アフリカ開発会議(TICAD)ケニアにて開催(2016/08/29)
日本政府と国連、世界銀行が共催する第6回アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development ‐TICAD)が8月27、28日の二日間ケニアの首都ナイロビで開催された。今回初めてのアフリカでの開催となったがナイロビ宣言を採択して無事閉幕した。安倍首相はリオオリンピックの閉会式でスーパーマリオのパフォーマンスを演じ世界の注目を集めて23日午後に帰国した後、25日午前にはまたケニアへ出発するという強行軍で、この会議にも出席しアフリカ諸国の政府首脳と友好を深めた。病気で途中退場した第一次安倍内閣時とは打って変わった八面六臂の活躍ぶりは目を見張るものがあるが、アベノミクスの再構築が喫緊の課題となっている内政面はともかく、外交面で日本を世界に売り込む姿勢は誰しも頭が下がる思いだと思う。海外メディアのTICADについての報道ぶりを拾って見た。
8月27日付
『ロイター通信』 は、「日本、アフリカに対し今後3年間で300億ドルを約束」という見出しで、日本の安倍晋三首相は土曜日アフリカの指導者たちにインフラ開発、教育、ヘルスケアの強化の官民による支援のために300億ドルを約束すると語ったと報じた。資源の少ない日本はこれまで長い間アフリカの膨大な天然資源利用に関心を示して来たが、2011年の福島原子力発電事故後殆どすべての原発を停止して以来、石油・天然ガスへの依存を更に深めた。...
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8月27日付
『ロイター通信』 は、「日本、アフリカに対し今後3年間で300億ドルを約束」という見出しで、日本の安倍晋三首相は土曜日アフリカの指導者たちにインフラ開発、教育、ヘルスケアの強化の官民による支援のために300億ドルを約束すると語ったと報じた。資源の少ない日本はこれまで長い間アフリカの膨大な天然資源利用に関心を示して来たが、2011年の福島原子力発電事故後殆どすべての原発を停止して以来、石油・天然ガスへの依存を更に深めた。300億ドルは向こう3年間に亘り支払われるものでこのうち100億ドルはアフリカ開発銀行と協力でインフラ開発プロジェクトに利用される。
安倍首相は30ヶ国を超えるアフリカの首脳に対し、この投資はアフリカの未来を信じてのものであり、日本とアフリカが共に成長するための投資であると語った。2015年の日本のアフリカに対する投資は12.4億ドルで2014年の15億ドルから減少した。一方中国は2015年の4月だけで赤道ギニアに対し20億ドルの投資をしている。これらの投資は道路、港湾、空港などインフラのほか、2万人の数理系の教師の研修費や2万人の伝染病専門家養成のためにも使われる。出席したチャドの大統領は、最近深刻な問題となっているテロ対策にも使ってほしいと要請したと伝えている。
8月27日付英国
『メールオンライン』 (AFP通信引用)は、「日本、中国の影の下援助ショーをアフリカで」という見出しで、日本は土曜日ケニアでの巨大な開発会議という形で援助・貿易ショーをアフリカで開催したが、資金のふんだんにある中国と影響力を争う中で量より質が勝ることを望んでいると報じた。TICADと呼ばれるこの会議は過去5回は日本で開催したが、今回は初めてアフリカ開催となった。安倍晋三首相は、リオオリンピックの閉会式でスーパーマリオとして登場して以来、装いも新たにアフリカの何十という国の指導者と会見する予定である。
日本はアフリカで確固たる存在であるが、資金量では中国の後塵を拝している。2015年中国の対アフリカ貿易額は1,790億ドルを数えるのに対し、日本は僅か240億ドルにとどまっている。日本は金額では中国と戦えないので、質の面を強調する必要があると開発の専門家は語る。今回のアフリカ開催は、アフリカ諸国の要請でもあるが、アフリカ詣での弾みを付けて日本の勢力を拡大したいという日本側の思いを反映していると報じている。
8月28日付ケニアの
