と評した。
『レゼコー紙』も「謎は深まる」と見出しをつけて、「現段階で除外できる仮説は一つもない」と報じるが、調査分析局のジュティ局長は、発表で事実上「それでも飛行中の爆発とエンジンの故障を除外している」。「飛行機は墜落まで飛行を続けていることから、爆発の可能性を除外」し、「墜落機の規則的な速度と軌道から、二つあるエンジンの少なくとも一つは故障していないと結論づけられ、両方のエンジンの故障は理論上可能だが、殆ど可能性はない」と説明する。また事故当時の気象条件は極めて穏やかだった。
『リベラシオン紙』もレゼコー紙も、捜索中のフライトレコーダーの情報と共に、墜落直前の軌道が鍵を握るとの見方を示す。
またレゼコー紙は「下降を始めて墜落した旅客機は、遭難メッセージを送らずに10分近く下降を続けていた」事に着目し、「エクス・アン・プロヴァンスの管制官達が、山岳地帯で10分近く下降を続けた事を確認してフランス空軍に通報し、戦闘機ミラージュ2000が出動した」事に触れるが、それ以上の見解は掲載しなかった。フランスメディアも現段階で推測を明確に示すのを避けている。

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