フランス調査、コロナパスの経済への影響(2021/09/08)
フランス国立統計経済研究所(INSEE)は12日、今年のフランス経済の成長率見通しを引き上げた。今夏の第4波の流行やコロナパスの導入にもかかわらず、経済活動全体の回復が見られているという。一方、いくつかの業界ではコロナパスの深刻な影響を受けており、回復の見通しが見えていない。
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『ドフィネ・リベレ』紙によると、フランス経済は今年、新型コロナウイルスの第4波やコロナパスの影響を受けながらも、ようやく景気回復が見えてきているという。フランス国立統計経済研究所(INSEE)は12日、2021年のフランス経済の成長率見通しを従来の6%から6.25%に引き上げた。
INSEEの見通しは、昨年の歴史的な8%の不況を経て、現在6%のGDP増加を見込んでいるフランス政府の予測を上回っている。...
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『ドフィネ・リベレ』紙によると、フランス経済は今年、新型コロナウイルスの第4波やコロナパスの影響を受けながらも、ようやく景気回復が見えてきているという。フランス国立統計経済研究所(INSEE)は12日、2021年のフランス経済の成長率見通しを従来の6%から6.25%に引き上げた。
INSEEの見通しは、昨年の歴史的な8%の不況を経て、現在6%のGDP増加を見込んでいるフランス政府の予測を上回っている。ル・メール経済相は、「フランス経済の強いダイナミクスを裏付けるもの」であるとし、これは、「進行中の経済回復の有効性を示すもの」であり、「経済の回復に向けてフランスの企業、従業員、消費者が取り組んでいることを示すもの」であると述べた。
INSEEの経済部門の責任者であるジュリアン・プジェ氏は、記者会見で「今年の夏、第4波を経験したにもかかわらず、回復が続いている」ことを強調した。そして、フランスの経済成長の伝統的な原動力である家計消費が、年末までに危機以前の水準に追いつくと同研究所は予想している。
一方、仏『レゼコー』紙によると、INSEEは、コロナパスがもたらす影響を調べるために、文化・観光施設、映画館、レストラン、ホテル、バー、カフェ、ナイトクラブなどの業界における銀行カードによる支払い額の推移を調査した。その結果、レストランでは、8月9日からコロナパスを導入したことにより、活動が急激に鈍化したことが分かった。導入前の8月2日から8日までの1週間で+16%、前週で+10.5%、7月19日から25日までで+18.5%と、2019年の同時期と比較して取引が2桁増加していた。
しかし、コロナパスが導入された8月9日から15日の間は3.5%、翌週には5%増加にとどまった。INSEEによると、外食部門の家計消費は、7月に6%減少した後、8月には2019年前期比で15%減少した。ただし、この減少は、「2021年4月の58%減など、過去のコロナの流行の際に記録された消費の減少に比べると抑えられている」と統計局は相対化している。
博物館、遊園地などの観光地に関しては、7月21日のコロナパス導入時に、取引が減少したが、8月に入ってからは回復したと報告している。
映画館に関しては、7月21日から提示義務の対象となっているが、INSEEは、取引の推移を解釈するのは難しいと述べている。コロナパスが導入される前から、銀行カードの請求額は減少しており、それ以降の取引額も、映画館の入場者数とは別の要因が影響しているのではないかと思われるほど、ヨーヨーのように増減の繰り返しが続いているという。
一方、仏ラジオ局『ヨーロッパ1』は、コロナパスがフランス人の日常生活に登場してから1ヶ月ほど経ったが、多くの分野で経済的影響が出ていると報じている。最も影響を受けている業界の一つはテーマパークだが、その規模などにより、影響の受け方が違うという。大規模テーマパークは、最初の数日間は入場者数が減少したものの、すぐに来場者が戻り、8月中旬には、2019年の水準に戻っていた。
一方規模の小さなテーマパークなどはコロナパスの導入に苦慮しているという。例えば、フランス東部にある「オクソワ動物園」や、南東部にある「OKコラル遊園地」は来場客が通常の3分の1にとどまっている。フランス東部のスイス国境近くにあるアンティイー大公園も、経営難で苦しんでいる。関係者はこの夏、1年半の間に蓄積された損失を取り戻すことを期待していたが、コロナパスの導入によってその期待が打ち砕かれたという。「ちょうどお散歩日和の天気が来る頃にコロナパスが導入され、本当に大きなダメージを受けた。私たちはスイスとの国境近くにいるが、スイスの観光客たちは有料のPCR検査を行ってまで、私たちのところに来るようなことはしない。コロナパスの影響は大きい。また、多くの人がワクチンを接種していないため、PCR検査をしないと来られないとなると、家族持ちにとっては難易度が高すぎる。」と嘆いている。
この業界のもう一つの不安は、9月からの、従業員50人以上を対象とした、従業員用のコロナパスの義務化だという。テーマパークの従業員は若い人が多いため、必ずしもワクチン接種を希望しているとは限らず、採用難を招く可能性があるという。
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WHO調査団責任者、3月の調査時に中国側が研究室流出説を否定するよう迫ったと告白(2021/08/13)
新型コロナウイルスの発生源を調べるために、世界保健機関(WHO)は今年初めに中国に国際調査団を派遣した。調査団の責任者を務めたピーター・ベン・エンバレク博士は、デンマークテレビで放送されたドキュメンタリー番組の中で、中国当局の圧力により、調査チームの研究結果に調整が加えられていたことを明らかにした。
米
『ナショナルレビュー』によると、デンマークで12日に放映された番組で、今年3月に新型コロナウイルスの起源を調べるために国際調査団を率いたベン・エンバレク博士は、調査団メンバーの中国人研究者たちがパンデミックの起源を武漢ウイルス研究所に結び付けることに反対したと述べた。「当初、彼らは研究所について一切記載がないことを望んでいた。研究所はありえないから時間の無駄だ」と主張していた。しかし調査団はウイルスの発生源のあらゆる説の一つとして、含めることを主張したという。...
