インドネシアでは、婚前交渉を禁止し、懲役刑も科す刑法改正案が可決された。海外からの投資や渡航が減るとの懸念から、経済や観光の回復に水を差すものだと批判されている。
12月7日付
『ロイター通信』:「インドネシアで婚前交渉を禁止とする刑法改正」:
インドネシア議会は6日、婚前交渉を禁止し、違反すれば最大1年の禁固刑とする刑法改正案を可決した。法改正による観光客や投資への影響が懸念されている。
この刑法改正は、インドネシア国民と外国人にも適用され、婚姻前の同棲も禁止とする。また、大統領や国家機関への侮辱、反国家的イデオロギーの拡散、届け出のない抗議デモも禁止する。...
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12月7日付
『ロイター通信』:「インドネシアで婚前交渉を禁止とする刑法改正」:
インドネシア議会は6日、婚前交渉を禁止し、違反すれば最大1年の禁固刑とする刑法改正案を可決した。法改正による観光客や投資への影響が懸念されている。
この刑法改正は、インドネシア国民と外国人にも適用され、婚姻前の同棲も禁止とする。また、大統領や国家機関への侮辱、反国家的イデオロギーの拡散、届け出のない抗議デモも禁止する。全政党の支持を得て可決したが、新たな刑法は規則の制定を待つため3年間は施行されない。現行法では婚外交渉のみ禁止で婚前交渉は対象外。
インドネシア観光産業委員会は、「パンデミックから経済と観光が立ち直るタイミングに逆行した施策」だと批判している。観光協会の試算によると、バリを訪れる外国人観光客は2025年には600万人台に回復するとみられおり、政府もビザ要件を緩和し、観光地でテレワークできる「デジタルノマド」を推進している。
投資サミットの演説で、ソン・キム駐インドネシア米国大使は、海外からの投資や渡航が減るとの懸念を示し、「個々人の私的な意志決定を犯罪と見なすことが、企業がインドネシアへの投資を決定する際に大きな位置を占めるだろう」と述べた。
米国務省のプライス報道官は、法の内容を評価中で規則もまだ策定されていないが、「人権やインドネシアの基本的自由に与える影響、そして企業の投資環境や、同国での居住、訪問への影響について懸念している。同国は民主的なパートナー国であり、憎悪や偏見の改善に協力していく」としている。
インドンシアの司法省報道官は、違反を報告できるのは両親、配偶者、子などに限られ、法改正は「婚姻法やインドネシアの価値観を守る目的」だと強調。一方、インドネシアの地元メディアは、刑法改正は「権威主義的な意味合いを帯びており、非常に懸念される」と評価。国民の反応は未だ穏やかだが、首都ジャカルタで小規模なデモが行われている。
同日付『ヤフーニュース』(BBC):「インドネシアの法改正と観光への影響」:
パンデミックの影響から回復しつつあるインドネシアの観光業界だが、議会で可決した刑法改正案が、観光客を再び遠ざけることが懸念されている。
賛否のある刑法は、人権を損なうものとの批判もある。改正法では、婚外交渉以外にも、同棲や、政治宗教的自由も制限している。刑法は3年以内に施行される見込みで、インドネシア国民、同国に居住する外国人や観光客にも適用されるという。
この改正案は隣国オーストラリアでも大きく報じられている。インドネシアの経済は、パンデミック前まで観光収入源のトップだったオーストラリアからの観光客に支えられている。
バリの熱帯の島々へは、一ヶ月あたり数千人のオーストラリア人観光客が訪問する。バリ島の結婚式も人気で、学生は毎年数千人が卒業旅行に出かける。年に数回弾丸旅行に行く人もいる。しかし、噂に過ぎなかったが法改正が現実となり、現地では旅行への不安が広がっている。
現在600の項目がある刑法の改正では、婚前交渉は最大1年の禁固刑、また同棲が見つかった場合は、最大半年の禁固刑となる。インドネシア司法省の報道官は、警察への報告は殆どが自国民によるものと想定されるため、「オーストラリア人(観光客)は心配する必要はない」と述べ、観光客へのリスクは低いと強調している。観光客を呼び戻したいインドネシア政府は数週間前、最大10年滞在可能な新たなビザ新設を発表している。
