プーチン大統領と習近平国家主席が会談
ウズベキスタンでの上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせ、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が、ウクライナ侵攻後初めて対面で会談した。
9月15日付米
『U.S.ニューズ&ワールド・レポート』:「プーチン氏:中国の疑問と懸念を認識」:
注目の中ロ会談が15日行われた。経済面での外交的成果は強調されたものの、両者からウクライナ侵攻への言及はされなかった。
アナリストや関係者からは、独裁者プーチンが正当化するロシアの軍事作戦への中国の「疑問と懸念」を認めたことが注目されている。プーチン氏は用意したコメントで、習氏の「ウクライナ危機へのバランスの取れた姿勢に非常に感謝している」と評価した。...
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9月15日付米
『U.S.ニューズ&ワールド・レポート』:「プーチン氏:中国の疑問と懸念を認識」:
注目の中ロ会談が15日行われた。経済面での外交的成果は強調されたものの、両者からウクライナ侵攻への言及はされなかった。
アナリストや関係者からは、独裁者プーチンが正当化するロシアの軍事作戦への中国の「疑問と懸念」を認めたことが注目されている。プーチン氏は用意したコメントで、習氏の「ウクライナ危機へのバランスの取れた姿勢に非常に感謝している」と評価した。
このコメントは、「際限のない」パートナーシップを約束し、ロシアにとってのウクライナ、中国にとっての台湾において相互支援を誓った、2月の冬季五輪初日の侵攻前の会談時とは対象的なもの。実際、今回習氏は、ウクライナへの言及は一切しなかった。マイケル・マクフォール元駐ロシア大使はツイッターで、「これは驚きだ。習氏はプーチン氏を支持していない。全く団結していない」とコメントしている。
プーチン氏の補佐官からは、それほど中身のあるコメントは出ておらず、ロシアのラブロフ外相は、「中ロ首脳会談は通常どおり、素晴らしい内容だった。国際情勢に関するわれわれの評価は完全に一致している」としている。
先週、東部でのウクライナ軍の劇的反撃が伝えられ、ロシア軍が戦闘機を捨て敗走し、地元民に混じっているとの報道もある。以前からも、ロシア軍内部の腐敗や士気低下が露呈していた。ロシア国内でのプーチン氏の権力は健全だが、地方議会からの辞任要請など、政府内部からも反対勢力が増しているのも確かだ。
このタイミングでの首脳会談で、農業、経済、貿易側面に留め、中国がロシアへの軍事支援をする意志がないことを伝えるのは都合が良かった。中国の公式会議録では、ウクライナに言及せず、「地域の安全保障体制確立」や「台湾が中国の一部だという一つの中国主義への理解に感謝する」などの表現に留めている。
中国の英字新聞「グローバルタイムズ」では、ウクライナ侵攻を中ロ関係から切り離し、「現在の中ロ関係は歴史的発展と国益を考慮して築かれたものであり、軍事支援の必要性を排除すべき」とする専門家の意見を引用している。
米国は、中国が自国の利益となるよう、ロシアの情勢を利用した外交政策を行うとみている。過去20年間中国は、旧ソ連国との関係強化を進めてきたが、それらの国は、ウクライナ侵攻に大きな懸念を抱いている。
同日付米『ポリティコ』:「プーチン氏、ウクライナ戦争への中国の疑問と懸念認める」:
15日、中国がウクライナ侵攻に疑問と懸念を示していることを、ロシアのプーチン大統領が公に認めた。
ウズベキスタン・サマルカンドでの会談で、不機嫌なプーチン氏が、「中国の友人のウクライナ危機へのバランスの取れた姿勢」を評価すると述べた。このように中国との緊張関係を認めることは、侵攻直前、中国の冬季五輪を訪れ協調関係を宣言していた頃とは全く違っている。
ロシアのウクライナ侵攻開始後初となる首脳会談は、ウズベキスタンの上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせて行われた。中国は、ウクライナ侵攻後への言及も行わなかったという。
中国国営CCTVによると、プーチン氏は、「世界では現在多くの変化が起きているが、唯一変わらないのは、ロシアと中国の信頼関係である」と述べたという。だが、中国語版では、「ウクライナ」への言及は全くなく、「限りない関係」への言及もなかったとされている。
ロシアとの関係で、習氏は良好な関係継続を迫られている。中国は、米国やNATO諸国に共に対抗する同盟国としてロシアの価値を認めているが、一方で、ロシアの戦争を支援することで、西側の反発を招き、制裁などにより経済関係を悪化させることは避けたいと考えている。
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カナダとデンマークが領有権問題を平和的に解決
カナダとグリーンランド(デンマーク自治領)の間にあり、カナダとデンマークが長年領有権をめぐり紛争中だった小さな無人島に、国境がひかれる合意に至ったという。この島の領有権は、領海の資源などの国益にかかわるため、両国の軍隊が上陸し、国旗を立てたり、自国のリカーを置いていたことから「ウィスキー戦争」と呼ばれていたという。
6月14日付米
『ポリティコ』:「カナダとデンマークがボトルを交換し”ウィスキー戦争”終結」:
カナダとデンマークが14日、ロシアによるウクライナ侵攻に直面したことで、半世紀にわたる国境紛争に終止符を打った。
両国は、ヌナブト準州とグリーンランドの間に位置する1.2平方キロメートルの無人の岩礁「ハンス島」の領有権分割で合意。島の南北に伸びる自然の峡谷に沿って、島をおおよそ2等分するよう新たに国境が引かれる。...
