日本も、ここへきてCOVID-19ワクチン接種率が欧米諸国に追い付いたこと等もあって、新規感染者が目に見えて減少してきている。一方、ロシアでは、依然国民の中にワクチン接種に抵抗感が強いのか、接種率がすこぶる低調な中、デルタ株(インドで発見された変異株)が猛威を振るい、一日の死者が連続で最多記録を更新する状況に追い込まれている。
10月5日付米
『AP通信』:「ロシアにおけるCOVID-19死者、今月に入って3度最多記録を更新」
ロシアは10月5日、COVID-19による死者が895人となり、今月に入ってから一日の最多記録を3度更新することになった。
また、新規感染者も2万5,110人と、再び一日当たりの感染者数が2万5千人超となっている。
この背景には、全国のワクチン接種率が依然すこぶる低調であることに加えて、経済活動を優先する政府が、厳しい都市封鎖等の措置を講じないことが挙げられる。...
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10月5日付米
『AP通信』:「ロシアにおけるCOVID-19死者、今月に入って3度最多記録を更新」
ロシアは10月5日、COVID-19による死者が895人となり、今月に入ってから一日の最多記録を3度更新することになった。
また、新規感染者も2万5,110人と、再び一日当たりの感染者数が2万5千人超となっている。
この背景には、全国のワクチン接種率が依然すこぶる低調であることに加えて、経済活動を優先する政府が、厳しい都市封鎖等の措置を講じないことが挙げられる。
今月の一日当たりの死者数は、10月1日が887人、10月3日が890人と、一日おきに更新される悪循環となっている。
しかし、連邦政府は、状況悪化に懸念を表明するも、大規模な都市封鎖措置等を講ずる考えはないとしている。
ロシアでは現在、いくつかの都市で大規模イベント開催に制限をかけたり、劇場・映画館・レストラン・バー等の利用者をワクチン接種者や罹患後直近で快復した人、あるいは直前72時間以内に陰性となっている人に限定する等の措置を講じている。
しかし、専門家によれば、かかる制限措置では感染率を減少させることは難しいと非難している。
何故なら、モスクワやサンクトペテルブルク等の大都市では、市民の経済活動は以前と変わらず、また、マスク着用規制も十分浸透していないからである。
そうした中、ロシアにおける医療体制の不十分さがCOVID-19感染拡大で露呈し始めている。
ロシアメディアの報道によると、サンクトペテルブルクの数ヵ所の病院の玄関前には救急車が数珠繋ぎになっているという。
また、モスクワから180キロメートル(約110マイル)東方のウラジーミルでは、患者を乗せた救急車がどの病院からも受け入れを断られ、結局市庁舎前に連れてくる他なかったという。
保健省高官によれば、偏にワクチン接種率が低調であることが問題だとしている。
先週末現在、ロシアにおけるワクチン接種率は、全人口1億4,600万人における1回接種者が33.5%で、2回接種者は僅か27.4%に留まる。
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官(53歳)は、“ワクチン接種が感染症撲滅の近道だとするキャンペーンが不十分”な結果であることを認めている。
しかし、例えばモスクワ市当局は10月4日、“文化的行事”催行のためとして、ワクチン接種会場となっていたゴスチーヌイ・ドボール(注後記)でのワクチン接種を取り止めると発表している。
その代わりとして、セルゲイ・ソビャーニン市長(63歳)は、ショッピングモールや
市の施設で迅速な検疫を無料で実施するとしている。
ただ、そのモスクワでは、一日の新規感染者数が、9月初めの約1,100人から今週の約4,000人まで4倍増となっている。
なお、ロシアにおける感染者総数は760万人超、死者総数は約21万2千人と報告されているが、連邦国家統計局の報告によると、これまで初期段階でのCOVID-19関連死の大部分が統計に含まれていなかったことから、実数は更に多い勘定となる。
同日付ロシア『モスクワ・タイムズ』紙:「10月5日現在のロシアにおけるCOVID-19感染状況」
本日現在、COVID-19の総感染者数は763万7,427人、死者総数は21万1,696人と報告されている。
ただ、感染拡大初期の段階では、COVID-19関連とされる死者数が統計に含まれていなかったことが判明しているので、それらを含めると、死者総数は59万6千人前後になるとみられる。
なお、10月5日の新規感染者が2万5,110人、死者数は895人と最多記録を更新している。
これに対して、ミハイル・ミシュスチン首相(55歳)は、ワクチン接種率が低調なことが感染抑制ができない原因だとして、関係省庁や市民に対してワクチン接種励行を求めている。
(注)ゴスチーヌイ・ドボール:ロシアの主要都市に造られた大きな伝統的な市場の建物で、さまざまな商人が店を出せるようになっている。多くは新古典主義建築の建物である。ロシア語で「商人の宿」の名のとおり、中庭をもつ形式の建物がほとんどで、かつては、中庭部分が倉庫や荷物置き場として使われていた。
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『ロシアトゥデイ』によると、38歳のソロドフ知事は、カムチャツカ地域の知事として4月から就任し、9月21日に正式に任命されたばかり。
カムチャツカ地域はイギリスほどの大きさで、人口は地中海に浮かぶマルタ共和国よりも少なく、1年の半分は雪に覆われ、南は亜寒帯、北はツンドラ気候である。しかし新知事は、厳しい自然環境にある地域の人々に笑顔を与えたいと考えている。
新知事は地域政府機関の行政改革をすすめる一環として、正式には「社会福祉と家族政策の省」という名称だが、方向性の転換を表すために「幸福省」と呼ばれることになる新しい機関を設立する。
『ザ・モスクワ・タイムズ』によると、ソロドフ知事は地域のフォーラムで、新省について「要するに、幸福感のことだ」と述べ、「不利益を被った弱者のための省という考え方からの脱却が重要だと思っている。困難な状況にある人々に働きかけながらも、ただ問題に対処するだけでなく、そのような人たちを繁栄させ、幸せにする必要がある。」と説明している。
ソロドフ氏の野心的な開発目標には、カムチャツカがシンガポールのような主要な国際交通のハブになること、観光業をより手頃な価格にすること、飲酒関連の交通事故が増加する中でアルコール消費を減らすことなども含まれている。
ロシアは、世界の幸福度ランキングで2年連続順位を下げており、専門家らは、ロシア人が生活改善が見られないことと、不公平感を感じていることが原因だと指摘している。
ソロドフ知事は、「私にとって大きな成果を達成するための主な基準は、多少哲学的ではあるが、人々の幸せだ」と語り、「少し派手で宣言的なように聞こえるかもしれないが、地域の責任者は他の動機を持つことはできないと思う」と述べている。
『ロシアトゥデイ』によると、ソロドフ氏は今年9月の選挙で80.51%の得票を得ている。ソロドフ氏はこれまで、サハ共和国政府の首長を務め、その前は極東連邦管区の社会・経済政策を担当していた。
カムチツカ地域に就任後、地方議会議事堂の改修予算の中にワインセラーの建設計画があることを知り、その建設を中止している。その代わりに、ペトロパブロフスク・カムチャツキー市の記念日を祝うための資金として使うように命じている。
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