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イーロン・マスク率いるスペースX社の衛星インターネット・サービスが、ロシアのウクライナ侵攻直後からウクライナに提供された。現在では、推定1万台の送受信機が稼動して戦渦の中のウクライナ人を支えているという。
米
『NBCニュース』によると、戦争で荒廃したウクライナの一部では、インターネット・サービスが提供できなくなっており、そうした地域では衛星ネット送受信機「スターリンク」を設置して人々に代理のネット接続サービスを提供している。現在では同国の多くの地域でネットにつながるための生命線になっているという。
キーウ周辺やウクライナ西部、北部を中心にサービスを提供しているインターネットプロバイダーFreenetのネットワーク運用責任者、ドミトロ・ジンチュク氏は「これは理想的なインターネットではないが、まったく接続できないとき、スターリンクは何週間も接続できないでいる人々にとってまさに救いの手だ。...
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米
『NBCニュース』によると、戦争で荒廃したウクライナの一部では、インターネット・サービスが提供できなくなっており、そうした地域では衛星ネット送受信機「スターリンク」を設置して人々に代理のネット接続サービスを提供している。現在では同国の多くの地域でネットにつながるための生命線になっているという。
キーウ周辺やウクライナ西部、北部を中心にサービスを提供しているインターネットプロバイダーFreenetのネットワーク運用責任者、ドミトロ・ジンチュク氏は「これは理想的なインターネットではないが、まったく接続できないとき、スターリンクは何週間も接続できないでいる人々にとってまさに救いの手だ。」と語っている。
キーウ在住のスターリンク愛好家、オレグ・クトコフ氏は電話インタビューで、ダウンロード速度が毎秒200メガビットになることがよくあると述べた。アメリカでは通常、このサービスのために月額110ドル(約1万4千円)を支払っている。
スターリンクは、地球低軌道衛星群との間で送受信される信号に依存しており、地球をはるかに高い高度で周回する衛星を持つ競合他社とは異なっている。NASAは、スターリンク衛星が増えると小惑星の監視に支障をきたす可能性があると警告しているが、一般的にはより速く、より信頼性の高いサービスを提供できる。ウクライナ政府は、学校、病院、村役場、消防署にもスターリンク送受信機を設置しているという。
米『ビジネスインサイダー』によると、3月から戦っているウクライナ兵士は、スターリンクの提供がウクライナ軍の大きな後押しになっていると述べたことが報じられている。兵士は、「イーロン・マスクのスターリンクは、ウクライナに有利なように戦争を変えた。ロシアは我々の通信をすべて爆破してきた。しかし、今はそれができない。スターリンクは、ロケット砲などの砲撃の下でも機能する。マリウポルでも機能している」と語った。
『ヤフーファイナンス』によると、イーロン・マスクは、ウクライナのイルピン市とボロディヤンカ市の2つの外来診療所への電力供給を目的として、テスラ社の蓄電装置「パワーウォール」もウクライナに提供している。ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル改革担当大臣は、「パワーウォールは高度の自律性を有し、供給が途絶えた際にバックアップの電力を提供してくれる。ロシアとの戦争で最も深刻な影響を受けた地域のウクライナ人を助ける革新的な機器である。」と絶賛している。
なお、宇宙に関するニュースサイト『スペースニュース』によると、日本も今年中にスターリンクのインターネット・サービスが始まる。KDDIがスペースXと業務提携を結び、全国約1200カ所に順次設置していく。日本の山間部や被災地域でも高速通信が可能になる。スターリンクは、自然災害や停電の際に地上通信回線が途絶えた場合のバックアップとしても機能するとしている。
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