『スター』 は、「TICAD:アフリカ日本貿易拡大のため73の覚書に署名」という見出しで、ケニアのケニヤッタ大統領と安倍首相の立ち合いのもと、TICADでアフリカ日本貿易拡大のため、かつてない規模の73通の覚書が署名されたと報じた。これは日本が表明した官民によるインフラ開発、教育、ヘルスケア強化のための3兆シリング(300億ドル)の約束と緊密に関連するものである。ケニアの大統領はケニア経済界に対し、製造業がGDPの50%に達するように経済の生産性を上げるため日本との提携の機会を逃さないように促したと報じている。
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ロシアとトルコの関係修復(2016/08/10)
トルコが昨年11月シリアとの国境付近でロシア軍機を撃墜して以来、トルコとロシアの関係は悪化していたが、8月9日トルコのエルドアン大統領はロシアのサンクトペテルブルクでロシアのプーチン大統領と会談しお互いに関係修復で一致した。この会談に先立ちエルドアン大統領は、今年6月プーチン大統領が関係修復の条件としていたトルコのロシア軍機撃墜についての謝罪を、プーチン大統領宛て書簡で行った。また、7月にトルコで起きたクーデター未遂事件では、プーチン大統領が電話で迅速にエルドアン大統領に支持を伝えたことがエルドアン大統領を痛く感激させることとなったが、これが両首脳の距離を急速に縮めた。
一方トルコと欧米の関係はクーデター未遂事件以来冷却化している。エルドアン大統領が非常事態宣言で強権を発動して、国内の反政府勢力抑え込みを図っていることにEU各国は不快感を表わしているし、エルドアン大統領がクーデターの黒幕と見てトルコへの送還を求めている在米のギュレン師について、米国は応じていない。シリア内戦でアサド大統領を支持するロシアと、反政府勢力を支持するトルコとの間には大きな溝があり、今後トルコが従来の欧米路線からロシア側に大きく舵を切ると見るのは早計であろうが、両国関係の動きには目が離せない。
8月9日付英国
『メールオンライン』 は、「エルドアン大統領、クーデター未遂事件後東側との関係再構築のため“親愛なる友人”プーチン大統領と親密化」という見出しで、トルコの大統領が火曜日ロシアのプーチン大統領と親密化を図り、クーデター未遂事件後支持が遠のいていると思われる西側同盟国にメッセージを送ることとなったと報じている。エルドアン大統領は、米国にはクーデターの黒幕と見られる男の送還を、EUには資金提供とトルコ国民のビザなし旅行を要求しているが、ロシアとの関係修復がこれにどの程度効果をもたらすかは不明である。...
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8月9日付英国
『メールオンライン』 は、「エルドアン大統領、クーデター未遂事件後東側との関係再構築のため“親愛なる友人”プーチン大統領と親密化」という見出しで、トルコの大統領が火曜日ロシアのプーチン大統領と親密化を図り、クーデター未遂事件後支持が遠のいていると思われる西側同盟国にメッセージを送ることとなったと報じている。エルドアン大統領は、米国にはクーデターの黒幕と見られる男の送還を、EUには資金提供とトルコ国民のビザなし旅行を要求しているが、ロシアとの関係修復がこれにどの程度効果をもたらすかは不明である。一方プーチン大統領はトルコに対しシリア内戦でロシア寄りとなることとエネルギープロジェクトの早期着手を求めているが、何れもトルコにとって簡単なものではない。トルコはロシア人観光客とトルコ農産物輸入の早期再開を望んでいるが、ロシアはシリア問題での歩み寄りを条件とする可能性があると報じている。
8月9日付フランス
『AFP通信』 は、「プーチンとエルドアン、外交関係修復を約す」という見出しで、ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が、昨年11月のトルコによるロシア軍機撃墜後最初の会談で関係修復を約束したと報じた。エルドアン大統領がプーチン大統領の出身地であるサンクトペテルブルグを訪問するのは、先月のクーデター未遂事件後初めての外国訪問であるが、未遂事件後反対勢力を追放しそれが西側諸国との関係悪化に繋がっている。シリア問題は両国間の大きな争点であるが、エルドアン大統領は首脳会談前ロシアメディアとの会見で、シリアのアサド大統領の退陣を引き続き強調したうえで、この問題がトルコ・ロシア両国の新しい協力関係の焦点となるであろうと述べたと報じている。
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