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『ナショナルレビュー』によると、デンマークで12日に放映された番組で、今年3月に新型コロナウイルスの起源を調べるために国際調査団を率いたベン・エンバレク博士は、調査団メンバーの中国人研究者たちがパンデミックの起源を武漢ウイルス研究所に結び付けることに反対したと述べた。「当初、彼らは研究所について一切記載がないことを望んでいた。研究所はありえないから時間の無駄だ」と主張していた。しかし調査団はウイルスの発生源のあらゆる説の一つとして、含めることを主張したという。
10カ国からの専門家で構成されていた調査団は、3月29日にウイルスが動物から人間に広がった可能性が高いと発表し、研究所から流出したという可能性は「きわめて低い」として、武漢研究所での更なる調査を推奨しないと報告していた。
しかし、今回のドキュメンタリーで、ベン・エンバレク博士は、研究所流出説をレポートに含めるかどうかについての議論は、調査終了日の2日前まで続いたことを明らかにしている。最終的に中国側は、「その仮説を推し進めるための具体的な研究を推奨しないことを条件に」報告書の中で研究所流出の可能性について議論することに同意したという。報告書で研究所から漏れた可能性は「極めて低い」という表現を使ったのは、中国の研究者から要求されたものなのかという質問に対し、博士は「最後にそれを入れることにしたのは、そうです」と答えた。しかし、それは「可能性は低いが、不可能ではない」という意味だったと指摘した。
仏『ヨーロッパ1』によると、このやりとりの結果、WHOの調査団は、コウモリの研究を行っている2つの研究所を訪問する許可を得たのだという。ベン・エンバレク博士は、「我々は中国の科学者や政府関係者のプレゼンを聞いた後、話しあったり、質問したりすることができたが、生データを見る機会はなかった」と語っている。
博士はまた、武漢地域には野生のコウモリは生息していないため、新型コロナウイルスの原因となるウイルスを保有していた疑いのあるコウモリと接触したのは、可能性としては、研究所の職員だけであると指摘した。
米『ウォールストリート・ジャーナル』は、ベン・エンバレク博士は、自然の中でコウモリと触れ合った研究員がパンデミックの患者ゼロになった可能性がより高いと考えていると伝えている。
博士はドキュメンタリーの中で、「サンプル採取中に現場で職員が感染したというのは、可能性の高い仮説の1つである。そこでウイルスがコウモリから人間に入った。そうであれば、コウモリといつも接触している村人などではなく、研究所の従業員が発生源となる。」と語っている。
同研究所では、2013年以降、コウモリを使った研究成果を発表していないという。しかし、博士は、「我々が理解している限りでは、武漢研究所ではウイルスではなく、主に寄生虫を研究しており、コウモリの寄生虫を研究している」、しかし「誰かが何かを隠そうとしている可能性もある」と付け加えた。
英『テレグラフ』によると、ベン・エンバレク博士は番組の中で、武漢研究所以外に、武漢海鮮市場の隣に移転してきた武漢疾病管理予防センター(CDC)も気になっていると述べている。武漢CDCでもコロナウイルスを扱っていたが、武漢研究所と同じレベルの専門知識や安全性を持っていない可能性があるという。
調査団が武漢CDCを案内された時、博士は「設備がすべて新しいように見えた。センターは何年前のものかと尋ねると、12月2日に移転してきたと教えられた」。「移転の際、すべての手順が乱れるものだ。収集したウイルスやサンプルを移動させなければならない。だからこそ、12月という時期のセンターの移転という動きが気になる」と述べている。
中国当局は現在、今年初めの調査に全面的に協力したと主張しており、WHOに対して、新型コロナウイルスが中国以外の国で広がり始めたかどうかを調査するよう促している。
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