中国;いよいよ東シナ海でも領有権の既成事実化に拍車【米メディア】
沖縄県石垣市議会が今週初め、東シナ海の尖閣諸島を管理する行政地域に尖閣を字名にする条例を可決した。これに対して中国が、自国領土主権に対する深刻な挑発だとして反発した。そして更に、南シナ海においてと同様、東シナ海で50に及ぶ海底名称リストを新たに発表し、領有権の既成事実化に拍車をかけている。
6月25日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース(
『ラジオ・フリー・アジア(米議会出資短波放送局)』配信):「中国、東シナ海で50の海底名称発表」
中国の天然資源部(省に相当)は6月23日、東シナ海の50の海底地形に新たな名称を付けたと発表した。
これには、日中間で長い間領有権争いのある尖閣諸島海域も含まれる。
そして、中国が4月下旬、南シナ海にある55の海底地形に新たな名称を付けて自国の領海であることを既成事実化しようとしていることと同様の措置とみられる。...
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6月25日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース(
『ラジオ・フリー・アジア(米議会出資短波放送局)』配信):「中国、東シナ海で50の海底名称発表」
中国の天然資源部(省に相当)は6月23日、東シナ海の50の海底地形に新たな名称を付けたと発表した。
これには、日中間で長い間領有権争いのある尖閣諸島海域も含まれる。
そして、中国が4月下旬、南シナ海にある55の海底地形に新たな名称を付けて自国の領海であることを既成事実化しようとしていることと同様の措置とみられる。
日中間の尖閣諸島領有権問題については、直近数週間で緊張が高まっている。
防衛省の公式発表によると、中国潜水艦が6月18日、日本の鹿児島県奄美大島北部の接続水域(注後記)を無断通航し、また、石垣市議会が尖閣諸島の字名を尖閣とする条例を可決した翌日の6月23日には、中国海警局の公船4隻が尖閣諸島周辺の領海内に侵入している。
また、海上保安庁の6月22日公表データによると、4月中旬以降、中国による尖閣諸島周辺で領海侵入や接近が継続的に起こっているという。
そして、2020年を通じて、中国公船が尖閣諸島沖合に495回も接近し、うち11回は領海侵入しており、過去最多の事態となっているとする。
一方、米海軍第7艦隊は6月23日、南シナ海で海上自衛隊と共同演習を実施した。
同艦隊のフレッド・カチャー少将は、“同盟国である日本の海上自衛隊と、複雑な海上作戦を協力して実行することで、自由で開かれたインド太平洋の維持に貢献することができる”と発表している。
中国は、南シナ海のほとんどの海域を“歴史的権利”と主張してきているが、2016年の常設仲裁裁判所によって中国の主張は退けられている。
しかし、中国は同裁定を一切認めようとはせず、人工島の軍事拠点化はおろか、行政区設置までして同海域の覇権を盤石化しようとしている。
そうした中での海底地形の中国名称公表であるが、国際司法裁判所は2001年、海底地形の名称付けは、同海域の領有権を決定するものではないと裁定している。
(注)接続水域:領海(海岸から12海里(約22キロメートル))の外縁にあり、基線から24海里(約44キロメートル)の範囲で沿岸国が設定する水域のこと。1736年に英国が密輸取り締まりのために徘徊法を制定し、関税水域を設定して以降、自国領海の外側の水域において適用される国内法令を制定する国々が現れるようになり、1790年には米国が、1791年にはフランスも関税水域を定めている。そして、1958年の第一次国連海洋法会議において採択された領海条約第24条で、沿岸から12海里の範囲内で沿岸国が規制権を行使することができる水域として、接続水域の制度を認めた。更に、1982年の国連海洋法条約で領海が12海里までとされたことに伴い、接続水域は24海里まで拡大された。
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中国;マレーシアの次はベトナムの石油掘削操業妨害か【米メディア】
6月17日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース(
『ラジオ・フリー・アジア(米議会出資の短波局)』配信):「中国資源探査船、ベトナム領海内に張り付き」
中国政府所有の海洋資源探査船“海洋地質(ハイヤンジーチー)4号”が6月16日朝、南シナ海のベトナムの排他的経済水域(EEZ)内に入っていることが判明した。
船舶位置情報検索システムによれば、同船は6月14日にスプラトリー(南沙)諸島内のファイアリー・クロス礁上に築かれた中国軍事基地付近を航行して北上し、その2日後に、ベトナム沖のフー・クイ島から182海里(約337キロメートル)、同国沿岸から丁度200海里(約370キロメートル)沖に到着している。...
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6月17日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース(
『ラジオ・フリー・アジア(米議会出資の短波局)』配信):「中国資源探査船、ベトナム領海内に張り付き」
中国政府所有の海洋資源探査船“海洋地質(ハイヤンジーチー)4号”が6月16日朝、南シナ海のベトナムの排他的経済水域(EEZ)内に入っていることが判明した。
船舶位置情報検索システムによれば、同船は6月14日にスプラトリー(南沙)諸島内のファイアリー・クロス礁上に築かれた中国軍事基地付近を航行して北上し、その2日後に、ベトナム沖のフー・クイ島から182海里(約337キロメートル)、同国沿岸から丁度200海里(約370キロメートル)沖に到着している。
同海域での石油掘削権益を保有していたスペイン石油企業のレスポルが6月13日、ベトナム国営企業のペトロ・ベトナムに権益譲渡すると決定したことから、ベトナム企業による同海域での石油掘削操業が始まるものとみられている。
従って、中国探査船の今後の動静によって、中国・ベトナム間の南シナ海領有権問題に関わる新たな火種になりかねない。
何故なら、中国所有の別の“海洋地質8号”が、中国海警艦とともに今年4月半ばから5月半ばまで南シナ海南端のマレーシア沖に居座り、マレーシアから業務委託を受けた英国石油掘削船“ウェスト・カペラ”が同海域で行っていた掘削操業に圧力を加えることとなり、結果、同掘削船は操業を止めて同海域を退去するという事態が発生していたからである。
今回、“海洋地質4号”に随行船はみられないが、中国海警艦“海昌(ハイチン)5202号”が南方のファイアリー・クロス礁上の中国埠頭に停泊しているのが認められている。
なお、スプラトリー諸島海域西端の、ベトナムが実効支配してきたバンガード堆近海で2019年7月、中国探査船“海洋地質8号”が1ヵ月余り居座って、同海域での石油探査活動を妨害する行動を取っていた。
今回、“海洋地質4号”がいる海域は、上記バンガード堆に近いところであるため、今後同船がどういう行動を取ろうとしているのか注目される。
一方、ベトナム国営メディアの報道によれば、米石油大手のエクソンモービルが6月11日、グエン・スアン・フック首相にコンタクトし、同国の天然ガス・石油開発部門に関心を持っていることを伝えてきたという。
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