<有給休暇と仕事>
世界最大の総合オンライン旅行会社エクスペディアが、主な国の有給休暇消化率を2008年から調査している。
かつて、日本人は働き蜂だとかエコノミックアニマルだとか、盛んに揶揄されていたが、21世紀になっても、まじめで働き過ぎという傾向が出てか、2008~2013年の間、アンケート対象二十数ヵ国の中で、有給休暇消化率ワースト1となっていた。...
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<有給休暇と仕事>
世界最大の総合オンライン旅行会社エクスペディアが、主な国の有給休暇消化率を2008年から調査している。
かつて、日本人は働き蜂だとかエコノミックアニマルだとか、盛んに揶揄されていたが、21世紀になっても、まじめで働き過ぎという傾向が出てか、2008~2013年の間、アンケート対象二十数ヵ国の中で、有給休暇消化率ワースト1となっていた。
同社の2014年調査で、韓国を僅かに上回り、ようやく最下位を脱出した。
そして2015年調査(注1後記)の結果であるが、残念ながらワースト2は変わらなかったという。
同調査結果を簡単に紹介すると、
① 有給休暇消化率100%:フランス、ブラジル、スペイン、オーストリア、香港
93%:シンガポール
83%:イタリア
80%:メキシコ
75%:インド
73%:米国
60%:日本
40%:韓国
② 有給休暇支給日数不承知
53%:日本
23%:韓国
16%:米国
15~11%:フランス、オーストリア、イタリア、ブラジル
9~7%:香港、シンガポール、インド、スペイン
③ 有給休暇取得に罪悪感
18%:日本
10%:米国、インド、韓国
8~6%:ブラジル、オーストリア、フランス
5~3%:シンガポール、スペイン、イタリア、香港、メキシコ
④ 休暇中も仕事を意識
13%:日本
11%:韓国
7%:シンガポール、米国、香港
5%:オーストリア
4~3%:インド、スペイン、フランス、ブラジル、メキシコ
こうしてみると、有給休暇消化率でたとえワースト1を脱却しても、そもそも休暇の持つ意味をよく理解しておらず、仕事と休暇とのメリハリがついていない最悪の国という実態が浮かび上がる。
そして、今回の調査結果をみて最もショックだったのが、自身の仕事に満足している人の割合である。すなわち、
メキシコ72%、インド55%、米国53%、ブラジル51%、オーストリア45%、スペイン40%、イタリア・フランス32%、香港30%、シンガポール23%、韓国19%、
日本17%。
有給休暇を十分取らず、休暇中も仕事のことが離れないほど仕事に励んでいるのに、自身の仕事への満足度がワースト1とは、一体日本人の何がいけないのだろうか。
2007年12月に、政府、地方公共団体、経済界、労働界の合意により策定された、「ワーク・ライフ・バランス(注2後記)憲章」に基づき、現在、官民を挙げて様々な取組が進められているようであるが、まだまだ掛け声だけで、一部の人達にしか届いていないと言わざるを得ない。
(注1)2015年調査:対象は26ヵ国在住、18歳以上の有識者男女(フルタイム、パートタイム、自営業)9,273人。2015年10月6日~22日の間、インターネットにてリサーチ。
(注2)ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和):1970年代以降の欧米で、働きながら子育てをする人や、長時間労働によるストレスで健康を損ないつつある労働者が増加したことを背景に、こうした人々に必要なものとして用いられた言葉。日本でも、時間生産性の向上や人材の確保につながると判断した企業を中心に、所定外労働時間の削減、年次有給休暇取得の促進、キャリアや能力の開発支援、仕事と育児の両立支援、心身のヘルスケア等の取組みを推進中。
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