米・英・ロシア・メキシコメディア;入国禁止措置の次はメキシコ国境の壁建設に逆風(2017/02/11)
既報どおり、トランプ大統領が発令した、イスラム圏7ヵ国対象の入国禁止措置令は、連邦控訴裁でも一時差し止め命令が支持され、引き続き同措置の執行が停止されている。これと同じく、不法移民の流入を防ぐためとして、同大統領が宣言し、実施しようとしているメキシコ国境に壁を建設する話は、メキシコ政府が正式に費用負担を拒否しているだけでなく、与党共和党議員からも、大枚のお金を投入する価値があるのかとの疑問が提示されている。
2月10日付米
『USAトゥデイ』紙:「米国家安全保障省、国境に建造する壁の費用が216億ドルと試算」
「●米国家安全保障省の内部資料によると、トランプ大統領が宣言し、実施を命じたメキシコ国境の壁の建設について、その費用は216億ドル(約2兆4,400億円)、また期間も3年半かかると試算。
●これは、同大統領が選挙戦中に掲げていた100~120億ドル(約1兆1,300億円~1兆3,600億円)、また、上院共和党リーダーのミッチ・マッコーネル議員が試算した120~150億ドル(約1兆3,600億円~1兆7,000億円)を遥かに上回る費用。...
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2月10日付米
『USAトゥデイ』紙:「米国家安全保障省、国境に建造する壁の費用が216億ドルと試算」
「●米国家安全保障省の内部資料によると、トランプ大統領が宣言し、実施を命じたメキシコ国境の壁の建設について、その費用は216億ドル(約2兆4,400億円)、また期間も3年半かかると試算。
●これは、同大統領が選挙戦中に掲げていた100~120億ドル(約1兆1,300億円~1兆3,600億円)、また、上院共和党リーダーのミッチ・マッコーネル議員が試算した120~150億ドル(約1兆3,600億円~1兆7,000億円)を遥かに上回る費用。
●費用大幅増加の理由は、主にテキサス州の私有地の買収費用が嵩むため。」
同日付英
『メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「トランプ氏主張の“壁”建設コスト膨張のため、民主党のみならず南部州の共和党議員も不満が爆発」
「●トランプ大統領指示のメキシコ国境に壁を造る政策について、テキサス州選出のウィル・ハード上院議員は2月10日、建設コストが216億ドルにも上るとのニュースを受けて、壁建設は国境防御上最もコストがかかるが最も効果が薄い政策だと批判。
●上院歳出委員会のパトリック・リーヒィ民主党議員(バーモント州選出)は、かかる巨費はもっと有効に、例えばガン治療、学校建設、飢えに苦しむ人への食糧支援や橋・道路の修復等に充てるべきだと非難。」
2月11日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「トランプ
氏宣言の壁建設費用が216億ドルと試算」
「●今回の試算は、ジョージ・ブッシュ大統領(当時)時代に建造された654マイル(約1,046キロメーター)に加えて、1,250マイル(2,000キロメーター)にわたる壁を新たに造るという計画の費用見積り。
●トランプ大統領の度重なる宣言に対して、メキシコのエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領は、壁建設費用負担は絶対に受諾しないと繰り返し主張。
●米国家安全保障省は、今年4月か5月に議会承認を得て、9月には建設開始したい意向で、この計画でいけば建設終了は次回2020年の大統領選の時期。」
2月10日付メキシコ
『メキシコ・スター』紙:「メキシコのスターのペレス氏もトランプの
壁建設反対運動に参加」
「●フォーミュラ1(F1)世界選手権自動車レース(全20戦が世界で開催)のひとつであるメキシコ・グランプリ大会(今年は10月29日開催)運営委員会は、目下トランプ大統領が宣言するメキシコ国境に壁を造るとの計画に反対する、“壁でなく橋を造れ”キャンペーンを展開中。
●そして、メキシコ人のF1スター・ドライバーのセルジオ・ペレス氏も2月9日、同キャンペーンに参加すると表明。
●また、もうひとりのメキシコ人スターである、サッカー・メキシコ代表チームの主将だったラファエル・マルケス氏(元スペイン・バルセロナ所属)も先月、壁を造ろうとも我々は自分の信じる道を進む、とツイッターで反論。」
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ブラジル・メキシコ・ハイチメディア;中南米から見た米大統領予備選(2)(2016/05/10)
3月18日付
Globali「中南米から見た米大統領予備選」に続いて、今現在の中南米メディアの報道をみてみたい。
5月7日付ブラジル
『ブラジル・サン』紙の報道記事「トランプ候補は11月本選で勝てる?」:
「・評論家も世論調査の結果も、また米大統領さえ、トランプ候補が共和党代表候補となることはないと予言。
・
『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストは、もしそうなったら(トランプ候補が代表とはならないだろうとした)自身のコラムを喰ってやるとも発言。
・しかし、大方の予想を覆し、トランプ候補が共和党代表候補となる可能性大。...
