監視機関報告書、中国のコンゴに対するインフラ取引は「非良心的」
2008年、コンゴ民主共和国は中国との間で、中国の国営企業が、銅やコバルトの鉱山からの収益を得る代わりに、病院や道路を建設するという取引をした。しかし、13年経った今でも、約束されていた建設はほとんど実現していないと批判されている。ロイターが入手した石油・ガス・鉱物産業の国際的な監視機関である採取産業透明性イニシアティブ(EITI)の報告書の草稿は、中国が2008年に行ったコンゴ民主共和国(DRC)とのインフラ取引を「非良心的」であるとし、コンゴの現政権に被害を軽減するための措置を講じるよう勧告している。
米
『ブライトバート・ニュース』 によると、報告書は、コンゴ民主共和国のカビラ前大統領が2008年に、コンゴの鉱物資源から得られる利益を、中国が建設した道路や病院などのインフラプロジェクトと交換するという取引について報告をまとめたものである。コンゴ民主共和国のコバルトと銅の鉱山は、中国とコンゴの巨大な合弁会社であるSicominesによって運営されており、インフラは中国の国有企業であるSinoHydro Corp.と中国中鉄股份有限公司によって建設されることになっていた。...
全部読む
米
『ブライトバート・ニュース』 によると、報告書は、コンゴ民主共和国のカビラ前大統領が2008年に、コンゴの鉱物資源から得られる利益を、中国が建設した道路や病院などのインフラプロジェクトと交換するという取引について報告をまとめたものである。コンゴ民主共和国のコバルトと銅の鉱山は、中国とコンゴの巨大な合弁会社であるSicominesによって運営されており、インフラは中国の国有企業であるSinoHydro Corp.と中国中鉄股份有限公司によって建設されることになっていた。
草稿によると、約束されたインフラプロジェクトはほとんど建設されておらず、Sicominesは大量の資金を中国のために吸い上げているという。特に、2017年に取引に秘密の修正が加えられ、約束されたインフラプロジェクトに投入されるSicominesの利益が大幅に削減された後にこうした傾向が顕著になっているという。
2008年の契約では、当初、Sicominesの利益はすべて、コンゴのインフラプロジェクトへの投資の返済に充てられることになっていた。それを前提に、国会はSicominesのすべての税金を免除することに合意した、と草稿は述べている。しかし2017年の修正案では、Sicominesの利益のうち65%だけが投資の償還に充てられ、35%は株主に支払われることになった。この変更は、インフラプロジェクトのペースをさらに遅らせる可能性があるという。現在までに投資された金額は、予定されていた30億ドル(約3384億円)のうち10億ドル(約1128億円)に満たず、予定よりも約10億ドル少ないという。EITIは、「この修正案は、共和国の利益の安全性に対する違反である」と述べている。
草稿はまた、中国がSicomines社の68%という途方もない株式を取得し、コンゴ人がすべての鉱山資産と創業資金の32%を提供したにもかかわらず、32%しか保有していないことを非難しており、コンゴ民主共和国の現政権に対し、2017年の修正案を取りやめて元の契約を再交渉すること、また、Sicomines社の財務状況を精査し、コンゴ民主共和国が中国企業と結んでいる他の契約の一部を取りやめることを勧告している。
『サウスチャイナモーニング・ポスト』 によると、コンゴ側が取引であまり利益を得ていないという主張に対し、中国当局は、鉱山開発のための電力不足などの障害があるにもかかわらず、中央アフリカの国でいくつかのプロジェクトを建設してきたと反論している。
多国籍企業研究センター(Centre for Research on Multinational Corporations)が6月に行った調査によると、このような取引は「道路、発電所、学校などのインフラを必要としながら、大きな天然資源を有する一部のホスト国の未発達な経済を反映している」という。この調査はまた、中国には天然資源はないものの、建設の経験は豊富であると述べている。そして、1980年代に日本が未開発の中国から原材料や石油を必要としていたとき、中国は同様の取引を行っていたとも述べ、「中国はこのモデルをアフリカでも再現し、インフラ分野の専門知識をさまざまな天然資源と交換している」とまとめている。
しかし『ブルームバーグ・ニュース』 によると、コンゴ民主共和国は中国との鉱物とインフラの取引を見直し、その 「法的、技術的、財政的な主要問題 」を調査する委員会を設置したという。コンゴ民主共和国の政府関係者は、中国から受けた融資の高金利が問題の一つであると述べている。
閉じる
豪調査、中国のPCR検査機器の購入量が最初のコロナ感染者が出る数カ月前から急増していた
オーストラリアのサイバーセキュリティ企業である「インターネット2.0」は、武漢にある中国の研究所が、2019年12月に最初のコロナ感染者が報告される数カ月前に、コロナウイルス検査機器を大量に購入していたという調査結果を発表した。
英
『インデペンデント』 によると、オーストラリアのデジタルフォレンジックと情報分析を専門とするサイバーセキュリティ企業「インターネット2.0」の調査チームが、中国政府が2019年にPCR検査を前年の約2倍購入していたとする報告をまとめた。中国は、2018年に3670万元(約6億円)ぶんのPCR検査機器を調達したのに対し、2019年には6770万元(約12億円)ぶん調達した。また、PCR調達の総契約数は、2018年の89件から2019年には135件に増加していたことも明らかになった。...
