1472年創業で世界最古の銀行と言われる、イタリア第三位のモンテパスキ銀行は2008年の金融危機により生じた不良債権の処理が遅れており、今年行われた欧州中央銀行(ECB)の資産査定で資本不足を指摘されたため自力による50億ユーロの増資を検討したが、十分な資本を集めることが出来なかった。このためイタリア政府は公的資金の注入による救済に乗り出したが、12月27日のECB発表によると12月に入って預金の流出が加速しており資本不足額は80億ユーロにのぼる模様である。また金融危機後EU加盟国間で定めたルールによると、今後政府が銀行を救済する場合は、その銀行への投資家も一定の損失負担を負うことになっているが、ドイツ連銀の総裁は今回のイタリア政府の救済がこのルールに則っているか疑問を呈しており、最終的に欧州委員会の承認が取れるのか見通せない状況にある。金融危機とギリシャ危機で大きく傷ついた欧州の銀行には未だ未だ問題が残っているようである。
12月27日付
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「イタリア、モンテパスキ銀行救済のため65億ユーロ注入へ」という見出しで、火曜日消息筋が語ったところによると、イタリア政府は同国第3位のモンテパスキ銀行救済のため、当初予想を上回る約65億ユーロの公的資金を注入する見込みであると報じた。注入額が増加した理由は、ECBが同行の資本不足額を50億ユーロから88億ユーロに改定したためである。同行は先週50億ユーロの自力増資が不首尾に終わったため政府の支援を要請していた。65億ユーロの資本を注入後イタリア政府の同行への出資比率は約70%となる。残りの23億ユーロはEUの新しい銀行救済ルールに従い、機関投資家が保有する劣後債券を株式に転換して調達する。但し、約4万人の小口投資家が持つ総額20億ユーロの劣後債は株式に転換するが、これをイタリア政府が普通社債に転換し補償する予定である。この救済案はEUの承認を必要とし、承認には2、3ヶ月を要すると見られる。モンテパスキ銀行はこの夏のECBによる資産査定で最も弱体化している銀行と認められたが、予定通り公的資金が注入された場合、イタリア政府が同国の問題銀行救済のために用意した200億ユーロのうち約3分の1を使いきることになると報じている。
12月27日付
『ドイッチェヴェレ』は、「ドイツ連銀総裁、モンテパスキ銀行救済案に慎重姿勢」という見出しで、ドイツの中央銀行である連銀のワイトマン総裁はイタリアのモンテパスキ銀行の救済案は、新しいEUルールに従っていない惧れがあるため慎重な検討を要すると独紙
『ビルト』に語ったと伝えた。新しいEUルールによれば4万人の小口投資家も銀行救済に貢献する必要があるが、イタリアの経済相は小口投資家は保護されると約束している。新ルールは納税者の保護を最も優先すべきだとしており、この救済案には問題があると語ったと伝えている。
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11月8日石油輸出国機構(OPEC)は年次報告書を発表し、昨年後半以降の原油価格の低下が需要を刺激することを理由として、長期の原油需要見通しについて昨年の報告書より引き上げた。原油価格の低下で原油採掘の設備投資が落ち、将来の需要増を賄える供給が確保出来ないおそれがあると警鐘を鳴らしている。また別のOPEC関連のニュースとしてOPECのバルキンド事務局長はアブダビの会議で、9月のアルジェリアにおける臨時総会での減産合意の実施が出来ないと悪い結果になるだろうと警告した。
11月8日付
『ヤフーニューズ』(AFP通信引用)は、「OPEC報告:石油業界は供給確保のため投資が必要」という見出しで、OPECが火曜日低価格により原油需要が刺激されており石油業界は十分な供給を確保するために設備投資を増加させる必要があるとその年次報告書で警鐘を鳴らしたと報じた。現在は供給過剰で原油価格下落とともに投資は減少しているが、将来の需要増加に備えるために設備投資額は2040年までに10兆ドルを要すると見る。価格低下により2021年までに昨年の予測よりも更に需要が百万バレル増加すると予想されるが、2015年の設備投資は前年比1,300億ドル減少して4,000億ドルとなり、今年は更に800億ドル減少すると見られている。
原油価格については、2015年基準のドルベースで2021年60ドル、2040年92ドル(その時点のドルベースでは2021年65ドル、2040年155ドル)を予想する。一方生産量は昨年の日量9,510万バレルから2021年には日量9,940万バレル、2040年には日量1億960万バレルを予想する。このうち非OPECの産出量は昨年の日量5,690万バレルから2021年には日量5,860万バレルで、2027年に日量6,140万バレルでピークを打った後は米国シェール石油の産出量が減少し始めるため下降線を辿り、2040年に日量5,890万バレルとなる。OPECの産出量は2021年で日量4,070万バレル、2040年に日量5,070万バレルとなり、現状のシェアから3%上がって37%となる。
需要増加の主な要因は、低開発国の所得増加により2040年までに乗用車の台数が倍増することが大きいが、航空機や石油化学の需要増加と安い原油価格による需要刺激も含まれる。
需要は昨年の日量9,300万バレルが2021年には日量9,920万バレルに増加すると予測するが、これは昨年の報告書の予測より日量百万バレル増加した。これは従来低く目の中期経済成長予測とエネルギーの効率利用策により低めの需要増加を予測していたが、原油価格低下による需要刺激の影響がより大きいと見たためであると報告書は述べていると伝えている。
11月8日付英国
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「OPEC、アルジェー合意が実施されない場合、悪い結果を予想」という見出しで、OPECのアルキンド事務局長が火曜日9月のアルジェーでの減産合意が実施されない場合は、不安定な石油業界が更に悪い結果を迎えると語ったと報じた。同氏は過去2年の経験で合意できない場合の結果は皆十分認識しており、実施されることに自信を示した。リビア、ナイジェリア、イラン、イラクなどがそれぞれの事情から例外扱いを望んでいる。特にイランの動向が鍵となるとみられているが、事務局長は個人的にイランのトップレベルから参加の約束を得ているので心配していないと述べたと伝えている。
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