仏大統領のスウェット姿、大統領選挙に向けてゼレンスキー風のイメージ戦略か
常に完璧なスーツスタイル姿で知られるフランスのエマニュエル・マクロン大統領。突如、大統領の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエール氏が、自身のインスタグラムでこれまでに見たことのなかったカジュアルなスウェット姿の大統領の写真を公開したことで、国内外で多くの反響を呼んでいる。
フランスの地方日刊紙
『ミディ・リーブル』電子版によると、インスタグラムで公開された写真は、寝不足で目の下にクマがあり、乱れた髪で、ジーンズに黒いスウェットを着た大統領であった。同紙は、マクロン大統領は、3月14日のインスタグラムで、勤勉な大統領であり国際外交官であることをアピールしていると伝えている。
写真を公開した大統領府の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエールのアカウントには、様々な見解が寄せられている。...
全部読む
フランスの地方日刊紙
『ミディ・リーブル』電子版によると、インスタグラムで公開された写真は、寝不足で目の下にクマがあり、乱れた髪で、ジーンズに黒いスウェットを着た大統領であった。同紙は、マクロン大統領は、3月14日のインスタグラムで、勤勉な大統領であり国際外交官であることをアピールしていると伝えている。
写真を公開した大統領府の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエールのアカウントには、様々な見解が寄せられている。4月の大統領選に向けて、ロシアの攻撃開始以来、SNSでTシャツと私服姿を披露しているウクライナのゼレンスキー大統領ばりのPRスタントだと見る向きもある一方で、選挙戦中の大統領が国家儀礼から離れ、「人々の日曜日の服装と同じようなカジュアルな姿」を披露したと見る向きもある。ドイツのあるネットユーザーは、「もしエマニュエル・マクロンがまだ今年の選挙で大本命でなかったら、この写真で本命になっていただろう」とコメントしている。
仏日刊紙『ルモンド』は、ツイッター上でもコメントが飛び交っていると伝えている。「これで明らかになった。彼は自分がゼレンスキーだと思っている、想像以上にひどい。」、 「スウェットが格好いいから、彼に投票することにしたよ」、「10代のパーカーを着て写真を撮るのは、80代以上とは違う層にアプローチしようとするためだ」、「英語の口頭試問で高校生風のスウェットを着た大統領。これはフェイクか?」、「マクロン大統領はパーカーとスキニージーンズでゼレンスキーのようなカジュアルっぽさを演じている。すごい演出だ!」と 様々な反応が集まっている。
海外メディアも写真に注目している。米ニュースサイト『TMZ』は、「ゼレンスキー大統領はその勇敢さで人々の心を掴んでいるが、ファッションでも勝利を収めているかもしれない、というのも、別の国の指導者が彼から服装のヒントを得ているようなのだ。」と報じている。普段のマクロン大統領はスーツに革靴、髭も剃っている。一方、常にカジュアルな姿のゼレンスキー大統領は国民の味方というイメージが強い。同ニュースサイトは、「問題は、バイデン大統領もそのうちテニスシューズとおじさん帽子でホワイトハウスにやってくるかどうかだ。」とコメントしている。
英『エクスプレス』は、マクロン大統領が4月の再選挙を控え、現在約53%の有権者が不支持を表明しているため、ゼレンスキー風のイメージに刷新しようとしているようだと主張している。デイリーテレグラフの記者エド・カミングは、「フランスのマクロン大統領は、ウクライナの非の打ちどころのないメディアキャンペーンを、判断を鈍らせるほどの羨望のまなざしで見つめていることは明らかだ。エリゼから発信される一連の奇妙な写真撮影を他にどう説明すればいいのだろうか?」と指摘している。
また、「先週、プーチンとの電話会談が失敗に終わった後、白いシャツ姿のマクロンの、執務室の椅子の背もたれをひたすら握りしめている姿、鼻梁をつまんで苦悶している姿、顔の前で手を組んで苦悩している姿と3枚の写真を目にした。マクロン氏にとっての問題は、他の指導者と同様に、政治的な写真撮影は現実世界の出来事の重圧に見合うものでなければならないということだ。多少の身だしなみや演出は許せるが、重々しさを出すのは無理がある。ゼレンスキーがその仕事にぴったりな人のように見えるとしたら、マクロンはスティーブ・ジョブズのために働く男のように見える。戦時中のリーダーよりも、ウォーハンマー(ミニチュアゲーム)のリーダーのように見える。」と指摘している。
閉じる
ヨーロッパやカナダで、コロナ規制の継続に反対する市民のデモ活動続く
先週末、長引くコロナ規制やワクチン接種義務化に反対する抗議運動がヨーロッパ、カナダ、オーストラリアなどで行われた。
仏放送局
『ユーロニュース』によると、スペインでは6日、首都マドリッドで、新型コロナウイルス対策として取られている制限措置に反対する数百人規模のデモが行われた。ワクチン接種に反対する人や個人の自由を取り戻したいと主張する人たちなどが抗議運動に参加していた。スペインでは、日常的な感染者数の減少が報告されていることから、17日に屋外でのマスク着用義務が解除される予定となっている。
オランダではロッテルダムで6日、コロナ規制に反対する平和的な行進が行われた。...
