トランプ政権経済政策顧問、法人税率は23%以下までの引き下げが必要と表明【米・カナダメディア】(2017/08/07)
トランプ大統領は公約で、法人税率を15%まで引き下げるとしていたが、税収不足分をカバーする財源創出が思うようにいかず、ほぼ現実味のない状況となっている。そこでこの程、同政権経済政策顧問が、経済協力開発機構(OECD)税率平均24%を下回る23%以下までの引き下げをして、他先進国に対抗できる体制作りが必要であると表明した。
8月5日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「コーン経済政策顧問、議会に法人税率を23%以下への引き下げのための立法化を望むと表明」
米国家経済会議(NEC、注後記)のゲイリー・コーン議長は8月4日、
『ブルームバーグテレビ』のインタビューに答えて、議会は法人税率について、OECD平均の24%を下回る23%以下への引き下げのための立法化を図るべきだと語った。
同議長は、現行35%の法人税率では、米法人はもとより、海外資本を米国内に留まらせ、事業展開させるには無理がある。...
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8月5日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「コーン経済政策顧問、議会に法人税率を23%以下への引き下げのための立法化を望むと表明」
米国家経済会議(NEC、注後記)のゲイリー・コーン議長は8月4日、
『ブルームバーグテレビ』のインタビューに答えて、議会は法人税率について、OECD平均の24%を下回る23%以下への引き下げのための立法化を図るべきだと語った。
同議長は、現行35%の法人税率では、米法人はもとより、海外資本を米国内に留まらせ、事業展開させるには無理がある。そこで、他先進国の平均より下げて、投資を更に呼び込む等の対抗策が必須であると強調した。
米国は唯一、米企業の世界中の収益に課税できる税方式を採用しているが、当該企業が海外での収益を本国に還流させない限り、所得税を繰り延べ可能となっている。従って、多くのグローバル企業が、法人税の低い国に設けた子会社に資産・収益を移転させるという、米国庫にとって弊害が生じている。
一方、8月4日付カナダ『CBCニュース』(『ロイター通信』配信):「米国、減税財源捻出のため住宅ローン金利減免枠削減を検討」
米政治専門メディア『ポリティコ』は8月4日、トランプ政権が、減税政策実現のため、財源を確保する上で、現在住宅購入に当って適用されている減免措置を見直すことを検討していると報じた。
現在米連邦内国歳入庁(国税庁に相当)は、100万ドル(約1億1,000万円)までの不動産購入ローン金利を費用として所得額から差し引くことを認められている。これについて、NECのコーン議長が、現行35%の法人税を引き下げるための財源作りの一環で、当該減免措置を引き下げることを進言した。
同議長は、米法人税率はOECD平均の24%を下回るレベルまでの引き下げが必要だと主張している。
一方、米上院金融委員会のオリン・ハッチ委員長は、9月の議会再開に合せて、税制法案を準備中だが、法人税率を25%まで引き下げる法案でも大変な挑戦になると述べている。
*他主要国の法人税率:日本23.4%(来年度以降23.2%)、フランス33.3%、ドイツ29.79%、カナダ26.5%、中国25%、韓国24.2%、イタリア24%、英国20%、シンガポール17%
(注)NEC:安全保障・社会保障なども含めた総合的な立場から、経済政策の立案・調整及び大統領に助言を行う連邦政府の行政機関。1993年にクリントン政権において、「軍事的安全保障」と並んで、「経済的安全保障」という考え方の下、国家安全保障会議と同じ機能を果たすことを期待されて大統領令によりホワイトハウスに設立された。
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報道の自由度ランキング 米国43位、日本72位(2017/04/28)
国際NGOの「国境なき記者団」は、4月26日(水)に2017年の「報道の自由度ランキング」を発表した。同記者団は、世界各地の記者・専門家へのアンケートを行い、法的環境やジャーナリストに対する政府の脅威等に関する評価を基に、毎年世界の「報道の自由度指数」をまとめている。
今回、米国は調査対象の180か国中43位であった。前年より2位低下しており、これは西アフリカのブルキナファソの下で、インド洋のコモロの上の順位である。米国のランキングは過去17位が最高で、この15年間は徐々に順位を下げている。
トランプ大統領のメディアへのツィッター攻撃や、特定メディアに対するホワイトハウスへのアクセス制限等の影響により、今年の順位が低下したものであるが、英国、フランス、カナダ等、他の民主主義諸国もそれぞれ順位を下げた。...
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今回、米国は調査対象の180か国中43位であった。前年より2位低下しており、これは西アフリカのブルキナファソの下で、インド洋のコモロの上の順位である。米国のランキングは過去17位が最高で、この15年間は徐々に順位を下げている。
トランプ大統領のメディアへのツィッター攻撃や、特定メディアに対するホワイトハウスへのアクセス制限等の影響により、今年の順位が低下したものであるが、英国、フランス、カナダ等、他の民主主義諸国もそれぞれ順位を下げた。
上位国は全てノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク等の北欧諸国が占めた。下位の国々は、北朝鮮、エリトリア、トルクメニスタン、シリア、中国といった報道規制をしている国々であり、ここ数年その傾向は変わっていない。他の欧州諸国の順位は、ドイツ16位、カナダ22位、フランス39位、イギリス40位、イタリア52位、ロシア148位等であった。
米国について、国境なき記者団は、「大統領選挙がジャーナリストに対する魔女狩りを引き起こした。」とデータの分析の中で述べている。「ドナルド・トランプの第四権(報道のこと)とその代表者に対する痛烈な攻撃により、メディアは「この世で最も信用できない人間である」とか、「故意に“嘘の(フェイク)ニュース”を流している」などと強く非難されたため、表現の自由を擁護するという、米国の長き伝統が損なわれていると述べた。さらにトランプ大統領の言わばヘイト・スピーチのような発言が、英仏などの民主主義の伝統国を含め、ほとんど世界中のメディアへの攻撃をしかける引き金となったとしている。
国境なき記者団は、トランプ大統領ばかりでなく、バラク・オバマ前大統領も、報道の自由、情報にアクセスする自由を損ねたと強く批判している。オバマ政権に関しては、情報を漏洩した内部告発者に対する刑事訴追件数の多さや、革命勢力について報道をした外国人ジャーナリストを渡航禁止としたこと等の、締め付けについて触れている。
民主主義国家であっても、政府のジャーナリスト監視など「全体的な傾向として、自由な報道の根本条件を脅かすような法令の策定等の動きが進んでいる」と警戒感を示している。パリを本拠としたあるメディアが、政府当局が無名のニュース媒体にまで、直接政治的圧力をかけたと言っていること、またフィンランドが過去6年間、ランキングトップの国であったにも係わらず、昨年ユハ・シピラ首相が、自分に不利な報道を抑圧するために国営放送に介入した事件のため、今年は3位となったこと等を指摘した。
さらにポーランド、トルコ、ハンガリーのように民主主義の歴史が浅い国々において、「権威主義的な強者のモデル」が生まれている、不快な声明、過酷な法律、肉体的な暴力等によって、世界各地でジャーナリズムの力が弱まっているなどと警告している。
日本は前年と同じく、72位だったが、52位のイタリアに抜かれ、G7では最下位だった。日本も2010年の11位から年々低下が続いている。国境なき記者団は、大手メディアの自主規制や記者クラブ制度によって、ジャーナリストが権力監視の役割を果たせていないことや、特定秘密保護法について、国連から疑問が提示されたにも関わらず、政権が議論を拒み続けていることなどを指摘している。
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