全部読む
英
『インデペンデント』 によると、オーストラリアのデジタルフォレンジックと情報分析を専門とするサイバーセキュリティ企業「インターネット2.0」の調査チームが、中国政府が2019年にPCR検査を前年の約2倍購入していたとする報告をまとめた。中国は、2018年に3670万元(約6億円)ぶんのPCR検査機器を調達したのに対し、2019年には6770万元(約12億円)ぶん調達した。また、PCR調達の総契約数は、2018年の89件から2019年には135件に増加していたことも明らかになった。
注文の増加は、主に人民解放軍空軍病院、武漢ウイルス研究所、武漢科技大学、湖北省疾病管理予防センターの4つの機関によるものだった。
「インターネット 2.0」の創設者であるロバート・ポッター氏は、一部の購入に関してはコロナと関係のないものである可能性があると指摘する一方で、「これらのデータを総合すると、パンデミックは12月に始まったという公式見解を全面的に覆すものである」と述べている。「また、人民解放軍、疾病管理センター、湖北省にある機密性の高い研究所など、政府レベルの調達がかなり多かったことも判明した」と付け加えた。
中国は2019年12月31日に最初のクラスターの症例を報告し、WHOは2020年1月5日に症例に関する最初の勧告を発表した。しかし、調査チームによると、支出の増加は2019年5月頃から見られたという。今回の調査に基づき、調査チームは「中国がWHOに新型コロナウイルスについて通知するよりもはるかに早い時期にパンデミックが始まっていたという高い確信を持っている」と結論づけ、さらなる調査を求めている。
しかし、米『ブルームバーグ・ニュース』 によると、複数の医療専門家は、そのような結論を出すには十分な情報ではないと述べている。ひとつには、PCR検査は病原体を検査する標準的な方法になっており、もともと人気が高まっていたことが指摘されている。さらに、PCR装置は、動物を含め、コロナ以外の多くの病原体の検査にも広く使われており、現代の病院や研究室には普通に見られるものだという。
中国外務省もこの調査結果に異議を唱えている。外務省報道官は、この調査結果は、コロナウイルスの起源に関する他の疑わしい主張と同じカテゴリーに入ると反論している。その中には、武漢の複数の病院付近の交通量を分析し、「咳」と「下痢」というキーワードで検索した後、早くも2019年8月に武漢で流行が始まったと結論付けた「いわゆる論文」も含まれている。報道官はさらに「中国の伝染病対策キャンペーンは世界に開かれており、状況は明確で、事実は一目瞭然であり、時と歴史の試練に耐えているものだ」と述べている。
こうした反論に対し、「インターネット2.0」の調査チームの主席研究員であるデビッド・ロビンソン氏は、購入契約の時期や購入した機関は、湖北省当局が2019年後半を通して人に関する新しい病気を調査していたという考えを裏付けるものだと述べている。同時に、今回の調査結果は決定的な証拠ではないとも述べている。
同社は声明で、「このデータは新型コロナウイルスに関する起源の結論を裏付けるものではないが、将来的にはこのデータの一部が起源の発見を裏付けるかもしれない」と述べている。「また、この報告書は、パンデミックが発生した特定の時点を特定するものでもない。中国が決定的な証拠を得ることができないように多大な努力をしていることから、残念ながら第三者のデータに頼らざるを得ない可能性があることを意味している」と述べている。
英『デイリーメイル』 は、多摩大学大学院MBAの客員教授である井形彬氏が、日経新聞に対し、なぜより多くのキットが購入されたのかについて、「確かなことは言えない」と述べた上で、この報告書は、「12月の数カ月から半年前に、武漢周辺でウイルスの発生が認識されていたことを主張するための強力な情報」だと語り、「この報告書は、各国が中国に再び情報提供を求めるきっかけになるかもしれない」と述べたことを報じている。
閉じる
その他の最新記事