全部読む
仏放送局
『ユーロニュース』によると、スペインでは6日、首都マドリッドで、新型コロナウイルス対策として取られている制限措置に反対する数百人規模のデモが行われた。ワクチン接種に反対する人や個人の自由を取り戻したいと主張する人たちなどが抗議運動に参加していた。スペインでは、日常的な感染者数の減少が報告されていることから、17日に屋外でのマスク着用義務が解除される予定となっている。
オランダではロッテルダムで6日、コロナ規制に反対する平和的な行進が行われた。既存のコロナ対策に反対する数十の団体が主導する「共にオランダのために」のスローガンのもと、数千人が集まったデモが行われ、始終平和的に行われたという。
フィンランドのニュースサイト『yle』によると、フィンランドでは、2月4日から6日にかけて抗議デモが行われた。雪が降り零度近い気温の中、デモ参加者は、ガソリンの値下げ、コロナ規制とワクチンの義務化の中止、そして政府の退陣を要求した。しかし、4日の夜には約55人が拘束され、5日の夜にはさらに15人が逮捕された。
大西洋の反対側のカナダでは、トラック運転手が始めた運動が続いている。1週間前から首都オタワの市街地を占拠し、特に米国とカナダの国境を越える際のワクチン接種の義務化の解除を要求している。仏地方紙『ラ・プロバンス』によると、オタワ市長は、「手に負えない状況だ。デモ隊が指揮っているからだ」と述べ、デモ隊が「警察の数をはるかに超えている」と指摘した。市長は「我々は戦いに負けている。(中略)我々の街を取り戻さなければならない」と述べ、通りを塞ぎ、トラックのクラクションを鳴らすデモ参加者の行動を「容認できない」と語った。
「フリーダム・コンボイ」と名付けられたこのトラック運転手が始めた運動は、もともと1月中旬からカナダとアメリカの国境を越えるトラック運転手にワクチン接種を義務付けるという決定に抗議するためのものだったが、現在はコロナ対策全体への反対運動、さらには一部の人にとってはトルドー政権への反対運動に発展している。抗議者たちは、コロナ関連の規制が解除されるまで占拠を続けると言っている。抗議活動は、トロント、ケベック・シティ、ウィニペグなどカナダのいくつかの主要都市にも広がり、5日は小規模ながら同様の運動が行われ、6日もケベック・シティなどで抗議活動が続けられた。
カナダの市民による抗議活動は、フランスやオーストラリアにも広がろうとしている。仏地方紙『ミディ・リーブル』は、フランスでは、ソーシャルネットワーク上で、2月11日にパリに到着することを目標にフランス全土からパリに集結して抗議活動を行う呼びかけが行われている、と伝えている。フェイスブックページも作成され、4日時点ですでに20万人近い会員が登録しているという。ブレスト、リール、トゥールーズ、アヴィニョンなど、様々な地域からトラックや車を走らせる計画がすすめられている。また、フランス版「フリーダム・コンボイ」は11日に首都に集結した後、ブリュッセルに向かい、14日に大規模なヨーロッパ集会を開催することを希望している。
英『スカイニュース』によると、オーストラリアでも、何千人もの国民が首都キャンベラに集まり、「自由」と「コロナワクチン義務化の廃止」を要求した。全国から首都に集まった参加者たちは、5日にキャンベラでデモ行進を行ったという。
米『USAトゥデイ』は、世界各地で市民による抗議活動が行われていることは、当初は厳しい規制を容認していた人々も、政府への無制限の服従が魔法のように完全な安全を生み出すのではないことに気が付き始めたからだと伝えている。もはやどの国の政府も「科学とデータ」という言葉を唱えるだけで命令を神聖化することはできなくなっていると指摘している。そして、パンデミックがもう1年続こうとしている中、世界中の市民は、一時的な法令が彼らの自由を永久的に損なう可能性があると認識し始めているという。
サミュエル・アリート連邦最高裁判事は、「パンデミックにより、これまで想像もできなかった個人の自由に対する制限が生じた」と警告している。ワシントンD.Cを拠点とするシンクタンク「フリーダムハウス」は、パンデミックが始まって以来、「80カ国で民主主義と人権の状態が悪化した」と警告し、「新型コロナウイルスに対する各国政府の対応は、今後何年にもわたって民主主義に影響を与えうる政府の権力拡大の土台を作った」と指摘している。
閉じる
その他の最新記事