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6月14日付米
『ポリティコ』:「カナダとデンマークがボトルを交換し”ウィスキー戦争”終結」:
カナダとデンマークが14日、ロシアによるウクライナ侵攻に直面したことで、半世紀にわたる国境紛争に終止符を打った。
両国は、ヌナブト準州とグリーンランドの間に位置する1.2平方キロメートルの無人の岩礁「ハンス島」の領有権分割で合意。島の南北に伸びる自然の峡谷に沿って、島をおおよそ2等分するよう新たに国境が引かれる。
ハンス島(イヌイット語でタルトゥパルク)は、1973年からカナダとデンマークにより国境が引かれたが、合意に至らなかった。その後、両国の軍艦が島を訪問し、領有権を示そうと、国旗やカナダ産ウィスキーのボトルまたはデンマーク産「シュナップス」を置いてきたことから、この領土紛争は「ウィスキー戦争」と呼ばれる様になった。
オタワで開かれた調印式後、カナダのメラニー・ジョリー外相は、「領土紛争が平和的に解決できるという前例を我々が世界に示した」、「対立を解決することは可能、常に両国が納得する方法で行うのがベスト」だとした。
デンマークのジェッペ・コフォド外相は、和平に向けた式典でリカーボトルを交換し粋な演出をみせた一方、ロシアによる戦争を念頭に、この合意は「紛争は、武力によらず法の力によって、国際法に基づき解決されなればならないという、プーチンを含む世界へのメッセージなのである」と強調した。
グリーンランドのムテ・エゲーテ首相は、この合意は二カ国をつなぐ足ががりとなる一方、ヌナブト準州やグリーンランドでのイヌイット族の自由は保たれるべきだとした。今回の合意では、イヌイットの族の島内での移動や狩猟、漁業などの権利は保たれるという。
政治学の専門家は、「西欧諸国で、ウクライナや台湾、南シナ海の領土紛争の解決の必要性が強調される中、この合意は領土権の平和的解決の代表例となる」とし、北極圏地域の緊張緩和を維持する必要性を強調している。
同日付カナダ『CTVニュース』:「大西洋の小島をめぐるデンマークとの”ウィスキー戦争”に和平合意」:
ハンス島は両国の領海問題にかかわるため、50年間にわたり外交紛争の火種となっていた。
カナダのジョリー外相は、この日を「歴史的な日」とし、26人の外相がこの紛争に関わってきたが、平和的解決により、国が領土問題を平和的方法で解決できることを示したと強調した。また、プーチンのウクライナ侵攻を念頭に、「デンマークの合意は、圧政君主が軍事的方法で国境をひこうとする歴史的に非常に重要なタイミングで行われた」と指摘した。
一方、この領土権合意を受け、ヌナブト準州とグリーンランドに住むイヌイット族との協議も行われているという。この地は数世紀に渡りイヌイットの狩猟地となっており、国境合意後も、彼らの狩猟権、島移動の自由は引き続き保障されることとなる。
カナダは史上初めてデンマークと国境を接することとなる。これを機に、カナダがユーロビジョン・ソング・コンテスト(ヨーロッパの歌の祭典)に出場するか聞かれ、ジョリー外相は、EUとの国境を接しているため申請するかもしれないとジョークで答えたという。
同島の領有権をめぐっては、1980年代から、和やかな紛争が続いていた。1984年カナダが島に国旗とウィスキーを置いた。同年、デンマークのグリーンランド担当相がヘリで島を訪問、基地にデンマークの国旗と国産スピリッツを置き「デンマークの島へようこそ」と書いたメモを残したと報じられた。
1988年、デンマークの北極海巡視艇が、島に国旗と石塚を立てた。2001年、カナダのエルズミア島の地図制作者がヘリで訪問。2005年、デンマークでのカナダ大使館前デモを受け、カナダ軍が島に国旗と盾を置き、防衛相が島を散策。デンマークのラスムッセン前首相が「国旗戦争をやめるときだ」と述べ、両国は島をめぐる交渉再開。今回の合意により、大陸棚の海洋境界紛争も解決している。
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