米国、労働者のストライキが全米に広がる
サプライチェーンの混乱が収まる見通しが立たない中、米国では1968年以来のストライキの波が多くの業界に広がり始めている。パンデミックで疲弊した数万人の労働者が、労働条件の改善を求めている。
米国では、全国的に広がるストライキを受けて、ストライキとオクトーバー(10月)をかけあわせた「Striketober」という呼び方が登場した。仏
『ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)』によると、穀物工場やトラクター工場、学校や病院などで、何千人もの労働者がストライキ中、またはストライキを予告している。10月14日からはトラクターメーカーのジョンディア社で1万人、10月5日からはシリアルメーカーのケロッグ社で1400人、10月1日からはバッファローの病院で2千人以上の従業員がストライキを行っている。...
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米国では、全国的に広がるストライキを受けて、ストライキとオクトーバー(10月)をかけあわせた「Striketober」という呼び方が登場した。仏
『ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)』によると、穀物工場やトラクター工場、学校や病院などで、何千人もの労働者がストライキ中、またはストライキを予告している。10月14日からはトラクターメーカーのジョンディア社で1万人、10月5日からはシリアルメーカーのケロッグ社で1400人、10月1日からはバッファローの病院で2千人以上の従業員がストライキを行っている。米国西部の医療グループ「カイザーパーマネント」の約3万1千人の従業員も、近々ストライキを行うと警告している。
多くの企業は、インフレ率が高い間は賃金を生活費に自動的に合わせることを取りやめ、手当などが少ない新しい種類の雇用契約を一般化することを望んでいる。これに対し、組合や労働者は、雇用主が医療危機の間に大きな利益を上げた一方で、サービスの継続性のために自分たちは一層働かなければならなかったことに憤りを感じており、さらには社会契約が変更されることに抗議するためにストライキを行っている。
従業員がストライキを躊躇しないのは、現在雇用主が採用難に直面しており、何百万人もの雇用を確保しなければならない労働力不足の市場において、従業員が強い立場にあるからだという。最近の調査では、アメリカ人は、自分の望む生活の質が得られなければ、仕事を辞めることに抵抗がなくなってきているという傾向が明らかになっている。
一方で、米『NBC』ニュースによると、多くの農家は、サプライチェーンの不足の中で質の高い農機具が手に入りにくくなっており、その品薄状態が価格を上昇させ、農家の収穫や来年の作付けシーズンに影響を与えるのではないかと心配している。こうした中、ジョンディア社の労働者1万人がストライキを行ったことで、不足が深刻化するのではないかと懸念されているという。同社は今年、記録的な利益を計上した一方で、6%以上の賃上げを拒否したため、労働組合員が14の製造工場でストライキを始めた。
仏『レクスプレス』誌によると、米政府は1千人以上の従業員を対象としたストライキのみを記録しているため、正確なストライキ運動の数を知ることは困難だという。しかし、2018年に起きたウェストバージニア州の教員運動以降、その傾向は明らかに上向きになっていると、ヴァンダービルト大学の社会学教授であるジョシュ・マレー氏は述べている。
ケロッグ社のストライキは、7月にペプシコ社の子会社であるフリトレー社のカンザス州にあるお菓子工場で行われた600人の労働者によるストライキに続くものである。従業員は、週休1日の保証や昇給などを求めて、19日間ストライキを続けた。ナビスコでもストライキが行われ、参加した約1000人の従業員は、5週間の紛争の後、9月に譲歩を勝ち取っている。
米『ヤフーニュース』によると、過去数十年間、労働者の報酬は生産性に比べて大きく遅れをとっている一方で、CEOの報酬は平均的な労働者の報酬に比べて急激に上昇している。労働運動家によると、パンデミックに伴う営業停止や、失業保険の拡大や景気刺激策などの救済プログラムにより、アメリカ人は自分の状況を把握する機会を得たという。ギャラップ社の9月の世論調査によると、労働組合への支持率は1965年以来の最高水準に達している。アメリカ人の68%が労働組合を支持すると答え、2009年の最低水準から20ポイント上昇している。
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デンマーク、9月10日にコロナ規制を完全撤廃
新型コロナウィルス感染拡大防止のための最初の規制措置がとられてから1年半。デンマーク当局は、新型コロナウィルスはもはや「社会への脅威」とは見なさないとし、9月10日付で、デンマークにおけるコロナ感染対策のための規制をすべて解除する。
仏
『ルモンド』紙によると、8月27日、コペンハーゲンの保健省は、9月10日までに残りのコロナ規制を全て解除する旨の声明を発表した。マグナス・ホイニケ保健相は、「政府は、必要以上に感染対策を長引かせないと約束してきたが、その時が来た。疫病はコントロール出来ている」と語った。8月14日には、唯一義務付けられていた公共交通機関でのマスク着用も解除された。政府はすでに、今年の4月から導入していた飲食店に入る際のコロナパスの提出義務を9月1日に解除することを発表していた。...
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仏
『ルモンド』紙によると、8月27日、コペンハーゲンの保健省は、9月10日までに残りのコロナ規制を全て解除する旨の声明を発表した。マグナス・ホイニケ保健相は、「政府は、必要以上に感染対策を長引かせないと約束してきたが、その時が来た。疫病はコントロール出来ている」と語った。8月14日には、唯一義務付けられていた公共交通機関でのマスク着用も解除された。政府はすでに、今年の4月から導入していた飲食店に入る際のコロナパスの提出義務を9月1日に解除することを発表していた。
春以降、徐々に通常の社会生活を取り戻されていたデンマークでは、夏の間に感染者数が上昇した。しかし、1日に15万~18万件もの大量のPCR検査と抗原検査が行われている中、1日の感染者数が千人を超えることがほとんどない。8月27日時点で、人口10万人あたりの感染者数は124.1人だった。
仏『ヤフーニュース』によると、疫学研究者であるミカエル・ロショワ氏は、「すべての制限を解除するために満たされるべき最初の条件は、ウイルスの循環を減少させ、重症化を制限する、全国民におけるワクチン接種率の高さです」と述べている。現在日本では一般人口の45.1%が2回のワクチン接種を済ませているが、デンマークではその割合が67%となっている。成人人口におけるワクチン接種率に至っては、デンマークでは83.5%を記録している。
ロショワ氏は、「ワクチン接種率が高くても、高齢者の接種率が最大にならなければ意味がありません。」とも述べているが、デンマークでは、80歳以上の人口の100%がワクチンを接種している。70~79歳も99.8%が接種を済ませている。
高齢者のワクチン接種率が非常に高いため、デンマークではコロナはもはや「社会への脅威」とは見なされていない。デンマークに続き、ノルウェーでも、50歳以上のすべての年齢層のワクチン接種率が92%以上であることから、コロナ対策のすべての規制の撤廃を発表する可能性がある。
デンマークは、ヨーロッパの中でも先駆けてコロナ対策に取り組んだ国であり、2020年3月には、ロックダウン的な外出制限を真っ先に導入した。日常生活における必需品ではないと判断された学校や企業が閉鎖された。
しかし、今回の全面解除が長続きするかどうかは見通しが不透明である。今年の6月、アイスランドは集団免疫を獲得したと考え、すべての制限を解除したが、数週間後には大きな感染の波に直面し、後戻りしなければならなかった。
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