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5月7日付ブラジル
『ブラジル・サン』紙の報道記事「トランプ候補は11月本選で勝てる?」:
「・評論家も世論調査の結果も、また米大統領さえ、トランプ候補が共和党代表候補となることはないと予言。
・
『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストは、もしそうなったら(トランプ候補が代表とはならないだろうとした)自身のコラムを喰ってやるとも発言。
・しかし、大方の予想を覆し、トランプ候補が共和党代表候補となる可能性大。
・これで、民主党/クリントン候補と共和党/トランプ候補の一騎打ちとなると予想。
・ただ、一般大衆や評論家は、(メジャー・リーグの)野球チームのどちらかが勝つかと言った興味本位の目で見て、トランプ候補のマジックは、ここまで順調にきている大富豪のクリントン候補には通用しないとの見方。」
5月8日付メキシコ
『メキシコ・スター』紙の報道記事「クリントン候補、自身を支持する共和党員集め」:
「・民主党の大統領選候補筆頭のクリントン氏は、反トランプ派である共和党員の取り込みを図り、11月の本選勝利を目指す。
・クリント氏はまた、2009~2013年の国務長官時代に関わりを持った著名な共和党員や、大勢の寄付支援者にも支援要請。
・例えば、2008年時の共和党代表候補だったジョン・マケイン氏の筆頭顧問を務めたマーク・ソールター氏、米中央情報局(CIA)前長官のデイビッド・ペトレイアス氏、また、国防総省元長官のロバート・ゲイツ氏がクリントン氏支援を表明。
・更に、元は共和党寄りだった女性就業者グループも、トランプ候補の女性蔑視発言等に辟易してクリントン候補支援。
・イプソス市場調査会社(注後記)の直近の調査結果は以下のとおり;
-トランプ候補支持者のうち47%は、クリントン候補を当選させないためだけの理由で支持。43%は、トランプ候補自身を支持。僅か6%が、(誰であれ)共和党代表候補だから支持。
-クリントン候補支持者のうち46%は、トランプ候補を当選させないためだけの理由で支持。40%は、クリントン候補の政策に賛同するために支持。11%が、クリントン候補自身が好きだから支持。」
5月9日付ハイチ
『ハイチ・サン』紙の報道記事「トランプ候補、クリントン候補は(夫の)ビル・クリントン元大統領の不倫を助長させた張本人と中傷」:
「・数々の暴言で有名なトランプ候補は5月7日夜、ワシントン州スポケーンでの集会で、クリントン候補は、(夫の)ビル・クリントン元大統領が不倫した際、多くの女性を侮辱しており、その不倫を助長した張本人だと誹謗中傷。
・トランプ候補としては、以前の女性蔑視の暴言で女性から不支持を唱えられていることから、名誉挽回とばかりに、(女性大統領誕生を訴え)女性であることを武器にするクリントン候補は女性の敵だと“口撃”。
・一方、トランプ候補自身、再婚相手は最初の夫人との婚姻時代の不倫相手で、その再婚相手とも離婚しており、クリントン候補やビル・クリントン元大統領を責める資格があるか疑問。
・なお、クリントン候補は5月8日、トランプ候補が共和党代表候補となることがほぼ確定したことから、同候補の演説などを批評、特に同候補が当初、中絶した女性は罪に問われるべき、と暴言を吐いたことを非難。
・ただ、クリントン候補は、政策論議で大統領選を戦いたいとも言明。」
(注)イプソス市場調査会社:1975年設立の世界的な市場調査会社。本部はパリで87ヵ国に展開。
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